Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

これではコロナ第三波は止められない!? 菅首相と小池都知事の機能不全状態

遅すぎた菅政権の「GoToトラベル」中止の決断
 迅速かつ大胆な対策を即断即決しない菅政権(首相)の職務怠慢が際立っている。
 12月14日にようやく菅首相はGoToトラベルの年末からの一時停止を決めたが、内閣支持率が不支持を下回った末の「後手後手の対応」(参照:毎日新聞)だった。
 というのも、第三波の感染拡大が始まった11月20日に、尾崎治夫・東京都医師会会長はGoToキャンペーン一時中断(東京除外)を会見で訴え必死で訴えていたのに、菅首相は12月1日に小池百合子知事と面談、高齢者と持病持ちへの自粛にとどめるという、無意味かつ煮え切らない決断をしていただけだったのだ。
 この菅政権の煮え切らない態度について、12月8日の会見で、尾崎会長に単刀直入に聞いてみた。
東京医師会会長は「すべての年代で旅行を止めるのが効果的」と言っていた
――11月20日にGoToキャンペーン中断を訴えられたのに、12月1日にGoToトラベル東京除外については高齢者と持病持ちの人への自粛へとどまった。どう見ているのか。
尾崎会長:活発に動く若い人を中心に無症状者が多いわけだから、感染が広がって家庭内の高齢者に持ち込むとか、GoToトラベルで目的地に行ったらみんなでワイワイ騒ぐことになるので、すべての年代で旅行を止めていただくのが効果的だと思うので、そこに至っていないことについては残念だと思う。
「菅首相よ “ハンマー”を振り下ろせ 第三波を甘く見るな。いまこそ警戒心の緩みを締め直すとき」と銘打った『文藝春秋』1月号の記事にも尾崎会長は登場。


 同記事では、“感染拡大したときは、有効な対策を打ち出す。小康状態の時は経済を回していく。それを『ハンマー&ダンス』(抑制と緩和)と呼んでいますが、いざ必要な時でも、政府はハンマーを振り下ろさないんです“とも指摘していた。
二階幹事長に気兼ねをして、都知事は何も言わなくなった!?
 危機管理能力の欠如が明らかな菅首相に対して、GoToトラベル東京除外を直訴するなどの役割を期待されるのが小池百合子・東京都知事だ。第二波の感染拡大期の7月10日には「冷房と暖房を同時にかけるようなもの」とGoToキャンペーンを一刀両断。政府に異論を唱える役を買って出ていたが、第三波では菅首相の小出し対策を追認していた。小池知事の変化について会見終了後に尾崎会長に聞くと、こう答えた。
「付き合いの長い二階幹事長に気兼ねをして、菅首相に物を言わなくなったのかも知れないが、このままだと小池知事は都民の支持を失っていくのではないか」
 なぜ小池知事は、GoToトラベル批判をしなくなったのか。東京除外まで踏み込まなかった12月1日のトップ面談の3日後の4日、都知事会見でこのことについて聞いてみた。筆者はこの日も質問者として指されなかったので、“記者排除”への抗議の意味も込めて会見終了直後に声掛け質問をした。
「(GoToトラベル東京除外は)高齢者自粛だけでは不十分ではないですか。専門家、医療関係者、批判しているではないですか。菅総理と仲直りをして、この程度の対策しか出せないのですか。不仲説解消の記事は本当ですか。(菅首相と小池知事の)ホットラインは本当にあるのですか。五輪は本当に開催できるのですか。根拠を示してくださいよ。菅総理と何と話したのか」
 小池知事は、無言のまま立ち去った。
筆者の「東京の全世代を除外しないのですか」との質問を小池知事は無視
 筆者は1週間後の12月11日の都知事会見でも質問をさせてもらえず、会見終了後に同様の声掛け質問を行った。
「GoToトラベル、東京の全世代を除外しないのですか。菅総理と談合決着をしたのですか。裏取引でもやったのですか。尾崎会長は不十分、残念と言っています。知事一人で決めているのですか。ブラックボックスじゃないですか」
 小池知事は、この日も無言のまま立ち去った。
 筆者が著書『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』で紹介した通り、“お気に入り記者”を優先的に指名する一方、不都合な質問をする記者は指さないという差別的対応が今でも継続している。
 その結果、GoToキャンペーンに固執する菅首相を追認するだけの小池知事が、会見でそのことを問い質される場面はほとんどないのだ。“記者排除”で不都合な真実を隠蔽するメディアコントロールの産物ともいえる。
藻谷浩介氏「東京除外解除が、第三波感染拡大の主因」
 しかしGoToトラベル東京除外を即断即決しない菅首相と追認する小池知事が、第三波の感染拡大を招いている「亡国コンビ」であることは、藻谷浩介氏(日本総合研究所主席研究員)の「新型コロナへの対処 感情の前に事実把握を」(12月6日付の『毎日新聞』)の記事をみても明らかだ。藻谷氏は、東京除外解除が第三波感染拡大の主因であり、両トップの急転直下の決着(高齢者と持病持つ人の自粛)は的外(まとはずれ)と指摘し、以下のように批判している。
“今回の感染再々拡大は10月後半から起きており、その半月前の10月初頭に東京都を(GoTo)キャンペーン対象地域に加えたことの影響は明らかだろう。他方で7月下旬に東京都を外して開始した際には、逆に半月後の8月上旬から新規陽性判明者が顕著に減った。つまりGoToそのものの実態ではなく、東京都を対象に入れるかどうかがカギだったのだ。
 日本の陽性判明者数の3割前後が東京都在住であることからすれば、うなずける結果だ。都と他道府県との間には、人口100万人当たりに直しても数倍から数十倍もの感染率の差があり、都在住の無症状感染者の地方への旅行や、地方からの旅行者による都内での感染こそ、拡大の主因であると考えられるからだ“ (12月6日付の『毎日新聞』)
首相と都知事の機能不全状態はいつまで続くのか
 藻谷氏と冒頭の尾崎会長の見解は、ぴったり一致した。経過を整理すると、両トップの大罪(怠慢)が実感できる。
1)第二波の感染拡大が小康状態になる前の10月1日、菅政権(首相)がGoToトラベル東京除外を解除。
2)10月後半、第三波の感染拡大が始まり、感染者数が過去最大に。
3)11月20日、尾崎会長がGoToトラベル一時中断を訴える。菅首相は即断即決せず、小池知事も要請せず。
4)12月1日、菅・小池トップ面談で高齢者と持病持ちの人への自粛を決定。
 10月1日の東京除外解除は「早すぎる緩和」であり、12月1日の遅すぎる自粛決定と相まって、現在の感染拡大を招いていることは間違いない。最終決断をした菅首相と追認した小池知事の両トップは「亡国コンビ」と批判されても当然だ。一国の総理と首都のトップの機能不全状態は、いったいいつまで続くのか。二人の言動から当分目が離せない。
<文・写真/横田一>
【横田一】
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数