続 語彙が足りない
From 三橋貴明
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昨日の続きですが、
日本銀行は量的緩和政策の一環として、
上場投資信託(ETF)を買っています。
日銀がETFを買う資金が
「どこから調達されているのか?」といえば、
単に数字を動かしているだけです。
具体的には、
1.日本銀行が「自分の資産であり、
負債である日銀当座預金」を無から創出する
2.日銀がETFと引き換えに、
自らの資産としての日銀当座預金を、
証券会社の日銀当座預金口座に移す
となりますが、実際の作業としては、
帳簿の数字を増やしたり消したりするだけです。
最終的に、日銀と証券会社のバランスシートは、
【日銀のバランスシート】
借方 貸方
ETF 日銀当座預金
【証券会社のバランスシート】
借方 貸方
日銀当座預金 -
となります。
証券会社では、「ETF」が
「日銀当座預金」に入れ替わるので、
「証券会社が、ETFを日本銀行に売った」
と表現しても、差支えがないでしょう。
いわゆる売買とは、「資産と資産の交換」になります。
それに対し、日本銀行は、
「自らの負債である日銀当座預金
という貨幣を発行し、ETFを買った」
となり、「負債で資産を買っている」印象になります。
実際には日銀当座預金という
資産=負債を無から生み出し、
資産部分とETFを交換しているのですが、この、
「自らの負債を増やし、資産を手に入れる」
行為、要するに貨幣発行ですが、
このプロセスを端的に言い表す言葉が
見つからないのでございますよ。
よくよく考えてみると、
我々が銀行ローンを組む場合は、
「我々は自らの負債である借用証書で、
銀行預金を買った」
国債発行は、
「日本政府が自らの負債である国債を発行し、
日銀当座預金を買った」
と表現することも可能です。
我々はこれほどまでに日常的に
「貨幣」を使っているにも関わらず、
貨幣発行に関する語彙が不足している。
不思議です。
商品貨幣論という誤った貨幣観の蔓延により、
人類が「貨幣発行の方法」など気にせず
に歴史を積み重ねたためなのでしょうか。
皆さんはどう思われます?
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