Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

国内初の2次感染から1年 確認できたキーワードは「武漢」だった

 国内で新型コロナウイルスの人から人への2次感染が初めて確認され28日で1年。感染が判明した奈良県に住む60代のバス運転手の男性は当時、厚生労働省が定義する感染疑いのケースに該当していなかったが、診察した地元の診療所が保健所へ詳細に情報を提供。中国の「武漢」というキーワードに反応した保健所や県が感染の可能性を警戒し、検査へとつなげた。(桑島浩任)


 昨年1月25日午後。奈良県中部の診療所から県中和保健所(橿原市)に「武漢からのツアー客を乗せたバス運転手の男性が、せきの症状が悪化して再び受診した」と電話が入った。男性は同17日にも同じ診療所を風邪の症状で受診したが、連絡を受けた保健所は経過観察を指示していた。


 当時厚労省が定めていた新型コロナの「疑い例」の定義は、▽37・5度以上の発熱や呼吸器症状がある▽2週間以内に武漢への渡航歴がある▽武漢への渡航歴があり、発熱や呼吸器症状がある人との接触歴がある-といった項目を満たす場合としていた。


 男性は武漢への渡航歴はなく、乗せていたツアー客に症状が出ていたのかは分からない状況で、検査対象には該当していなかった。


 このため、診療所から連絡を受けた保健所はこのときも「経過観察してほしい」と伝えた。だが、さらに深刻な情報がもたらされた。再び診療所が「男性のレントゲン写真に間質性肺炎の所見がみられる」と連絡してきたのだ。間質性肺炎は新型コロナの特徴とされる。


 保健所は県に報告。関係者に緊張が走った。鶴田真也・県医療政策局長は「原因不明の肺炎で、武漢との関連がある。感染の疑いを否定しきれないため、検査で確認したほうがよいとなった」と話す。


 県側は厚労省側に武漢や原因不明の肺炎というキーワードから検査の必要性を訴え、国立感染症研究所で、原因不明の感染症の検査制度である「疑似症サーベイランス」を用いて検査することが決まった。


 翌26日に男性の検体を同研究所に送付。28日、陽性が判明し、新型コロナをめぐる局面は新たな事態に突入した。


 県では当時、厚労省の定義にかかわらず「武漢というキーワードが出たら県に相談すること」と保健所に呼びかけていたといい、鶴田局長は、「定義にとらわれて型通りの対応をとっていれば、感染者を見落としていた可能性もある」と指摘。「医師が正しい診断を下し、詳細に情報を連絡をしてくれたことで、保健所と県も一体となって対応できた」と振り返った。