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安倍総理の志は死なない!!

台湾のAPEC参加に慎重論=日本、中国との関係優先―外交文書

 1989年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)発足に当たり、日本政府が台湾の参加に慎重な対応を各国に求めていたことが、23日公開の外交文書で分かった。72年の日中国交正常化を受け、政府が中国との関係改善を優先していたとみられる。(肩書は当時)


 APEC創設はオーストラリアのホーク首相が提唱。中国、香港、台湾などの参加も念頭に「経済問題に関し、質の高い分析能力に支援されたより制度的な協議システムをつくる時がきている」と訴えていた。日本外務省は、各国に十分な根回しなく台湾の参加が議論されれば中国を刺激しかねないと分析。この場合、「最も難しい立場に置かれるのは日本」と頭を悩ませた。


 ホーク氏の提案に先立ち、89年1月に宇野宗佑外相がエバンス豪外相と会談。アジア・太平洋地域の新たな政府間協力を話し合う中で「最も頭が痛い問題は台湾の存在。外交が少しでも入れば中国にとって大変な問題となる」と伝える場面もあった。


 89年11月のAPEC初会合には日米豪など12カ国が参加。出席した中山太郎外相は、その年の6月に起こった天安門事件を念頭に「中国(の参加)については中国の国内情勢を慎重に見極めつつ検討する必要がある」と発言する一方、台湾にも触れ「中国との関係で配慮が必要」と発言。結局、初会合では具体的対応が先送りされた。


 一方、かねて「アジア・太平洋貿易産業大臣会議」構想を温めていた通商産業省はホーク氏の提案を歓迎。政府内で体制づくりを目指した。これに対し、同省をライバル視する外務省内では「通産省主導の経済に偏った動きと結び付くことが最も危険。新たな政府間フォーラムを外務省主導で打ち出す努力を」と警戒する声が上がった。


 この後、外務省は、通産省幹部が自らの構想推進のため東南アジアに出張する際、在外公館に「通産省の構想をつぶすように」と指示を出すなど主導権争いが激化した。