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インド太平洋構想を安倍前首相後押し 英シンクタンクに寄稿 退陣後、外交でも再始動

 英国の有力シンクタンク、ポリシー・エクスチェンジがまとめた「自由で開かれたインド太平洋」に関する報告書に、安倍晋三前首相が「安定と繁栄に役立ってきた規則や規範による秩序を守ることが重要で、英国の加入を歓迎したい」と寄稿していることが23日、明らかになった。インド太平洋構想の実現を後押しするもので、退陣した安倍氏が外交でも本格的に再始動した格好だ。(岡部伸)
 報告書は、ポリシー・エクスチェンジがカナダのハーパー元首相を座長に、オーストラリアのダウナー元外相、英国のファロン元国防相、ニュージーランドのマッカリー元外相、鶴岡公二前駐英大使ら各国の有識者が参加した委員会で議論し、英政府に同構想への関与を提言している。
 法の支配などを基調としたインド太平洋構想を最初に提唱した安倍氏は前文で「全ての国が協力し、目的を共有し、共通の努力の成果を享受しようとするときにのみ安定と繁栄は保証される」と指摘し、「英国が関与して真にグローバルな協力時代へ道を示す」と英国の参加に賛意を示した。
 ポリシー・エクスチェンジは「同構想を提唱した父親的存在で、日英関係を歴史的に進展させた安倍氏の支持は英政府に究極の説得力を持ち、国際社会へ影響力を発揮する」と最大限の評価をしている。
 報告書は、英政府に地域の安定と繁栄をもたらす新アプローチを定めた憲章を作成し、特使を派遣してインド太平洋戦略を公表すべきだと提案している。日米豪印の安全保障対話への参加や、医療物資などの供給網多角化に加え、英中宣言に基づく香港の自治と自由を支持し、公衆衛生やサイバー安保で台湾との現実的協力を模索せよとしている。
 インド太平洋構想は、米国をはじめ東南アジア諸国連合(ASEAN)、独仏などで賛同が広がっている。英国は「インド太平洋構想で協力を推進する」(ラーブ外相)と秩序構築に参加姿勢を示したが、正式に賛同していない。しかし、ジョンソン英首相が菅義偉(すが・よしひで)首相との電話会談で構想実現への協力、連携を確認し、来年には空母「クイーン・エリザベス」をインド太平洋に派遣する方針も明言している。安倍氏の後押しで構想に賛同し、自由諸国の共通政策となる可能性が高い。
 インド太平洋構想に賛同が広がる背景には、巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げて影響力を及ぼし、軍拡で海洋覇権をもくろむ中国への警戒感がある。日本は英国など共通の価値観を持つ国々と経済や安保の連携を強め、中国への対抗軸とする。