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「日本人は、竹島は日本のものだと信じている」記者が漁船で上陸するドラマ、50年代の脚本発見

読売新聞 1950年代に竹島問題をテーマに書かれたラジオドラマ向けの脚本「人のいる無人島」(県立図書館で)
 韓国が不法占拠する竹島(島根県)の領有問題を戦後間もない1950年代に取り上げた放送劇の脚本が鳥取市内で見つかり、寄贈を受けた鳥取県立図書館(鳥取市)が所蔵している。領土をめぐり日韓関係が緊張する中、主人公の新聞記者が漁船で竹島に取材へ向かおうとする内容。平和的な解決は実現しないまま、22日には島根県で世論を啓発する「竹島の日」を迎えたが、脚本からは社会の関心が当時から高かったことがうかがえる。(中筋夏樹)
 脚本は、鳥取市の市民劇団「鳥取演劇集団」の関係者が保管していた35編のうちの一つ「人のいる無人島」(B5判、44ページ)。NHK鳥取放送局のラジオドラマ向けに書かれたもので、日本海新聞などの記者を務めた田賀市郎さんが執筆した。
 竹島が日本領なのに上陸できないことを憤る30歳くらいの新聞記者・大島が、境港から船長が幼なじみの漁船に乗り、記者の野心から竹島の実態を伝えようとするストーリーだ。
 韓国側の攻撃を危ぶみながらも竹島に近づくと、日本語を話せる若い漁師の「韓人」が船で現れる。しょうゆをあげると船に乗せてくれ、上陸を果たす。アワビも贈られ、大島は「人間の心ってほんとは隔たりなんかないんだ。ただ、それが国という名の垣と、そしてゆがめられた先入観とが、人間を支配し溝を深くしているんだ」とつぶやいて、終わりを迎える。
 劇中では、韓国が竹島を含む海域に一方的に境界線を設けた李承晩ライン(1952年)や日本の巡視船が銃撃される事件(53年)に触れていることから、53年頃の作品とみられる。
 脚本には「日本人は誰でも、竹島は日本のものだと信じているんだ」と語るくだりがあり、紛争が顕在化した当初から鳥取の人々の関心も高かったことをうかがわせる。一方、韓国との間に問題が起こっていることを知らない日本人がいるとも強調している。
 竹島のある島根県は2005年に「竹島の日」を制定。毎年2月22日に式典を行っているが、今年も政府は政務官の派遣にとどまり、地元が求めている閣僚の出席はなかった。領土問題は今も解決に向けて進んでおらず、劇団の関係者は「脚本のように、民間同士は交流を続けなければ」と指摘する。
 脚本は19年5月に鳥取県立図書館に寄贈され、今も目録作りが続く。同館の担当者は「今後、郷土資料を紹介する展示で紹介したい」と話している。