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武漢市の再調査求めるWHO調査団 中国側が反発の恐れも

【ロンドン=板東和正、北京=三塚聖平】中国湖北省武漢市で新型コロナウイルスの起源解明に向けた調査を終えた世界保健機関(WHO)国際調査団のメンバーが、中国国内でのさらなる調査やデータ収集の必要性を主張している。ウイルスの感染が確認された2019年12月当時の状況をめぐって中国側の発表とは異なるデータが得られたことや国際社会が、中国に透明性の高い情報公開を求めているためだ。


 1月中旬から2月上旬にかけて武漢市で活動した調査団のメンバーはWHOの本部があるスイスなどに戻って以降、再調査を重視する姿勢を見せ始めた。


 調査団長を務めたデンマークの人獣共通感染症専門家、ベンエンバレク氏は米CNNテレビに、武漢住民の数十万件の血液サンプルを追加で調査したい考えを示した。


 ベンエンバレク氏が再調査を望むのは、19年12月時点の武漢市や周辺地域で想定以上に感染が拡大していた可能性を示す手がかりが見つかったためだ。


 CNNによると、調査団が今回の調査で12月当時の武漢市などの174の症例を調べた結果、いずれも重症だったとみられることが判明。感染者のうち15%が重症化するとのWHOの試算をもとに感染者は千人超だったと推定した。


 武漢市は19年末までに27人が原因不明のウイルス性肺炎を発症したと公表していたため、ベンエンバレク氏は推定値を「新たな発見」と評価。この情報を住民のデータなどと照らし合わせれば、当時の正確な感染状況や起源の解明につながるとみている。


 今回の調査をめぐっては、中国側が初期の感染例について生データの提供を拒否した事実も判明した。


 調査団の一員でオーストラリア人研究者のドワイヤー氏は帰国後、米メディアなどに「中国側と激しい議論があったが、生データの提供を受ける合意を得られなかった」と不満を示した。輸入冷凍食品を通じたウイルス流入の可能性もあるとする中国側の見解に否定的な考えを示し、中国国内でのコウモリなどの調査の重要性を示唆した。


 調査団メンバーが再調査を急ぐ背景には、米国や英国が「中国側は十分なデータを公開していない」と懸念を示したこともある。調査団が2月9日に現地での活動を終えるのに際して発表した調査内容は「武漢起源」説を否定したい中国の主張におおむね沿った見解が目立ち、欧米から疑問の声があがった。


 中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は10日の記者会見で、調査団が再び中国入りする可能性について問われ「今回は世界的な起源研究の一部分だった」と述べ、中国外でも調査を行うことが必要との認識を示した。