ネコウヨの散歩

ネコと憂国

豪中の対立、先鋭化

 貿易パートナーとして関係を拡大し中国の習近平国家主席が2014年にオーストラリアの議会で演説するなど、一時は蜜月時代を築いた豪中の関係が急速に悪化している。トランプ米政権と連携するモリソン豪政権が新型コロナウイルス発生をめぐる第三者調査を要求すると、中国が激しく反発。中国は豪州からの輸入を減らす措置で報復する一方、豪州は日米などとインド太平洋地域での連携強化を進めていて、対立が先鋭化する豪中関係の先行きは見えていない。
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 豪州
 ■無責任な対応 関係最悪に
 中国からの経済圧力にさらされるオーストラリアのメディアは、豪州産品の輸入制限など中国が繰り出す圧力措置を細かく報じ、その理不尽な行為や共産党政権が統制する同国の脅威について報じている。
 中国政府が中国内の紡績工場に豪州産綿花の使用中止を求めている動きが今月に入って明らかになると、豪メディアは両国の関係悪化による「次の犠牲者は綿花輸出になる」などと報じた。
 中国は、モリソン豪政権が4月に新型コロナウイルスをめぐる第三者調査を要求したことを機に、豪州にとって最大の貿易相手国である立場を利用して事実上の報復措置を強めている。報復の対象を石炭や綿花にも広げ、豪州経済にダメージを与えながらモリソン政権を追い詰めようとしている状況だ。
 豪紙オーストラリアン(電子版)は11日の論説記事で、「最悪の状態にある中国との関係」は、モリソン政権が新型コロナをめぐる第三者調査を求めたことに対する「中国の不合理で、無責任な対応」が主な原因だと非難した。
 同記事は、中国が豪州人作家らを拘束したことや、南シナ海における海洋進出などに触れながら、他国と同様に豪州は「中国の弱い者いじめや不品行」に立ち向かっているだけだと主張する。豪州の対中政策が突出した強硬姿勢でないことを指摘し、中国の不当な対応を批判した形だ。
 同紙(電子版)の9日の論説記事では、日米豪印4カ国がインド太平洋地域で安全保障などでの連携強化を図る動きについて「中国は予想通り激怒している」と指摘。豪州政府が進める日米などとの連携で、中国が反発することには驚かないという豪側の冷静な姿勢を示した。
 また、対中包囲網ともなる4カ国の連携などに関して、中国の悪意ある行動に対抗し「地域の国々を安心させる必要がある」とし、モリソン政権が進める日米豪印による協力を評価している。
 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)は16日の記事で、駐豪ドイツ大使が悪化する豪中関係に関して「大きな懸念をもって状況を見守っている」と述べたことを紹介した。中国の脅威が他国でも認識され、豪中関係の行く末が注視されていることも伝えている。
 また、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が今月発表したリポートは、中国によるデジタル通貨や電子決済が世界的に広まれば、国境を越えた経済行動を形成、監視する「共産党国家の能力を大幅に拡大することになる」と警鐘を鳴らしている。(坂本一之)
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 中国
 ■増す圧力 新たな同盟警戒
 新型コロナウイルスの感染拡大後、中国はオーストラリアに対する圧力を一方的かつ急速に高め続けている。
 豪州産の牛肉や大麦に関して輸入の一部停止や高関税を課したほか、ワインに対しても反ダンピング(不当廉売)の調査に着手。さらに今月中旬には、中国政府が複数の国有企業に豪州産の石炭輸入を停止するよう指示したと報じられた。
 中国側が豪州への圧力を一気に強めたのは、豪政府が4月に新型コロナウイルスの発生源などに関する「独立した調査」を要求したことがきっかけだ。
 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)が9月17日に掲載した国際問題専門家の評論は、「中豪両国の各界・民衆がウイルスとの戦いにおける協力を密接に行い、豪州による中国での防疫物資の調達に便宜を図ろうとしていたときに、豪政府は出し抜けに『独立国際調査』を持ち出してきた」と不満を隠さず豪側を批判した。
 環球時報の胡錫進(こ・しゃくしん)編集長が4月27日に中国版ツイッター「微博」に投稿したメッセージはより挑発的だった。
 「豪州はいつも面倒を引き起こす。靴底にこびりついたチューインガムのようなもので、時には石を探してこすり取らざるを得ない」
 しかし、関係悪化が進む豪州をめぐり、中国側が神経をとがらせるのが「自由で開かれたインド太平洋」構想の動きだ。日米が提唱し、それに豪州とインドが中国を念頭に連携強化を進める。
 中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相は今月16日、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国への訪問を終えて中国国営新華社通信のインタビューに応じ、北大西洋条約機構(NATO)を引き合いに出して次のように強く非難した。
 「米国が提起する『インド太平洋戦略』は、米日印豪の4カ国の枠組みをよりどころにしてこの地域でまき直しを図り、ひいてはインド太平洋版の新たなNATOの構築を企てるものだ」
 さらに王氏は「米国の主導的な地位と覇権システムを守る意味がある」とも述べ、豪州などを巻き込んで対中圧力を強める米国を牽制(けんせい)した。
 環球時報は今月21日付の社説で「いわゆる『4カ国同盟』は、米国がそれをNATOにしようと全力を傾注しているだけであり、他の3カ国は積極的に利用している」との見方を示す。
 対豪州で見られたような中国の強硬姿勢が4カ国を近づけた形だが、アジア地域において米国が主導する新たな「同盟」が形成されることを中国は強く警戒している。(北京 三塚聖平)
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 ≪ポイント≫
 ・豪州は他国と同様に中国の不品行に対応
 ・悪意に対し日米豪印連携で地域に安心感
 ・中国は豪州が「面倒を引き起こす」と批判
 ・日米豪印の同盟は「新たなNATO構築」


唐の時代に周辺民族をすべて敵に回して滅亡を早めたことがあったなw