Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

民主主義は無理ゲーw

アフリカしぼむ民主主義 任期帳消し、強権化…「中露モデル」拡大


2020/11/11 06:08


 アフリカ各国で憲法改正を理由に、大統領が「過去の任期はリセットされた」と主張して延命を図るケースが相次いでいる。かつて大陸に広がった政治改革の機運はしぼみ、独自の解釈でルールを変更する強権指導者が増えている。この傾向が続けば汚職や反体制派の弾圧などが拡大する公算が大きい。世界では昨年、民主主義の国が約20年ぶりに少数派に転じたとの調査結果もあり、「強権化」は国際的な潮流となりつつある。(中東支局 佐藤貴生)
改憲は隠れみの
 西アフリカ・コートジボワールで10月31日に行われた大統領選には、2011年に就任して3期目を目指すワタラ大統領(78)が出馬した。ロイター通信は11月3日、同氏が9割以上を得票、勝利するとの暫定結果を伝えた。
 同国の憲法には大統領任期は2期までという規定が残っている。ワタラ氏は当初、後継者を指名して出馬しない意向を示していた。が、この夏に後継者が急死すると一転して出馬に動いた。「(自らの任期中の)16年に新憲法が承認されたため、過去の任期はリセットされた」とし、問題はないとしている。
 他候補は同氏の出馬は憲法違反だと批判しており、与野党の支持者の対立などで少なくとも40人が死亡した。10年の大統領選の後もワタラ氏と前大統領の陣営の対立が深刻化し、武装組織の介入などもあり3千人が死亡したとされる。
 「任期リセット」を主張するアフリカの指導者はほかにもいる。
 西アフリカ・ギニアで10月18日に実施された大統領選では、2期務めた現職のコンデ大統領(82)が約60%を得票、勝利を決めた。野党支持者と治安部隊が衝突し、少なくとも17人が死亡した。憲法の規定では大統領任期は2期まで。だが、コンデ氏は「3月に国民投票が行われて憲法が改正されたため、過去の任期は帳消しになった」との見解だ。
 一方、アフリカ中部のウガンダでは「大統領は75歳以下でなくてはならない」という年齢制限の規定が撤廃された。34年間、権力を維持するムセベニ大統領が76歳となったためだ。
 与党は21年2月に予定される大統領選に向けて同氏の擁立を決定。ウガンダでは新型コロナウイルス感染阻止の名目で政治的デモが禁止されており、野党側に不利な状況が続いている。
中露など大国も
 米政府系のシンクタンク「アフリカセンター」によると、アフリカの場合は1990年代、政治権力の分散を図る改革の一環として大統領任期を制限する機運が広がった。しかし、2015年以降は揺り戻しが顕著になり、アフリカ全54カ国のうち前記の3カ国を含む13カ国で任期延長の動きが出ている。これらの国の大半で紛争が起き、汚職も深刻だといわれる。
 また、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は10月中旬、アフリカの選挙に関する記事で、権力側は司法当局や選管を懐柔して自陣に有利な判断を引き出したり、野党候補を何らかの罪で訴追したりして、自らに有利なルール作りを進める傾向があると分析した。
 アフリカでは赤道ギニアの「41年」やカメルーンの「38年」を筆頭に指導者の在位期間が20年を超える国が10カ国あり、ガボンやトーゴでは一族支配が半世紀以上続いている。不明瞭な形で延命を図る権力者がこの流れに加われば、アフリカで自由や民主主義の拡大を望むこと自体、困難になるといわざるを得ない。
 民主主義の衰退はアフリカだけでなく世界中で広がっているという分析もある。スウェーデンの調査機関V-Demによると、昨年には2001年以来初めて、民主主義の国家が87カ国と、非民主的な国家の92カ国を下回った。
 民主主義の下で暮らす人口は世界の46%に過ぎず、地域によってはソ連が崩壊した1991年以来の低水準だとし、「世界で強権化が進んでいる」と警鐘を鳴らしている。
 最高指導者の延命と権力強大化を図る改憲の動きは近年、大国でも相次いだ。中国では2018年に国家主席の任期が撤廃され、習近平主席の「終身独裁」に道が開かれた。ロシアでは今年、プーチン大統領の現在の任期が切れる24年以降の出馬が可能になった。
 中露は周辺国への高圧的な外交や覇権的な行動で自国に優位な形での「現状変更」を模索し、国内では反体制派やメディアを徹底統制する強権姿勢で知られる。
 中東では曲がりなりにも民主主義が機能してきたとされるトルコでも、17年に議院内閣制から大統領が実権を握るシステムに移行したのに伴い、エルドアン大統領が強大な権限を手にした。
 民主主義陣営に属する日本としては、中露を含むこうした強権国家が世界に広がりつつあることを胸に刻んでおくべきだろう。