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「台湾有事は予想より近い」米軍司令官、日本に安保能力向上を要求 「敵基地攻撃」再浮上も 識者「防衛費をGDP比2%に努力を」

 米インド太平洋軍司令官に指名されたジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官(海軍大将)が、上院軍事委員会の公聴会で行った証言が注目されている。中国による台湾への軍事侵攻について「最大の懸念」「予想より近い」との見解を示したうえ、書面証言で、日本に安全保障分野での能力向上を求めたのだ。「台湾有事」は、「尖閣有事」「日本有事」に直結する。日本を取り巻く安保環境が激変するなか、もはや「敗戦国の甘え」は許されない。菅義偉首相と、ジョー・バイデン大統領による4月前半の日米首脳会談でも、台湾有事は主要テーマになりそうだ。日本は具体的に何をすべきなのか。


「台湾有事は予想より近い」米軍司令官、日本に安保能力向上を要求 「敵基地攻撃」再浮上も 識者「防衛費をGDP比2%に努力を」© 産経新聞社 「台湾有事は予想より近い」米軍司令官、日本に安保能力向上を要求 「敵基地攻撃」再浮上も 識者「防衛費をGDP比2%に努力を」
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 上院軍事委員会は、合衆国憲法および連邦法の規定により、国防全般について討論・監察する。17ある常任委員会の中で、最も影響力の大きい委員会の1つとされる。


 アキリーノ氏は23日、自身の人事承認に向けた公聴会で、中国の脅威について、こう語った。


 「最大の懸念は台湾に対する軍事動向だ」「(台湾への軍事侵攻は)多くの人が考えるよりも、ずっと近いと思う。緊急感をもって、『太平洋抑止イニシアチブ』のような抑止力を導入する必要がある」「(沖縄県)尖閣諸島の状況を見れば、日本も懸念を持っているはずだ」


 そして、中国や北朝鮮の脅威に対抗するため、書面証言で日本について、ミサイル防衛や制空権、海上安全保障などの分野で能力を高める必要があると指摘した。


 中国の習近平国家主席は、今世紀半ばまでに中国軍を「世界一流の軍隊」にすると公言している。今月閉幕した全国人民代表大会(全人代)でも、前年比6・8%増となる1兆3553億元(約22兆6200億円)という国防予算案を提出した。2020年末には、中国海軍の艦艇数が米海軍を上回ったとされる。


 同盟国・米国は、日本に何を求めるのか。


 アキリーノ氏の「ミサイル防衛」「制空権」という指摘から、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替案として閣議決定された「イージス・システム搭載艦」や、米国以外で最多となる最新ステルス戦闘機「F35」の配備加速などが考えられる。


 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「水面下で具体的なニーズは伝わっているのかもしれない。とはいえ、日本には解決しなければいけない課題が山積している」という。


 課題の1つは防衛費だ。


 2020年度の防衛白書によると、日本の防衛費は5兆3133億円で、GDP(国内総生産)比0・9%にとどまっている。マーク・エスパー前米国防長官は昨年9月、日本を含む同盟国に「国防費をGDP比で少なくとも2%に増やしてほしい」と表明している。


 潮氏は「GDPに合わせた防衛費の設定では、(経済状況によって)金額が流動的になるため確定的であるべきとはいわないが、やはりNATO(北大西洋条約機構)諸国の基準(GDP比2%)に合わせる努力は必要だ」と語った。


 昨年6月のイージス・アショアの計画断念を受け、政府・自民党内では「敵基地攻撃能力」の保有を検討していた。だが、菅義偉政権は昨年末、結論を先送りにする閣議決定を行った。


 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「敵基地攻撃能力は、北朝鮮の弾道ミサイル発射基地を念頭に(自衛権として)保有を議論していた。今後、攻撃を受けた際の報復手段の保有、抑止力としても議論すべきだ。日本では、敵基地攻撃能力の保有が憲法違反か否かという段階から議論が進んでいない。欧米諸国が、中国当局によるウイグルでの人権弾圧に制裁を発動するなか、日本は『深刻な懸念』を示すにとどまっている。中国の軍事的覇権拡大に危機感を持っているのかという疑問を覚える」と語った。


 日本固有の領土・尖閣諸島周辺では昨年、中国海警局の船が連続で57時間も領海侵入した。接続水域を含めると、過去最多の333日も航行し、日本漁船を追い掛け回すなどの暴挙を行った。


 潮氏は「尖閣周辺で、自衛隊と米軍が共同訓練を実施するだけでも、中国に対して大きな抑止力になる。武力攻撃を受けるまでには至っていないが、国家の主権が侵害されている『グレーゾーン事態』に法的根拠を持たせる議論などは、与野党が一致して進められるはずだ。状況が切迫している危機感を持ち、行動に移すことが重要だ」と提言した。