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科学技術の軍民両用、議論を 日本学術会議に経済界から改革求める声

 井上信治科学技術政策担当相は9日、日本学術会議に関する意見交換のため、経済同友会の前代表幹事の小林喜光・三菱ケミカルホールディングス会長らと会談した。国会で論戦が繰り広げられている学術会議をめぐっては、経済界からも改革を求める声が強まっている。小林氏らは、科学技術のデュアルユース(軍民両用)や組織の独立性の確保などに向けてより踏み込んだ議論が必要だと訴えた。
 会談には、小林氏のほか、NTTの篠原弘道会長、富士通の梶原ゆみ子理事ら、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI、システィ)の議員らが出席した。3氏は会談後、報道各社の取材に応じた。
 篠原氏は科学技術の軍民両用について、「今のままでは稚拙な議論ではないか」と問題提起したと明かした。同氏は「サイバーセキュリティーは民間にとっても非常に重要な技術だが、ほとんど軍事の技術と変わりがない」と指摘。民間企業が他国軍の標的となる可能性があるとした上で「もう少し冷静な議論をしなければいけないと思う」と述べた。小林氏は「国家安全保障とサイエンスはほぼ境界がなくなっている時代だ。米中のはざまで日本がどう生きていくかの議論が重要だ」と指摘した。
 経済界では、学術会議の在り方について、政府から独立した組織形態を取るよう求める意見が多い。米英など主要国の科学学術団体は政府からの財政支援は受けるが政府とは独立した組織だ。米科学アカデミーは民間非営利団体(NPO)、英王立協会は非政府組織(NGO)という立場を取る。日本学術会議も、社団法人や国立大学法人のような特別の法人といった形態への変更を例示する。
 井上氏は会談後の記者会見で、「予算や人が担保できれば独立した組織でもいいのではないかという意見と、逆に行政の一環だから機能を果たすことができるのではという意見もあった」と述べた。さらに、民間企業の研究者など産業会に所属する会員や連携会員の割合がごく少数にとどまるという問題意識を共有し、「会員や連携会員に選んでもらえるなら人を出したいと言っていただいた」と明かした。
 他方、経団連も近く自民党の「政策決定におけるアカデミアの役割に関する検討PT」で意見を表明する予定だ。経団連は平成27年、学術会議について、独立性のある活動や国民への情報発信などを含む改革の方向性について提言している。