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陸自オスプレイの木更津暫定配備で低下する抑止力…南西防衛強化へ課題は山積

© 産経新聞社 陸自オスプレイの木更津暫定配備で低下する抑止力…南西防衛強化へ課題は山積
 防衛省は10日、米国製の輸送機オスプレイ1号機を陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備した。陸自相浦駐屯地(長崎県佐世保市)の離島奪還部隊「水陸機動団」の輸送を担い、南西諸島防衛の強化を図る。ただ、相浦駐屯地から離れているため有事への即応性に課題を残す。5年後に本来の配備先の佐賀空港(佐賀市)に移す計画も、めどが立っていない。
 オスプレイは米国から船で米軍岩国基地(山口県岩国市)に陸揚げされた。10日、米側の操縦で木更津に到着し、陸自に引き渡された。当初は6日の予定だったが、悪天候で2度延期された。近く2機目を暫定配備し、8月に試験飛行を始める見通し。将来的に17機に拡充する。
 オスプレイは飛行機と同じ固定翼で、時速500キロ程度の高速飛行能力と長い航続距離を有する。一方で飛行機と異なり、滑走路がない場所でもヘリコプター(回転翼)のように垂直に離着陸できる。
 南西諸島は九州南端から与那国島にかけて1200キロにわたり島々が連なる。滑走路がない離島も多い中、有事の際には水陸機動団の隊員や装備を素早く輸送する必要があり、オスプレイの特長が生きる。
 近年、中国軍は艦艇や戦闘機の海洋進出を活発化させ、南西諸島を越えて太平洋への進出を図っている。自衛隊の輸送力強化は重要だが、課題も多い。
 本来は相浦駐屯地に近い佐賀空港に配備し、空港の隣に駐屯地を作る計画だ。だが、地権者が多くいる佐賀の地元漁協と防衛省との調整が難航。佐賀空港から相浦駐屯地までは60キロですぐに到着できるのに対し、木更津駐屯地からは1000キロで約2時間かかり、一刻を争う有事への即応性の低さは否めない。
 河野太郎防衛相が木更津市と約束した暫定配備期間は5年。防衛省は5年で佐賀の用地買収や施設建設を終える必要がある。その前段階である地元漁協との調整すらついておらず、次の暫定配備先探しを余儀なくされる可能性もある。
(田中一世)