Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

竹島問題、対話を拒否する韓国に国際社会の圧力を

(鶴岡 弘之:JBpress)


 状況は悪化している──。竹島問題について衆議院議員の亀井亜紀子氏は強い危機感を訴える。


 本日2021年2月22日、島根県民会館(松江市)で「『竹島の日』記念式典、竹島・北方領土返還要求運動県民大会」が開催される。主催は島根県、島根県議会、竹島・北方領土返還要求運動島根県民会議。新型コロナ対策として参加人数を例年の半分程度の235人に縮小しての開催である。


 島根県が条例で「竹島の日」を定めたのが2005年。「竹島の日」記念式典は翌年の2006年に第1回が開催され、今回で第16回を数える。果たしてこの間、竹島問題になんらかの進展はあったのか。韓国が竹島を実効支配している状況において、日本政府はどのような対応をとっていくべきか。


 2007年の参院選初当選以来、一貫して竹島問題に取り組み、2008年には国会議員として初めて「竹島の日」記念式典に出席した亀井亜紀子氏(立憲民主党・島根1区)に話を聞いた。


衆議院議員の亀井亜紀子氏© JBpress 提供 衆議院議員の亀井亜紀子氏
目に見える形で実効支配を進めてきた韓国
──亀井さんは今年の「竹島の日」式典にも出席し、これまで式典に最も数多く出席している国会議員ですが、この十数年で竹島をめぐる状況に変化はありましたか。現在の状況をどうみていますか。


亀井亜紀子氏(以下、敬称略) 私が2008年に初めて式典に出席した時と比較しますと、状況は悪化していると思います。あの頃は、韓国軍の施設はまだ竹島に建てられていませんでした。私は当時、韓国軍がヘリポートやレーダーなどを建設する計画を立てているという情報を入手し、当時の福田政権に政府の対応を問う質問主意書を出しました。けれども結局、政府はなんら実効性のある対応をとらず、今の状況になってしまいました。


 韓国が実効支配を目に見える形で進めてきたという事実に加え、最近は「自衛隊の竹島侵攻」に対するシナリオを韓国軍が想定していたという報道もありました。状況は悪化していると思います。


国際社会への情報発信を強化すべき
──この状況を打開するために政府は何をすべきでしょうか。


亀井 そもそも島根県が「竹島の日」を制定したのは、「これは本来は政府が解決すべき問題である」ということを政府に知らせるためでした。竹島を北方領土と同格に扱って、もっと問題の解決に本腰を入れてほしいということです。「竹島の日」制定は韓国側を刺激することになりましたが、国として問題解決に向けて努力をしなければいけないという意識を今まで以上に持てるようになったのは進展だと思います。


 さらに国として行うべきなのは国際社会への情報発信です。


 歴史的にも国際法に照らし合わせても、日本側が資料を出して論理を詰めていけば韓国側に勝ち目はありません。だから韓国は、全く論理的ではないところに話をもっていこうとします。つまり、慰安婦問題、徴用工問題といった日本側からみれば解決済みの問題を持ち出してくるのです。「日本は徴用工でも慰安婦でもこんなにひどいことをした国なんだから、竹島について文句を言える立場にない」というわけです。日本側が竹島のことを問題にすればするほど、そういう解決済みのことを蒸し返してくる。それがいまの韓国側の動きだと思います。


 それを解決しようと思ったら、日本は国際社会に向けて情報発信を強化することです。日本がこれだけ韓国から不誠実な対応をとられているということを世界に理解してもらう。国際社会で「韓国が言っていることは国際法違反だし、おかしい」「日本はよく我慢している」という外圧を構成しないと、日本がいくら抗議しても韓国は聞く耳を持たないし、交渉のテーブルにも出てこないでしょう。


──日本の情報発信は不十分ですか。


亀井 国内に向けては、十分ではないけど進歩していると思います。一般国民に向けて、領土問題を前よりも発信するようになりました。たとえば昨年(2020年)1月に霞が関に「領土・主権展示館」を新設しましたよね。それまでは日比谷公園にこじんまりとあったんですが、大幅に展示スペースを広げて霞が関に移設しました。でも、まだ足りません。資料館などをつくるだけでなく、学校の教育でも竹島に関する学習を取り入れていくべきだと思います。


 そして、国際社会に対する発信をもっと強化するべきです。情報発信がまだまだ足りないと思います。徴用工にしても慰安婦にしても日本は韓国に国際合意をひっくり返されているということ、平和国家の日本がずっと我慢しているということを、もう少し国際社会に向けて言ったほうがいいと思います。


現実的に目指すべきゴールは?
──2013年には「竹島の日」式典に20人ほどの国会議員が出席していましたが、今は半分程度に減っています。国会議員の間で関心が低下しているのでしょうか。


亀井 2013年に多くの国会議員が出席していたのは、当時の安倍政権が「領土を取り返して、国を守るのは自民党だ」とアピールするために議員をたくさん送り込んだからでしょう。自民党のパフォーマンス的な部分が強かったと思います。北方領土問題と同じで、式典がどれだけ立派でも、問題解決に向けて前に進まなければ意味がありません。多くの人に関心をもっていただきたいとは思いますが、私は式典に議員がたくさん出席すべきとは思っていません。


──それではこの問題はどんな方向に進むべきでしょうか。亀井さんが考える竹島問題のゴールはどこですか。


亀井 まず、竹島問題だけが取り残されないようにしなければいけません。今の日韓関係は最悪と言われています。原因は、徴用工と慰安婦の歴史問題です。それら2つは日韓の間で常に議題にあがりますが、竹島問題はあがってきません。しかし、常に竹島問題は存在しているわけです。両国の間に存在する問題として、いつも議題にあげられるべきです。そうでないと、もしも日韓関係が少しでも正常化したら、「元に戻りましたね。よかったよかった」と竹島問題だけ取り残されかねません。そんなことにならないよう、きちんと問題を提起し続けていかなければならないと思います。


 そのうえで、現実的に目指すべきゴールとしては、私は、ひとまず領有権は一回棚上げしても、あそこで日本の漁船が漁ができるようになればいいと考えています。日本側にもあの海域へのアクセスがある状態を目指す、ということです。竹島はもともと人が住んでいたわけではなく岩に近い島であり、漁船のいわゆる係留拠点として使ってきた島です。ですから、現実的なゴールとしては、漁業や将来の平和的な資源開発の拠点となるよう交渉を進められたらいいのではないでしょうか。日本は、韓国が不法占拠できる根拠はないということを国際社会に発信し、竹島問題の認知度を高めて、島と海域へのアクセスを取り戻すことを訴えていくべきだと思います。