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安倍総理の志は死なない!!

ドイツ、中国偏重の政策転換=「異質な国」と警戒―多角外交で日本重視

 【ベルリン時事】ドイツが中国偏重と指摘されてきたアジア太平洋政策の修正に乗り出している。中国について、経済発展を遂げても民主化に至らない「異質な国」(独外交筋)であり続けると位置付け、是々非々で向き合う方針に転換。独政府は一方で、重視してこなかった日本との関係緊密化に目を向けている。
 クランプカレンバウアー国防相は今月の時事通信とのインタビューで、中国の南シナ海での覇権主義を批判。15日の岸信夫防衛相とのウェブ討論ではインド太平洋に軍艦を派遣すると表明し、岸氏も「強く支持する」と応じた。独政府が9月に策定した「インド太平洋指針」にも、中国の南シナ海での領有権主張を否定した仲裁裁判所判決への言及など、中国けん制の要素が盛り込まれた。
 一連の動きは、蜜月とも評された対中関係を築いたメルケル首相の引退を来年に控えるドイツにとって、一つの転機だ。メルケル氏は2005年の就任以来、12回訪中。同行企業団は競って中国側と大型契約を交わし、中国はドイツにとって輸出入総額で最大の貿易相手国になった。
 ドイツが掲げたのが、「貿易による変革」という理念だ。東欧や東独のように、経済発展と民主化は表裏一体で進展するという考えで、民主活動家の抑圧といった中国の人権問題に敏感な国内の一部世論を説得する材料ともなった。
 だが中国は、世界第2位の経済大国に躍進する一方で、共産党による一党支配体制を強化してきた。とりわけ今年に入ってからの香港の統制強化は、ドイツの警戒感を格段に強めた。
 経済面の実利もかすみつつある。中国政府が進める経済圏構想「一帯一路」の主要事業は、中国企業が独占的に受注。独紙ウェルトは今月、「貿易による変革は、中国では幻想だった」と断じた。
 インド太平洋指針は、中国への過度の依存を改め、アジア外交を多角化するとうたっている。多国間主義を掲げる独政府が、アジアの新たな協力相手として期待を寄せるのが、民主的価値観を共有し、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)や環太平洋連携協定(TPP)をまとめた日本だ。
 インド太平洋指針の策定責任者である外務省のヤスパー・ウィーク氏は、「日独はルールに基づく国際秩序を守ることで一致している」と強調。別の独高官も「日本との協力の可能性を過小評価していた」と振り返る。EUの盟主ドイツの変化は、日本外交の多様化の契機ともなりそうだ。