Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

政府の選択と集中の愚

 From 三橋貴明




【近況】
日本国には、「言霊」という言葉があります。
言霊とは、言葉に宿る霊的な力のことですが、
本当に言葉は恐ろしい。


本日、取り上げたい言葉は「選択と集中」。
1980年代、アメリカの
ゼネラル・エレクトリック社(以下、GE)の
CEOとしてジャック・ウェルチが就任。


ウェルチは、GE社の方針として
「選択と集中」を掲げたわけですが、
原文の「集中」はFocusでした。
つまりは、焦点を当てる。


実は、ジャック・ウェルチの言った
「選択と集中」は、
「焦点を当てる事業を選ぶ」という
意味だったのですが、なぜか日本では、
「事業を選択し、
集中する事業以外は切り捨てる」
という形で広まっていきました。


そもそも、一企業にとってさえ、
選択と集中はリスクが極大化するのです。


実際、シャープは液晶技術と
その技術を適用した商品に
「選択と集中」を行いました。


結果、2015年3月期の決算が
2千億円以上の最終赤字に落ち込み、
挙句の果てに2016年には鴻海に身売り。


シャープは液晶分野で安価な海外メーカーとの
競争に負け、さらには
有機エレクトロルミネッセンス
(有機EL)という液晶の代替技術が発展。


結果的に、外国企業による買収という
屈辱的な結末になったのです。


頭の中身が空っぽでない限り、
「特定の事業にリソースを集中する」
ことのリスクが、いかに
高いかは分かるはずです。


特定の市場に集中し、
とんでもない競合が現れた。
あるいは、代替技術が登場した。
ただ、それだけで、
企業は苦境に陥るのです
(まさに、シャープ)。


それにも関わらず、
「選択と集中」を「国家の行政」において
推進してきたのが、我が国なのです。


衰退して、当たり前です。
特に、日本のように
大規模自然災害が相次ぐ国家において、
政府は「地域」について
「選択」をしてはなりません。
というよりも、
むしろ政府は「生産性が低い地域」にこそ
率先して支出し、日本全土で
偏りなく経済が成長していく
環境を構築するべきです。


田中角栄の
「国土の均衡ある発展」は、
少なくとも日本国においては
絶対的に正しい。


日本全体でまんべんなく経済力
(財やサービスを生産する力)が
蓄積されれば、
災害時の防災安全保障が
強化されることになります。


ところが、日本政府は
「選択と集中」を振りかざし、
公共投資を東京圏
(南関東)に集中させました。


国家観のなさに加え、
「政府の財源は有限」という
間違った貨幣観、財政観により、
東京一極集中が続き、
日本国を亡国に追い込んでいる。


企業にとってすら、
選択と集中はリスクが高い。
ましてや、政府においては。


という、常識を是非とも
ご地元の政治家にぶつけて下さい。
少なくとも、政府の行政において
「選択と集中」を口にする人物は、
間違いなく「無能」です。