Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

何人もが目の前で命落とし自身も感染、医師「心が晴れた日ない」…武漢「心に傷」いまも

読売新聞 6日、武漢の墓地で、昨年死亡した人の墓が集まる一画。昨年は封鎖中で墓参りできなかった住民が訪れた
 新型コロナウイルスの感染が世界で最初に広がった中国湖北省武漢市は8日、感染対策のロックダウン(都市封鎖)が解除されてから1年を迎えた。都市封鎖によって感染拡大を抑え込んだとする習近平(シージンピン)政権の自賛の陰で、1000万都市を丸ごと封鎖した異例の措置で心に傷を負った人びとは、いまもトラウマに苦しむ。(武漢 南部さやか、写真も)
■写真展
 武漢市内では現在、76日間に及んだ封鎖下の住民生活や、医療従事者、食料配布ボランティアらの奮闘を記録した写真展が開かれている。主催は湖北省政府の関連団体などだ。8日に孫と訪れた60歳代の女性は「ウイルスと戦った武漢市民は英雄だ」とたたえた。
 <新型コロナとの戦いは、党の指導と我が国の社会主義制度の優位性、そして中国人民と中華民族の偉大な力をはっきりと示した>。中国共産党機関紙・人民日報は8日、武漢を念頭にした論文を1面に掲載した。武漢だけで3869人(6日時点)が、中国全体では4636人(7日時点)が死亡した悲劇を党の求心力に転化する宣伝工作だ。
■後遺症
 武漢は封鎖当時、医療が崩壊し、SNSは助けを求める書き込みであふれた。党が紡ぐ「勝利の物語」からは、死と隣り合わせの恐怖の中で都市封鎖を経験し、精神的な後遺症を抱えることになった住民の声は抜け落ちている。
 50代の女性は、心に傷を負った一人だ。女性は「高齢の父が感染しないか、緊張で心が張り裂けそうだった」と当時を振り返る。友人が感染死したことが不安に拍車をかけ、父の体温を数十回測った日もあった。
 外出が禁じられ、周囲で次々と死者が出ながらどこにも逃れられない封鎖下の日々。「今でも感染が再拡大してまた封鎖されるのではないかとの不安が頭をよぎり、胸が締め付けられる」
 中国メディアによると、武漢市精神衛生センターには昨秋時点で、不安などを訴える相談が相次ぎ、自殺願望を持つ人もいたという。
■ケア必要
 第一線で治療にあたった医療従事者にも、心のケアを必要とする人がいる。
 武漢の基幹病院の40代の男性医師は当時、押し寄せる患者に24時間態勢で対応し、何人もが目の前で命を落とした。自身も感染し、後遺症とみられる胸の痛みや倦怠(けんたい)感に今も苦しむ。
 男性医師は言葉少なに言った。「住民を救えなかった自責の念と体の不調が相まって、この1年以上、心が晴れた日は一日もない」