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安倍総理の志は死なない!!

「8秒外出」で罰金36万円、台湾に学ぶべきコロナ対策

台湾南部の高雄市のホテルにおいて、コロナで隔離中だったフィリピン人が無断で部屋から8秒間出たとして、当局から過料として10万元(約36万円)の支払いを命じられた。12月7日にNHKやCNNなどが報じると、瞬く間にSNSなどで話題になった。だが、多くの台湾人は、台湾の「常識」が世界の「非常識」であることに驚いているようだ。日本で再びコロナ感染者が増える中、なぜ台湾はコロナを封じ込めることができたのかを、改めて検証したい。(アジア市場開発・富吉国際企業顧問有限公司代表 藤 重太)
台湾の空港で
PCR検査をしない理由
 今回の36万円の支払い命令に対し、日本での反応はさまざまだ。
「ガチで国が感染対策をすれば、コロナウイルスの死者はゼロにできる好例」「海外ではこれがむしろスタンダード」「これくらいやらないと」「台湾を見習え」とおおむね好意的に受け止められている。
 しかし、一方で、「人権はどうなる」「やり過ぎだ」などの声も聞こえる。
 いずれにせよ、台湾のコロナ対策は、微に入り細をうがつほど奥が深い。
 なお、報道されてはいなかったが、台湾における14日間の隔離処置は厳しいだけではない。蔡英文総統は、この隔離協力者を「防疫ヒーロー」と呼んでおり、隔離期間を満了すれば台湾政府から1万4000元(約5万円)の防疫補償金が支払われる。
 台湾は4月12日以降、国内感染者ゼロを240日以上継続している。発生当初の約2カ月間は、日本と台湾は同じような発生者数で推移していた。だが、今では日本における1日の感染者数と死者数が、台湾の累計(感染者数716人、死者数7人)をはるかに凌駕している。
 この差は、台湾の初動の素早さと水際対策の徹底にあることは、すでに日本でも知られている。その徹底ぶりはすさまじく、1月末には台湾にいる中国人観光客を強制帰国させ、2月の初旬には完全に中国人の入国をストップ、3月には「鎖国状態」にまでしている。このような水際対策と同時に、帰国入国した人への隔離処置、健康管理も徹底的に行っている。
 台湾の空港ではPCR検査は行わない。基本的に、出発前のPCR検査の陰性判定証明書を信用していて、入国検疫時に発熱やせきなどの自覚症状があり自己申告のあった人、サーモグラフィーで引っかかった人が、問診やインフルエンザ検査などと同時にPCR検査を受けることとなっている。PCR検査で入国者を空港内に滞留させる方が危険であるし、費用(予算)の無駄であると考えているようだ。
 自宅もしくはホテルでの隔離期間中に症状が出た場合、そこで綿密な検査(PCR検査など)を行う方針を一貫して変えていない。もし感染者が出た場合は、すぐに感染防止のために気圧を低くした陰圧室のある病院に入院させ処置を行う。同時に感染者が帰国した飛行機内の座席表を基に、感染者の前後2列の乗客を濃厚接触者として、注意を強化する。
 台湾の空港では、入境者と一般人は接触しないように動線が確保されている。また、空港には政府の補助を受けて低額に抑えられている防疫タクシー、防疫バス等が用意されていて、隔離場所までには安全に到着することができる。
帰国後の隔離措置に
抜け穴だらけの日本
 一方、日本はどうか。空港では入国者全員にPCR検査を行い、公共交通機関以外での帰宅と14日間の自宅などでの自粛を呼びかけている。ただし、違反者には罰金もなく、いわゆる要請だ。
 先日もニュースで海外からの帰国者が一般の電車で帰宅する姿が報道されていた。また、今年3月には海外から帰国した女性が成田空港検疫所での検査結果を待たず、公共交通機関を使って沖縄の自宅に戻った後、感染が判明したというニュースも報じられた。
 帰国後の2週間の待機措置(自宅待機要請)も厳格ではなく、実際、筆者の知人の中には「近くへの買い物程度なら問題ない」と空港の検疫官に言われた人もいる。また、空港内で検査への長い列、滞留時間、検査後の流れなどを経験した友人からは、「空港で感染しそうだ」との意見も聞いた。
 11月に日本で行われた体操の国際競技に参加した中国代表の選手たちが、防護服で来日したことに、「無礼だ」と怒りを感じた日本人もいるかもしれない。だが、「日本の空港は危ない」と思われている大きなメッセージだと真摯(しんし)に受け止めた方がいいだろう。なお、この中国の体操選手団は帰国時も防護服を着ていた。世界は日本の緊張感のない感染対策をとうに気付いているのだ。
 来年の東京オリンピックに世界から防護服を着た外国人が大勢やってきたら、それこそ日本の「安全神話」や信用は地に落ちるだろう。
カップラーメンにお湯を入れようと
部屋を出て罰金36万円のケースも
 台湾には、新型コロナ対策を行う中央感染症指揮センターが指定した隔離措置管理制度が3種類ある。
 1つ目が、感染者と濃厚接触した可能性のある人が行う「居家隔離(以下、自宅隔離)14日」。2つ目が、海外からの帰国者と入国者が行う「居家検疫(以下、自宅検疫)14日」。そして3つ目が「自主健康管理」だ。
 なお、自宅がない外国人は、政府の指定した隔離ホテルで隔離処置を受けることになる。
 台湾衛生福利部(厚生省に相当)発表では、4月8日までに自国民、外国人問わず「自宅隔離」が8289人、「自宅検疫」が10万4363人で、合計11万2652人が隔離措置を受けたとしている。
 その後、4月以降現在まで、さらに海外から帰国・入国した約27万人が、「自宅検疫」の隔離措置を受けている。これらの「隔離措置14日間」を受けた総数は先の11万人と合わせて38万人に上っている。現在も5万人近くが、自宅やホテルで隔離中だ。
 しかし、9月以降フィリピン、インドネシアなどから労働目的で渡航した人たちによる感染が増加傾向で、11月30日には1日で24例、12月6日には22例の輸入感染が確認され、台湾では大騒ぎになっている。
 そして、入国者が増えると、隔離措置を順守しないケースも増えてくる。
 冒頭で触れた8秒の外出で36万円の支払いを命じられたケース以外にも、11月にはカップラーメンにお湯を入れに行って罰金36万円を受けたフィリピン人もいる。高雄市だけで11月に19件の同様の案件が報告されている。
 隔離処置を順守できなかった場合、違反程度によって10万元以上100万元(約360万円)以下の罰金を科されるほか、集中隔離施設に送られ強制隔離、さらに防疫補償(5万円)が無効となり、必要経費が徴収されることになる。この罰金は、各地方自治体に決定権があり、違反の件数などは公表されている。
 台湾では、4月12日の386例目の国内案件報告以降、12月14日の740例目まで8カ月間、国内での域内感染が発生していない。4月の387例目以降、今までの353件が海外から帰国・入国した人が持ち込んだ輸入案件だ。
 そのすべてが空港で判明か、自宅かホテルの隔離期間中に発症して、感染認定をされている。よって、国内には新型コロナウイルスは流入されていない。「国内では、安全が確保されている」と大半の台湾人は信じている。それゆえに、台湾人は政府による厳格な隔離措置や取り締まりを当然のこととして受け入れ、一方、行政も取り締まりの状況を公表し、透明化している。また、この厳しい「隔離措置」に国民の9割近くが理解を示す世論調査も発表されている。
 台湾には、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の悲劇以降、作り上げてきた法律と対策があり、かつ、実行実践する組織がしっかりできていた。そして、指揮命令系統、責任の所在がはっきりしていて、必要な情報は公開され透明化が維持されている。また、中央感染症指揮センターの会見を見れば、貴重な情報と現場の声を聞くことができる。
 一方、日本は感染制圧と経済推進という二兎を追い、政治家も専門家もいろいろ方面に忖度(そんたく)して、決断決意が見えず、歯切れが悪い。今でも、外国からの渡航者の入国緩和を進めている一方、Go To トラベルが停止されるなどちぐはぐだ。国民からすれば、いろいろな情報に振り回され、臆測が臆測を生み、何が真実なのかも判らない。完全にインフォデミックに陥っている。残念ながらその元凶は、政治決断の欠如ではないかと、台湾との彼我の差を見ていて感じてしまう。
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