ネコウヨの散歩

ネコと憂国

「インターネットの力」で、政府支出が数十兆円単位で拡大していく可能性があります。

 From 藤井聡
  @京都大学大学院教授


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政府が32兆円の第二次補正予算を決定しましたが、本日はこの件について、以下の三つの論点を指摘しておきたいと思います。


第一に、これでは、全く足りない、ということ。


今の日本経済はコロナショックのみならず、昨年の10月消費増税によって激しく傷付いております。これまでの推計でも、20%を超えるGDP被害があるとも言われており、したがって、100兆円の真水が必須であると同時に、消費税の凍結が不可欠な状況です。


それを踏まえたとき、「消費税を10%に据え置いたまま、真水を32兆円支出するというだけ」では、経済被害を幾分緩和することに貢献することはあっても、経済縮小を食い止める力は全く無いと言わざるを得ません。


第二の論点は、この32兆円の中身を見ますと、しっかりとした執行を目指せば、「32兆円全額真水として活用可能」なものなのですが、逆に「予算執行をしないでおこう」とすれば、わずか10兆円しか真水が出ない、という中身になっている、という点。


そもそもこの32兆円は大きくわけて3つのパートに分かれています。


第一パートは、いわゆる通常の「真水」。これは、適正に執行されれば、日本国内のマーケットに注入されます。


第二パートが約12兆円の「企業の資金繰り支援」。これは、融資、投資の部類で、「貸し付け」分に相当します。したがってこれを通常に運用すれば、単に貸し付けるだけで「後で返せ」という話しになり、結局資金が注入されたことにはなりません。


しかも、これから貸し付け業務をしっかりやらなければ、ほとんど貸し付けることなく終わってしまうことも可能です。


ただし逆に、この枠を使って精一杯貸し付け、そして、すべて「劣後ローン」という返済を必ずしも強要しないタイプの貸し付けで行うことができれば、そして、その資金がすべて「赤字企業」に貸し付けることができれば、実質上この12兆円は「真水」として機能します。


なぜなら、赤字企業が劣後ローンを借りても、十分な黒字が将来出ない限り、返済義務はないという格好になるからです(それが、劣後ローンと呼ばれるものの特徴なのです)。


つまり少々複雑ですが、この12兆円の「資金繰り支援」は適切に運用すれば、「真水12兆円」として実質上機能するものなのです。が、不適切に運用すれば「真水0円」にしかならないというものなのです。


最後の第三パートは「予備費」で、これも10兆円です。


これについては、支出項目が確定していないもので、これから柔軟な判断に基づいて支出していくものです。


この点について、例えば今朝の日経新聞で、慶応大学経済学部の土居教授は、予備費については、財政再建の視点から「使い切るな」という恐るべき主張を論じておいでです。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59664630X20C20A5EE8000/


無論これは、財務省の見解そのものでありますが、この見解通りに予備費の執行が決定されれば、最悪「0円」という事になります。


以上を踏まえると、予備費と資金繰り支援のための合計22兆円の予算は、真水として積極的に活用すれば「真水22兆円」になるのですが、徹底的に緊縮の態度をとれば「真水0円」となってしまうのです!


ですから、この予算が組めたからといって、32兆円が国民に行き渡るのだと楽観できる状況では全くないのです。


これは、いわば、財務省が仕掛けた罠。


ここで我々が手を緩めると、32兆円と見せかけて、実際は10兆円程度の真水で済ませてしまうことができる、という「仕掛け」を、優秀な財務官僚達はこの予算の中に埋め込んだわけです。


したがって、この予算枠をつかって国民経済を守り切るためには、まだまだ我々国民はしっかりと政府を監視し、国民経済を救うために給付、補償せよと、声をあげ続けねばなりません。


そして、第三の点は、そんな「国民の声」が無意味なのか意味があるのかという点についてのポイントなのですが、この32兆円の補正予算が決定されたという事実は、政府支出は国民経済救済を求める国民の声によって拡大しうる、という可能性を意味しています。


この件についての安藤裕先生と対談の中でもお話しさし上げましたが、そもそも、一次補正予算が決定された直後は、財務省は二次補正予算を今国会中に議論することは絶対にない、という頑なな態度をとっており、与党幹部達も皆、そのような認識をもっていたのです。


https://youtu.be/NcK8Z5fg4_w


しかしそれでは日本経済が救われることは万に一つも無いということで、政府支出をなんとか拡大すべしという流れを作るため、「日本の未来を考える勉強会」の安藤裕自民党衆議院議員をはじめとした先生方が与党内で様々な議論を重ね、その議論が、岸田政調会長を動かし、それを通して、西村経済再生担当大臣、そして安倍総理による第二次補正予算の決定へと繋がっていったのです。


その間に、国民世論、とりわけインターネットにおいて積極財政を求める声がなければ、こうした流れは絶対に出来なかったのです。


この点については、今後綿密な社会調査を展開していく必要がありますが、政府要人達がインターネットのコメントやハッシュタグなどを極めて敏感に意識している様子は、検事長の任期に拘わる法改正問題においてもはっきりと示されているところです。


その意味において、この(最大で)32兆円の真水は、国民世論と財務省との財政を巡る闘争において、国民世論、特にインターネット世論が「勝ち取った」ものであるとも言えるわけです。


・・・


以上、指摘した三点を改めてここで記載しておきたいと思います。


第一に、32兆円だけでは全然足らない、
第二に、しかも、これからの予算執行で気を緩めれば、真水執行は10兆円に収まってしまう、
第三に、したがって、今後こうした不十分な財政政策を拡大していくことが必要だが、そのためには、国民世論、ひいては「インターネット」上で高めていくことが極めて効果的なのだ、ということが、今回の顛末から明らかとなった。


・・・


以上を踏まえると、読者各位には引き続き、現在の政府支出はまだまだ不十分で有り、かつ、「遅すぎる」という点をしっかりと主張していただきつつ、
#真水で100兆円
#消費税ゼロ
に向けてさらなる世論の盛り上げりにご貢献頂きたいと思います!


そして、そうした世論、そしてインターネット上の盛り上がりは、上記の第三番目のポイントで明らかになったように、確実に政府を動かし売る力を持つのです。


今後とも引き続きよろしくお願いします。


追申:
そもそも、こうした「巨大経済被害」を導いたのは「8割自粛」要請を二ヶ月近くも継続させたことが原因なのですが、前半一ヶ月は致し方ないとしても、後半一ヶ月(GW空け以降)については、科学的データに基づいてもっと早く解除する可能性を探ることが可能であった疑義が濃密にあります。この点には「科学者倫理」上の深刻な問題があると、当方は考えています。是非、下記ご一読下さい。
『公共政策とりわけ感染症対策においては「科学者倫理」の確保が極めて重要である ~尾身氏・西浦氏ら専門家会議の倫理問題を考える~』
https://foomii.com/00178/2020052301264166737