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まきで沸かす山梨・小菅の湯 間伐促進でボイラー切り替え

© 毎日新聞 提供 薪ボイラーが導入される予定の小菅の湯=山梨県小菅村で2021年2月3日午後2時0分、山本悟撮影
 日帰り温泉施設「小菅の湯」を運営する山梨県小菅村は今年7月から、湯を加温する電気ボイラーをまきボイラーに切り替える。コスト削減に加え、大量のまきを購入することで荒廃が進む人工林や広葉樹林の間伐を促進させるのが狙い。まきの活用を契機に、村内で途絶えつつある伐採技術を移住者らとともに復活させ、共生型の山村文化の復興を目指している。【山本悟】
 小菅の湯では、36度の源泉が施設に届く間に泉温が下がるため、電気ボイラーで40~42度に加温している。村は7月末にボイラーのリース契約が切れることから、まきを燃やして加温するまきボイラーの導入を決めた。
 村によると、電気ボイラーの保守点検料など年間約1000万円かかるが、まきの場合、年間必要量は約500トンでコストを3割削減できるという。まきボイラーの購入費や建屋整備費など計約1億3000万円を新年度予算案に計上する。
 まきを積極活用することで間伐が進み、森林整備につながる。ひいては、土砂崩れや洪水の防止など森林の防災効果が増すことなどが期待される。
 課題はまきの安定確保だが、高度成長期に村の人口は流出し、村にとどまった住民も東京都内や大月市などで勤務していることから、村の多くの森林所有者には伐採や搬出などの技術が受け継がれていない。そのため、村は北都留森林組合(上野原市)が村内で伐採した間伐木のまきを購入する。組合に支払われる代金の一部は森林所有者の村民に還元されるようにする。
 村は今後、森林所有者や移住者らに伐採技術を伝え、伐採されたまきを村が購入する仕組み作りを検討。また、都市部の子どもがまき割り体験や里山遊びをできるイベントも構想している。
 村ではかつて、村民が協力し木を伐採し、その木で建てられた住宅が完成すれば集まって祝った。子どもたちは里山で遊びを工夫し、考える力や協働する力を養ったという。村源流振興課の担当者は「地域で助け合い、生きる力が育まれた山村文化の復興のきっかけにしたい」と期待している。