ネコウヨの散歩

ネコと憂国

慰安婦支援団体「正義連」と北朝鮮の切れない関係

マルクス・レーニン主義など共産主義の学説を理解するために日本語を学んだ韓国の左派活動家(提供:KCNA/UPI/アフロ)
 韓国の元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(旧挺対協)が北朝鮮の指令を受けたスパイ集団だという疑義を初めて指摘したのは、「新しい歴史教科書をつくる会」副会長の藤岡信勝氏である。2005年4月10日、歴史教科書の文部科学省検定合格後に行われたシンポジウムで、藤岡氏は次のように発言した。「韓国は「反日」ではない。大本は北朝鮮にある。例えば、日本大使館前で毎週行っている慰安婦のデモは北朝鮮の工作員がしている」(参考記事)。
 この発言は2日後、韓国のマスコミに大々的に報道された。挺対協はすぐに、「藤岡信勝はとんでもない妄言により、正しい歴史清算と正義、平和の実現に向けて活動している日本軍慰安婦生存者たちの名誉を毀損した。これには茫然とした」と、反論の声明を出した。
 同日、韓国の国会で開かれた外交、統一、安全保障分野の対政府質疑で、これに対する政府の立場を質問された盧武鉉政権時代の李海瓚(イ・ヘチャン)首相は次のように述べた。「西洋では、犬が吠えたら吠えさせておけ、という」。
 この発言は、藤岡氏の発言を「犬が吠えている」から無視しようというものである。いつか書くつもりだが、李海瓚氏は韓国で結成された共産主義政党、南朝鮮労働党(南労党)で総責任者級の地位を持つ大物スパイだと私は疑っている。もしそうであれば、当時の李海瓚氏の発言は、韓国内の主体思想派の総責任者として当然の立場表明だったといえる。
 私は2002年から2003年にかけて、頻繁に日本を訪れた。藤岡氏とも何度かお会いする機会に恵まれ、彼の話に興味を持つようになった。しかし、実を言うと藤岡氏の「妄言」を聞いたときはさすがに、「慰安婦が偽者というだけでなくて、北朝鮮の工作員だって?それはありえない」と思った。だから李海瓚氏の「犬が吠えている」という反撃を聞いて、それなりに痛快な気分になった。私ですらそうだったのだから、当時の韓国には挺対協と慰安婦問題を北朝鮮と関連づける人など、ほぼ皆無だったと言える。いまにして思えば、藤岡氏の慧眼に感嘆せざるをえない。
実刑判決を受けた尹美香氏の夫と義理の妹
 2013年1月29日、韓国のメディアは一斉に、警察が挺対協の尹美香(ユン・ミヒャン)代表を国家保安法違反容疑で捜査したというニュースを伝えた。ソウル地方警察庁保安課は2011年に発布された捜索差押許可状に基づき、尹美香氏が後に語ったところによれば、2007年以降の尹美香氏のEメールアカウントを捜索するなど捜査を進めてきたが、特に問題がなかったため調査を終えたと通達してきた、という。
 今になって考えれば、当時の捜査は非常に残念である。尹美香氏のEメールアカウントを調べただけで捜査を終結するとは、捜査する意思があったのかどうかも疑わしい。公開されているEメールのアカウントで、スパイが北朝鮮の担当者とやりとりをしているなどと考えていたのか。たとえ北朝鮮とやり取りがあっても、他人の知らない秘密のアカウントを使っていたに決まっている。警察に捜査の意思があったなら、挺対協事務所や尹美香の自宅を家宅捜索し、パソコンや携帯電話などを押収して精査していただろう。
 つまり、当時の捜査官は上部の指示に従って形式的に捜査を進めただけだ。警察が慰安婦支持団体が北朝鮮のスパイであるという「慰安婦スパイ団説」をクロだと思っていなかったことが、ここからも分かる。
© JBpress 提供 北朝鮮との関係が疑われる挺対協の尹美香氏(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
 警察が捜査に着手したのは、挺対協が日本の朝鮮学校を支援していたため、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)との関連性を問題視したからだと尹美香氏は語っている。実際のところ、彼女はニセ慰安婦との指摘もある金福童氏らを連れて、日本にある朝鮮学校をしばしば訪問していた。彼女たちの正体を疑わないのが逆にいぶかしいと思えるほど、挺対協の活動は北朝鮮と朝鮮総連に偏向している。
 韓国の市民団体の代表が、日本に行くたびに朝鮮総連系の朝鮮学校ばかり訪問して、韓国側の民団や大使館などとは接触しないのはなぜか。これでは、「北朝鮮の指令を受けたスパイ団」と言われても仕方がない。
 尹美香のEメールが捜査されてすぐ、尹美香氏の夫である金三石(キム・サムソク)氏と、その妹の金銀周(キム・ウンジュ)氏が、1993年に「兄妹スパイ団」として実刑宣告を受けたことが世間に知られると、尹美香氏と挺対協は北朝鮮のスパイ団であることを本格的に疑われ始めた。
韓国の共産主義者が日本語に精通している理由
 金三石氏と金銀周氏は1992年、日本で朝鮮総連および在日韓国民主統一連合(韓統連)の関係者らと接触し、工作金を受け取った容疑などが認められた。金三石氏は懲役4年、金銀周氏は懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けている。
 金三石氏の学歴を見ると、韓国外国語大学ロシア語科を卒業している。これは、左派政党であった統合進歩党の代表、李石基(イ・ソッキ)氏と同じである。
 挺対協は常に、「金三石氏が尹美香代表の夫であることは確かだが、スパイ罪は捜査機関の拷問によって捏造されたものであり、金三石氏と金銀周氏は北朝鮮と何の関係もない」と主張してきた。
 金三石氏と李石基氏の関係についても、「出身大学と学科が同じ先輩と後輩だが、一面識もない」と否定していた。しかし、2012年の挺隊協22周年記念会場で、李石基氏と金三石氏が手を握りしめている写真が公開され、挺隊協側のうそが明らかになった。
 李石基氏は、韓国における主体思想派の代表的な人物である。2013年に内乱陰謀罪などの罪で拘束され、懲役9年の実刑判決を言い渡されて現在服役中。彼の出身校である韓国外国語大学は、1980年代以降、高麗(コリョ)大学と共にいわば「アカ」の巣窟として有名な大学だった。中でもロシア語科が中核的な役割を果たしていた。ほとんどの左翼系書籍の輸入が禁止されていた時代に、ロシア語で書かれたマルクス・レーニン主義の書籍を直輸入して翻訳する作業を担当したことから、学生運動の中心を担ったのではないかと思われる。
 韓国の学生運動は1980年代末まで、ほとんどが日本語とロシア語の左翼系書籍に依存し、意識化作業を進めてきた。
 主体思想や金日成(キム・イルソン)選集のような北朝鮮の書籍は翻訳せずとも読めるが、マルクス、エンゲルス、レーニンなど伝説的な革命家の著作物や、ロシア革命、キューバ革命、毛沢東思想などの不穏書籍は読めない。よって地下組織に入った1年生は全員が日本語を学び、日本語の左翼系書籍を読解しなければならなかった。このような事情を知る人なら、1980年代に大学時代を送りながら日本語のできない私のような者は根っからの学生運動家でなかった、とすぐに見抜くだろう。
 つまり、誰もが自分が学生運動家だったと主張することはできるが、日本語を知っているか知らないかで、その深入りの度合いが分かる。といっても、全日制高校を卒業したのか、高等学校卒業程度認定試験を受けたのか、程度の差であるが。
なぜ尹美香と元慰安婦は決別したのか?
 元慰安婦を名乗る李容洙(イ・ヨンス)氏の証言によると、尹美香氏は金三石氏が服役、李容洙氏ら元慰安婦を金三石氏と面会させて判事に嘆願書を出させるなど、金三石救命運動に元慰安婦を動員した。蜜月だった李容洙氏と尹美香氏だが、2020年の国会議員選挙を機に仲がこじれてしまう。李容洙氏は挺対協と決別し、互いに非難を浴びせる敵となった。
 李容洙氏は米下院で演説を行ったこともある自分が元慰安婦を代表して国会議員になるべきだと思っていたのだろう。しかし、その座を尹美香氏に奪われてしまい、怒りが爆発したのである。(翻訳:金光英実)