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会見でも囲み取材でも質問無視、近づくとTシャツ撮影会も中止に。小池都知事の徹底した“記者排除”

ハーバー・ビジネス・オンライン


2020/08/19 08:32


記者を選別して指名し、その時間は毎回40分程度
連続37回目の質問無視。声かけ質問にも無言
 小池百合子・東京都知事の“記者排除(選別)”は、記者会見以外でも徹底している。37回連続で質問者として指名されなかった8月7日の都知事会見直後、筆者はそれに対する抗議も込めて恒例の声かけ質問をした。
「知事の怠慢で『(帰省自粛の)特別の夏』になったのではないですか。知事選中の甘い対応が原因ではないですか」と聞いたのだが、小池知事は無言のまま立ち去ろうとした。
 その瞬間、隣のカメラマンが「知事、Tシャツをちらっと」と声をかけて撮影の希望を伝えた。この日は「感染防止徹底宣言ステッカー」とプリントされた普及啓発用Tシャツを着て小池知事は会見に臨み、ジャンパーを広げて披露もしていたからだ。
 それでも小池知事は立ち止まることなく、立ち去った。以前、会見場出口付近で写真撮影に応じた時に、筆者から声かけ質問を浴び続けた記憶が残っていたためかも知れない。すると報道担当者が急きょ、会見場近くの廊下を撮影場所に設定した。
 その場にTシャツ姿の小池知事が再登場して、カメラマンが押しかけた。筆者がそれに気づいて少し遅れて近づくと、談笑しながら撮影に応じていた小池知事がすぐに「撮影会終了」を宣言した。
「ゴキゲン撮影タイム」は、筆者が近づいたとたんに終了
<Tシャツ撮影現場(会見場入口付近の廊下)>
小池知事:(カメラマンに後ろ姿を見せながら)すごい派手なの。
(私の接近に気がついたとたん)はい、以上。
(Tシャツを隠して立ち去ろうとする)
横田:知事の怠慢が第二波(の感染拡大)を招いたのではないですか。(コロナ感染拡大)“A級戦犯”の自覚はないのですか。
小池知事:(無言のまま立ち去る)
「都知事選(7月5日投開票)」中の小池知事の甘い対応が第二波感染拡大を招いたことについては、筆者は7月27日公開の記事「選挙対策でコロナ感染拡大の兆候を放置、その責任を都民に転嫁する小池百合子知事」や新著『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』で紹介したが、このことについて知事は何も答えていない。もちろん、都庁記者クラブで指名される記者がそういった質問をすることもない。
 自らの職務怠慢を棚に上げて、Tシャツの披露などで「やっている感」演出に励む小池知事。ちなみに感染防止Tシャツは50着制作し、1着当たり2800円だという。8月8日の『日刊ゲンダイ』は、「撮影タイムにゴキゲン 小池都知事“コロナTシャツ”の思惑」という見出しで、次のように報じた。
「小池知事は会見終了後、カメラマンの要望に応じ、撮影タイムを設ける大サービス。ジャンパーを脱ぎ、笑みを浮かべながらバックプリントもお披露目。そこには、〈手洗いの徹底・マスクの着用〉〈ソーシャルディスタンス〉など、ステッカー取得条件となるチェック項目がしっかりプリントされていた。ところが、犬猿の仲の男性ジャーナリストが近づくなり、『はい、これでオシマイ』と打ち切り。ジャンパーを羽織り、スタコラ去っていった」
囲み取材も、気に入らない記者が混じっていると中止に
 思惑通りに発信してくれそうな報道関係者は厚遇するが、気に入らない報道をする記者には一切対応しようとしない差別的対応は、都庁退庁時の囲み取材でも同じだった。
 小池知事は都庁6階での定例会見だけではなく、入退庁時に都庁2階の玄関ロビーで囲み取材に応じることがよくある。しかし筆者が囲み取材に参加しようとした過去3回、小池知事はいずれも素通りして行った。
 都知事選投開票の2日前の7月3日には、TBSの金平茂紀記者が定例会見に参加、質問者として指されなかったので終了直後に「知事、仲間うちだけ当てないでください」と声かけをしたが、小池知事は再質問には応じなかった。
 その直後、「退庁時に囲み取材がある」との情報が流れた。そのため金平氏も筆者も玄関ロビーで待機していたところ、この日も小池知事は素通りをした。自分に都合の悪い質問をしそうな記者がいるときは囲み取材に応じず、思惑通り発信してくれる“お気に入り記者”だけの時は応じる、という差別的対応をしているのだ。
囲み取材用のマイクを無視、玉木新党についての質問にも答えず
 都知事会見が開かれた8月14日の、退庁時の対応も同じだった。会見中に「この後、ちょっと(西村康稔)大臣のところへ行くので最後にさせてください」と質問者を記者2名に限定、通常より10分程度短い32分で会見を打ち切った。
 そこで報道関係者はすぐに玄関ロビーに移動、囲み取材用のマイクがセットされていた。しかし、小池知事はなかなか現れず、定例会見終了から約20分後にようやく登場した。そして、マイク近くにICレコーダーを置いて待ち構えていた報道関係者の方を向いて、左手を少し上げる仕草(これは「囲み取材なし」を意味するらしい)をして通り過ぎて行こうとしたのだ。
 まさに、記者を軽んじる「女帝」らしいメディア対応だった。定例会見を通常より10分も短い32分で切り上げたうえに、退庁時囲み取材のために待っていた記者団に、一言も発しようとしなかったのだ。そこで筆者は、小池知事に向かって声かけ質問を続けた。
<都庁2階の玄関ロビー>
横田:玉木新党について一言お願いします。「排除」発言が原因で(希望の党に合流するはずの民進党が)バラバラになりました。また前原さんと組むのでしょうか?
小池知事:(無言のまま振り返ることもなく、玄関前のワゴン車に乗り込んで西村大臣との面談へと向かう)
「小池知事シンパ」が玉木新党に集結!?
 国政について聞いたのは、小池知事が2017年の総選挙で設立して代表となった「希望の党」の、2代目代表だった玉木雄一郎・国民民主党代表が今年8月11日に分党を表明。国民民主党と立憲民主党の合併には参加せず、“玉木新党”を立ち上げることを表明していたからだ。
 しかも、小池知事は再選直後に国政転身を否定していない(『仮面』参照)。さらには、2017年の民進党解体・希望の党の合流時に“リベラル派排除(公認拒否)”を小池知事とともに進めた前原誠司・元民進党代表も、玉木新党に参加する見通しだった(15日に参加表明)。“小池知事シンパ”たちが加わる玉木新党もまた、小池知事の国政復帰の拠点となる可能性があるのは明らかだった。
 しかし分党表明から3日後の8月14日の都知事会見では、質問者が2名だったこともあって、玉木新党関連の質問はゼロ。そこで退庁時の囲み取材で上記のように再質問をしようとしたのだが、ここでも小池知事は何も答えなかったのだ。
徹底的な“記者排除”とお気に入り記者厚遇で作り出す“虚像”
 その2日前の8月12日には元外務大臣の岡田克也・民進党元代表が、記者懇談会2017年総選挙の際の民進党解体・希望の党合流を振り返ったうえでこう述べていた。
「『早く元(の一つの政党)に戻さないと』と言ってから3年近くかかった。それだけ、排除をした側とされた側の確執が簡単には癒されなかったということだ」
 排除した小池知事(当時は希望代表)からは、3年目の節目を迎えることになった今もなお、旧民進党議員を結果的にだますことになったことへの反省や謝罪、あるいは後悔といった言葉が発せられることはない。敵視する記者を徹底的に排除(選別)することで、自分にとって都合の悪いことについてコメントするのを避けているともいえる。
 徹底した“記者排除”で不都合な真実を覆い隠し、虚飾で塗り固めた「仮面」を前面に押し出すのが、小池知事のメディアコントロール術。手をあげる記者全員を指し、1~2時間に及ぶ会見を行う吉村洋文・大阪府知事や松井一郎・大阪市長とは、記者への対応という点では雲泥の差だ。“お気に入り記者”が作り出す虚像だけではなく、仮面の奥の実像(素顔)も直視していく必要があるのではないか。
<文・写真/横田一>
【横田一】
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数


小池都知事は都政を踏み台にしか考えていない。