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安倍総理の志は死なない!!

北海道と北方領土が結ばれていた証しを文化財に 海底ケーブルの「陸揚庫」保存訴え

© 毎日新聞 提供 海底ケーブルの陸揚庫を調べる文化庁の文化財調査官(右から3人目)。右隣は保存運動をしてきた久保浩昭さん=北海道根室市で2020年8月6日、本間浩昭撮影
 終戦直後まで北海道根室市と北方領土とを結んでいた海底電信ケーブルの「陸揚(りくあげ)庫」を、国の登録有形文化財に指定しようという動きが進んでいる。8月上旬、文化庁の文化財調査官が初めて現地を訪れ、建物の構造や保存状態などを調査した。
 北海道と北方領土をつなぐ電信線は、日露戦争に備えて旧逓信省が全国に張り巡らせた電信網の一部。根室市西浜町の通称「ハッタリ浜」から国後島南端のケラムイ岬まで約38キロに太さ約7センチのケーブルが敷かれ、浜にはコンクリートの陸揚庫(幅3・8メートル、奥行き5・7メートル、高さ3・7メートル)がある。1900(明治33)年ごろに建てられたとされ、全体が鉄筋コンクリートでできた構造物としては日本最古級の可能性がある。
 根室市では20年以上前から保存運動が展開され、市は2012年に「根室が四島の母都市であったことを示す貴重な建造物」として、保存方針を決定。13年に土地と建物を民間所有者から買い取り、18年には説明板も設置した。
 この動きは国会でも取り上げられ、今年3月の参院外交防衛委員会で、文化庁の森孝之審議官(当時)が秋野公造理事(公明党)の質問に「歴史的景観への寄与など国の基準に該当すれば、登録の可能性がある。根室市から意見具申があれば審議会で検討する」と答弁した。
 今月6日にあった文化庁の現地調査には、国後島2世で「旧逓信省千島回線陸揚庫保存会」会長の久保浩昭・根室市議が同行。「ただの過去の遺産ではなく、日本人が北方領土に住んでいたという証しであり、これからどう使っていくかも含めて評価してほしい」と訴えた。【本間浩昭】