Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

安倍氏再々登板への地ならし

政府は何もしなかった3週間
 西村康稔経済再生担当相が新型コロナの感染拡大を食い止める「勝負の3週間」だと語ったのは、先月(11月)の25日だった。だが一体勝負のために何をやったのか。Go Toトラベルを中断したのか。Go Toイートを止めたのか。何もしてこなかった。12月14日の夕方、菅義偉首相はようやくGo Toトラベルを12月28日から2021年1月11日まで全都道府県で一時停止すると表明したが、不要不急の外出に対する自粛要請は今なおしていない。
 もともと勝負などまったくしていないのだ。西村氏というのは、いつも口先だけだ。しかも中身があった試しがない。結果、どうなったか。感染者数も、重症患者数も連日のように過去最多を記録している。
 ソフトバンク系列のIT企業「アグープ」がスマートフォンの位置情報を基に推計したデータを使い、読売新聞が都市部の繁華街や主要駅周辺の人出を分析している。その分析によると、東京の新宿・歌舞伎町や札幌・すすきの駅、福岡・博多駅では、翌週に数ポイント減った程度で、翌々週には微増している。名古屋・栄駅もほとんど減っていない。大阪・なんば駅だけは翌々週にかけて17ポイント減った。大阪府が12月3日に独自基準で非常事態を示す「赤信号」を出したからだと見られている。
そもそも不公正で、税金ばらまきのGo To事業
 Go Toトラベルも、Go Toイートも実に不公平な制度である。例えば、いま医療関係者や福祉関係者、公務員やスーパーの店員などは、ほとんどがGo Toトラベルを使えるわけがない。使える人は限定されている。しかもまったく使えない人がいる一方で、何度も使っている人もいる。
 私などは基礎疾患持ちの高齢者なので、この制度を使って旅行する気分にはまったくならない。恩恵を受けているのは、JTBなどの旅行業者や一部の高級旅館、高級ホテルと、その周辺の土産物屋だけではないのか。
 この事業に使われる1兆数千億円はすべて税金である。後始末をどうするつもりか。
 Go Toイートの場合は、初回の支払い以降は付与されたポイントを使って何度でも繰り返し飲食できる「無限ループ」の錬金術が横行した。何とも卑しい話だ。ここでも儲けているのはグルメサイトである。しかも感染を拡大させているのだ。
 もっと金を使うべきところがあるだろう。観光、飲食だけではなく、致命的な打撃を受けている業態はいくらでもあるはずだ。あまりにも偏りすぎているのではないか。
Go Toトラベルと感染拡大の因果関係は?
 12月7日、Go Toトラベルを利用している人は、利用していない人より新型コロナへの感染リスクが高いとする調査結果を、東京大学などの研究チームが発表した。
 この調査は、2万8000人を対象に行われている。調査は、新型コロナへの感染が疑われる症状である嗅覚や味覚の異常、発熱などがあったかどうかを調べたものである。その結果は、例えば、嗅覚や味覚の異常を訴えた人の割合はGo Toトラベルを利用した人が2.6%なのに対し、利用しなかった人は1.7%となるなど、統計上「有症率の差」がおよそ2倍になったという。またGo Toトラベル利用者の中では、東京都が自粛を呼びかけている65歳以上の高齢者よりも65歳未満の方が感染を疑わせる症状を経験している割合が高かったことも判明した。
 東京大学大学院の宮脇敦士助教は「元々高齢者の方のほうが感染した時の重症化リスクも高いということも、皆さんよく分かってらっしゃって、『Go Toトラベル』を使って旅行に行っていても、しっかりと感染予防対策をとっている人が比較的多いのではないか」と分析している。
 宮脇助教は、Go Toトラベルが感染拡大の“主要な原因”といえるかは今後の研究とした上で、「少なくとも(Go Toを)使っている人の方が、感染させるような症状を呈している割合が多いということは、少なくともGo Toトラベル利用が感染拡大に影響しているということは言えるのではないかと思います」と語っている。
 これまで菅首相ら政府は、「Go Toトラベルが感染を拡大させたというエビデンスはない」と言って、あくまでも続行を主張してきた。この主張を覆すものとして、この研究は貴重なものである。
 この調査結果について、加藤官房長官は12月8日の記者会見で「著者自らも、研究方法の限界として利用が直接的に症状につながったと断定できない点を挙げている」と指摘し、この調査を無視する姿勢を強調した。本当に無責任としか言いようがない。だったら政府で専門家を集めて調査するという態度をとるべきだろう。
「ガースーです」などとふざけている場合か
 12月11日、ネット番組のニコニコ生放送に出演した菅首相がいきなり冒頭で、へらへら笑いながら「ガースーです」と言ったのには、「ふざけた奴だな」と怒り心頭に発した。今年、ほぼ1年間、新型コロナによって多くの企業が倒産し、多くの人々が職を失い、学校も行けなくなり、国民は心身共に疲弊しきっている。
 なかでも医療関係者は、政府の無策によって塗炭の苦しみにあえいでいる。今この瞬間にも患者の命を救うために、自らも恐怖を感じながら懸命な治療を続けている医師、看護師がいる。菅首相は、どうしてこの医療関係者や失業者、自殺者の前でへらへら笑いながら「ガースーです」などと言えるのか。
 政府の分科会も、医療関係者も、ほとんどの人がGo Toトラベルを一度中断せよと提言していた。しかし菅首相は、この放送で「移動では感染しないという提言もいただいていた」と語っていた。本当に愚かとしか言いようがない。
 ただ移動したからといって感染することはないだろう。少なくともリスクは低い。毎日の通勤・通学を見れば分かる。問題は、移動した後のことだ。宿泊施設に泊まり、飲食を行い、観光地に出かけ多くの人と接触する。これが感染を拡大させたのだ。
 だったら大阪市と札幌市をなぜGo Toトラベルから除外したのか。東京都の65歳以上の高齢者や基礎疾患持ちの人の自粛を呼びかけたのか。まったく首尾一貫していないのだ。
 そもそもあんなにゆるいニコニコ生放送で身内のようなジャーナリストや「ガースー」にバカウケするようなフリーアナウンサーに語るのではなく、自ら発信し、記者のどんな質問にも答える姿勢を示すべきである。
下がり続ける菅内閣の支持率
 毎日新聞と社会調査研究センターは12月12日、全国世論調査を実施しているが、その結果がなかなか衝撃的なものだった。
 菅内閣の支持率は40%で、11月7日に行った前回調査の57%から17ポイント下落した。不支持率は49%(前回36%)で、菅内閣発足後、不支持率が支持率を9%も上回ったのである。これは菅内閣発足後初めてのことである。
 菅政権の新型コロナウイルス対策について聞いたところ、「評価する」はわずか14%で、前回の34%から20ポイントも下がっている。「評価しない」は62%(前回27%)と倍以上に増加している。新型コロナ対策の評価が下がったことが、支持率の大幅減につながったことは間違いない。
 ただ、支持率を反転させる方法はある。消費税の一時停止だ。廃止しろとまでは言わない。それから外国人の入国禁止だ。もちろん、陽性者に外国人がほとんどいないということが明示されれば、その必要はない。国民のための政治が何よりも求められている。