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安倍総理の志は死なない!!

バチカン、ポンペオ氏との会談拒否 「中国との暫定合意」批判への不快感も理由か

 ローマ教皇庁(バチカン)は9月30日、フランシスコ・ローマ教皇とイタリアを訪問中のポンペオ米国務長官との会談を拒否したと明らかにした。「米大統領選挙前で教皇が政治利用されるおそれがある」ためだという。ロイター通信などが報じた。ただ、ポンペオ氏は中国での司教の任命方法を巡るバチカンと中国の暫定合意を批判しており、バチカン側がこれに不快感を示したのも「拒否」の理由の一つとみられる。
 バチカンのメディアなどによると、ポンペオ氏は30日にローマであった米国側主催のシンポジウムで「中国ほど信仰の自由を侵害している国はない」と批判。「カトリック教会は、人権侵害との闘いの最前線に立つべきだ」と訴えた。
 暫定合意は2年間の期限を迎え、近く延長される見通しだが、ポンペオ氏は自身のツイッターで「合意を延長すればバチカンは自らの道徳的権威を危うくする」と指摘した。
 これに対し、シンポジウムに招かれたバチカンのパロリン国務長官(首相に相当)は「合意も中国の信仰の自由に向けた一歩だ。米国の内政に利用するのはふさわしくない」とけん制した。パロリン氏は、ポンペオ氏の発言を中国との対立を強調するためのものだと受け止め「合意は教会内部の問題だ」と反発しているという。【パリ久野華代】
バチカンと中国、暫定合意の延長めぐり判断へ
 バチカンと中国は、既に暫定合意を延長する意向を示している。バチカン国営メディア「バチカンニュース」は9月29日、10月中にも延長の判断が下されるとの見方を伝えた。報道によると、暫定合意は2018年9月22日に締結され、1カ月後の10月22日に正式発効。発効日から2年後の20年10月22日までに延長するかどうかの判断が必要になるという。
 報道の中で、パロリン氏は「継続する価値がある」と改めて延長に意欲を示した。バチカン側は暫定合意によって、教皇と中国の信者との宗教的な結びつきが確保され「教会の正常化」(パロリン氏)が図られる意義を強調する。
 一方、中国紙「環球時報」(英語電子版)は9月24日、政府系教会の幹部が「中国のカトリック教会が健全に発展し続けられることを示した」と、暫定合意の意義を強調する声を伝えた。
 中国としては、バチカンから自国の宗教政策にお墨付きを得ることで、欧米で強まる中国の人権状況を巡る批判に対抗する狙いもある模様だ。
 ただ、習近平指導部があらゆる宗教への締め付けを強める中で、教皇が香港情勢を含む中国の人権状況に沈黙を続けることに、カトリック内部からも懸念の声が強まっている。
 中国共産党の宗教政策を批判してきたカトリック香港教区の陳日君枢機卿は9月下旬、教皇に実情を訴えるためにバチカン入りしたが、対面できなかった。
 その後、陳氏はカトリック系メディアの取材に「中国では非公認の地下教会はミサさえできない。香港(に対する社会統制)も中国と同じような状況になりつつある。我々は非常に危険な状況にある」と訴えた。【北京・河津啓介】