ネコウヨの散歩

ネコと憂国

やはり東京から人を減らすしかないな

「そういうこと、だから安くて、優秀で、従順な外国人留学生のアルバイトがいくらでも来るから、一部の社員除けばもう日本人はいらないんだよね」
そこまで言い切るか、経団連の言い草そのままだ。ラフながら高級ブランドの小綺麗な服にラバーバンドの高級ダイバーズウォッチ、若作りにも見えるがさすがオーナーだけあって金回りのよさが伺える。コンビニオーナーというと自分も店に出て疲れ果てたおじさんというイメージだが、都心のオーナーは必ずしもそうではない。コンビニ経営も格差社会、とくに古くからの地主で複数の店舗を経営しているようなオーナーは羽振りがいい。ただそういったオーナーはコンビニ経営は事業の一部でしかなく、ビルや駐車場など不動産を中心に多角化している人がほとんどだ。こういう富裕層にとっては疫禍すら養分となる。
コロナ禍で日本人の応募が爆増も…
でも若くて優秀な日本人が来ないから外国人でスタッフを揃えるならそれはオーナーの方針、どうぞご自由にとしか言えないが、コロナで一変したという。
「それがコロナの影響かね、バイト募集してませんかって日本人の問い合わせがすごいんだよ。毎日来るよ」
それまでオーナー氏いわく、「まともな日本人には見向きもされないバイト」だったはずが、このコロナで仕事を失ったまともな日本人がコンビニバイトにも流入しているという。確かにコロナの影響で5月の完全失業者は198万人と200万人近くにのぼる(総務省、2020年6月30日発表)。また同年4月に600万人にも及んだ休業者のうち、7%が5月に失職した。実は翌月の6月の失業率は微減と改善しているのだが、これは自営業者が増加したため、仕事もないし自分でやるか、の消極的開業が多いのではないかとみる。年中募集中だった小売や飲食も自粛の影響とさらなる休業、自粛要請で以前ほどの求人は見なくなった。頼みの綱はコンビニというわけだが、そんな一昔前の雇用環境ではないという。
「もう外国人のバイトで埋まってるからね、どれくらい金が欲しいかスタッフが聞くとフルタイムで入って生活できるくらい欲しいってんだ。シフトそんなに入れられないからね、昔の感覚で来ちゃうんだろうね」
つまり、日本人が月に必要な生活費と考えれば、月20万は欲しい、それほどでなくても15万は欲しいだろう。ましてや都心と考えればそれくらいないと家賃、食費、光熱費、各種税金と考えれば生活できない。一昔前はコンビニの夜勤でガッツリ稼ぐフリーターなどもいたが外国人に取って代わられた上にコロナ禍の時代となり、かつての認識でコンビニならと応募してもはねられる可能性もあるということか。結局のところ、本音は最低賃金で文句も言わずに働く多国語のできる若者を都心で求めると必然的に外国人、とくに留学生ということになるのだろう。ここでも経団連の言い草そのまま、虫のいい話だ。
コンビニが特定技能になれば日本人はいらない
「もちろん忙しい時に短時間とかはウェルカムだけどね、それだと意味がないって入ってくれないんだよ。時給も最低賃金じゃ嫌がるし」
これは以前から耳にしていたが、最近アルバイトは忙しい時、社員が少ない時以外いらないというところも増えた。本当に虫のいい話だが、かつてのように暇な時間も込みで丸一日入れる牧歌的なバイトは減っている。あっても辞めないので、席は空かないか、あっても年中地獄のように忙しく人間関係も最悪なブラックバイトしかない。それすらコロナで減っている。
「唯一ネックだったのが(外国人留学生の労働)時間制限なんだけど、それも特定技能になってくれれば留学生どころか普通に外国人使えるようになる。そしたらほんと、日本人でコンビニバイトに来るような連中はいらないね」
外国人留学生が資格外活動の許可を得て働ける時間には「1週間28時間以内」という制限がある。ただし学校が認めるなら、夏休みなどの長期の休みに限り「1日8時間以内かつ週40時間以内」の労働が認められている(職種にもよる)。大手コンビニチェーンは遵守してるが、コンビニに限らず中小企業や個人店舗などは守っていないところもあり、実際は掛け持ちでそれ以上に働く外国人留学生も多い。
しかしオーナーの言う通り、「特定技能」つまり「介護」「農業」「製造」「建設」などの専門職に「コンビニ」が加われば留学生に限らず大量の外国人を技能実習制度を使ってコンビニで働かせることができる。これは2017年ごろから日本フランチャイズチェーン協会を中心に働きかけがあり、2020年7月にも「自民党政務調査会外国人労働者など特別委員会」(片山さつき委員長)が政府に提言している。結局コロナの影響もあり「適切に検討する」とすることで先送りとなったが、一般国民はコロナ禍のバイトすら外国人に奪われようとしている。
日本人を守らなければ無駄な分断を生む
私は排外主義者ではないし、本稿のオーナー氏は一例でしかない。またあくまで都心の話で地方には当てはまらないだろう。例えば私の故郷の野田(千葉県)あたりのコンビニは今だに日本人の主婦や学生、フリーターを中心とした昔ながらのバイト先である。多数の地方、田舎のコンビニはそうだろう。しかしこの都心部における外国人コンビニ店員の爆増は、決して都心だけの話にとどまらず、将来的にはコロナ禍も相まってセーフティーネット的な単純非正規労働における日本全国の食い詰めた日本人と外国人との奪い合いに発展するに違いない。
現に人材派遣各社は「外国籍人材定着支援サービス」や「外国人材受入支援プラットフォーム」などでコロナ禍にあっても新たな奴隷貿易の準備を着々と進めている。オーナーの不遜な自信はそんな政官財の方針もあるのだろう。おかしな話だ。コロナ禍で日本人失業者や生活困窮者はさらに増えているのに、このように安上がりというだけで外国人の雇用拡大に走る自由民主党の一部と、無条件に外国人労働者を日本人に搾取される弱者と決めつける一部リベラルには疑問を抱かざるを得ない。
こういった安易な外国人雇用と悪平等こそが差別と分断を生む。これから新型コロナウイルス感染拡大の第2波、第3波の状況次第では大失業時代が到来するかもしれない。再度の緊急事態宣言など発令され日には多くの失業者であふれかえる。現に正社員すらあちこちで切られ始めている。多くの国民がその不安を多くの国民がその不安を抱える中、コンビニ一つ取っても外国人労働者優遇にひた走る、ここは日本だ。
まず日本人のことを考えるのは当たり前の話なのに、コロナ禍すら経団連と新経連、族議員は「さらなる外国人労働力の安定供給」「外国人労働者の入国と定住の促進」と、言っていることはこのオーナー氏と変わらない。経団連は7月14日、新経連は8月17日にコロナ禍の外国人労働者に限る入国制限措置の緩和を提言した。日本人はそっちのけ、こと雇用に関しては外国人をとやかく言う以前に日本人の敵が日本人という体たらく。
あらためて問う。この国はいったい誰のための国なのか。
---------- 日野 百草(ひの・ひゃくそう) ノンフィクション作家/ルポライター 本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。近刊『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社)寄草、近著『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)。 ----------


不労所得廃止へ!!!