【ワシントン時事】ポンペオ米国務長官は２日、米国に駐在する中国の幹部外交官が大学を訪問したり州・自治体の当局者と面会したりする場合、国務省の承認を得ることを義務付けると発表した。中国公館主催で５０人超が参加する文化行事を外交施設外で開く場合も、米側の承認が必要になる。
　ポンペオ氏は記者会見で「中国共産党は長年にわたり、米外交官による中国国内での通常の活動に対し、不可解な承認取得を求めてきた」と指摘。中国外交官の行動制約の強化は、相互主義に基づく措置だと強調した。
　これに対し、在米中国大使館は中国メディアを通じ「外交関係に関するウィーン条約を踏みにじるもので、断固反対する。関連決定を撤回するよう促す」との談話を発表した。
　ポンペオ氏はまた、クラック国務次官が米国内の大学に書簡を送り、中国共産党の脅威に注意するよう促したと説明。「研究への不正な資金提供、知的財産の窃取、人材の不透明な獲得といった形で脅威が現れることもあり得る」と述べた。
　米政府は、米国の大学を舞台にした中国の活動に神経をとがらせている。８月には中国政府が中国語や中国文化普及のため米国の大学などに設置した教育機関「孔子学院」について、在米公館と同様の「外交機関」と認定した。