「並ばない万博」初日から2時間待ち!行ってみてわかった「大阪・関西万博」の”根本的な問題”とは?

宮武 和多哉 : ライター
2025年04月18日
ネットで事前予約、QRコードでスイスイ入場できる「並ばない万博」だったはずが、開催初日から入場ゲートに2時間待ちの行列ができた。
現地では「電波状況が不安定」「荷物検査での混乱」「地下鉄の入場制限」などの不具合が生じ、約14万人の来場者は気温10度少々、雨と強風の中で右往左往することに。ゲートの向こうに”ミャクミャク様”が見えているのに、いっこうにゲートに近づかない……状況だった。
なぜ、ここまで混乱が生じたのか。実際に足を運んで寒さに震えた筆者が、当日の状況から「万博入場・2時間待ちの原因」をたどっていこう。
「ミャクミャク見えているのに、全然入れない!」待ち時間2時間のワケ
万博を運営する「日本国際博覧会協会」(以下:博覧会協会)によると、開幕初日となった4月13日は、11万9000人がチケットで来場。
パビリオン関係者の2万2000人を加えると、14万1000人が来場したという。
数字で比較すると、東京ディスニーリゾートが年間約2700万人、1日平均7.5万人。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が年間約1500万人、1日平均4万人。
単純に日割り計算すると、開幕日の万博会場に「ディズニーのほぼ倍、USJの3.5倍、ひらパー(ひらかたパーク。年間約100万人)の約50倍」の来場者が押し寄せたことになる。
一方で、来場者の受け入れ態勢だが、東西2ゲートのうち、利用者が多かった「東ゲート」は約30の荷物検査カウンターがあり、12時30分の時点で、25カ所程度が稼働。
カウンター2台で1ゲートとして仕切られ、目視したところ各ゲートごとに200人~300人程度が待機しており、会場までは300mほどのところ、800m程度を大回りする動線(万歩計による筆者計測)が設定されていた。
筆者は万博会場・東ゲートの最寄り駅である夢洲駅の改札を12時26分にくぐり、入場できたのは、14時30分だった。この間に散見された「入場2時間待ちの原因」について、実際の事例とともに考えていこう。
電波障害で、QRコード入場券が出ない!
万博への入場口で、終始悩まされたのは「携帯電波の不調」だ。まわりの入場者も「チケットのQR発行ができない!」「アプリが起動しない!」と不安にかられた様子を見せており、来場者が荷物検査カウンター・入場カウンターをすんなり通過できない原因ともなっていた。
博覧会協会では「午前9時30分から5時間ほど電波が不安定」と各社取材に答えているが、この日は大屋根リングの下などでも通信が遅いとの声もあり、全域で電波が良いとは言えない状況が続いたようだ。
今どきの集客イベントでは、待ち時間にスマートフォンで情報収集にいそしんだり、動画視聴でヒマを潰す人々も多い。「初日に14万人が来場」という当初の予測に近い来場者数でこの状況であれば、このネット社会で「QR発券」「情報検索」だけでない全体のトラフィック(通信量)を見誤ったのであろう。
博覧会協会では、対策として「QRコード読み込み用のWi-Fiを東ゲートに整理する」というが、膨大な待ち時間でネットサーフィンができないと、来場者の万博体験の楽しさも半減してしまうだろう。
ここは、7日間で200万人が来場した「Pokémon GO PARK(2017年・横浜市)」などのように、携帯キャリア各社に車載型基地局を出動してもらうしかないのではないか。
携帯各キャリアの車載型基地局で「普通に通信できる状況」を構築しないことには、集客イベントとして話にならない。
ほか万博の問題点と言えば、入場待ちの「最後尾」案内もなく、行列に並ぶと冷たい海風にさらされ、入場待ちの人々が使えるトイレも少なく……全体的な入場待ちのQOL(待機時間の質)が、恐ろしく低い。このあたりGWまでに改善されるか、改善する気があるのか、静かに注目したい。
東ゲートに入場者が偏る
また、極端なゲート混雑の要因ともなったのが「東ゲート」への過度な入場者のかたよりだ。
開幕前には、「入場者16万人の場合、6.6万人が地下鉄、3万人が桜島駅・大阪駅・新大阪駅などからのシャトルバス、5.9万人が自家用車」といった予測が立てられていた。うち「東ゲート」が地下鉄(大阪メトロ中央線・夢洲駅)、「西ゲート」がシャトルバスの発着場として準備されていた。
しかし、西ゲート発着のシャトルバスは「桜島駅発以外はすべて予約制」ということもあり利用者は伸びず、クルマやタクシーでの訪問も不便とあって、結果としてかなりの来場者が東ゲートに押し掛けてしまった。
いったん東ゲートで予約をとったあとの「東ゲート→西ゲート」への変更はできるが、公式サイトには「会場外で東ゲートから西ゲート(もしくは西ゲートから東ゲート)へ移動することはできません」と明記されている。
博覧会協会では開幕日(4月13日)に限って、東ゲートの予約で西ゲート入場を可能にしたが、それでも「東ゲートへの一極集中」はまったく収まらず、「夜の夢洲駅への入場」でさえも、相当に待たされる状況であった。
そもそも、市内への地下鉄以外の会場アクセスの抜本的な改善は難しいかもしれない(バス運転手不足のため、仕方がなかった部分もあるが……)。4月14日以降もこういった状況が続くようであれば、「東ゲート⇔西ゲート」の変更や、移動手段の告知(ただし、相当な大回りとなる)があってもいいのではないか。
AIが「まだちょっとアホ」?入場ゲートでも混乱
万博会場への到達困難な状況に、オンライン予約システムの拙さが拍車をかけている。
まず、万博の開場時間(9時~22時)のうち、来場予約をとれる時間帯は「9時」「10時」「11時」「12時」、その次が「17時」と間隔が空いている。午前中にゆっくり過ごして午後から来場する人々が12時に集中、混雑の原因となっているようだ。
来場者の中には、朝方はゆっくりして昼過ぎから来場する人々もいる。せめて12時~17時間の間隔をもう少し刻み、かつ「12時以降なら遅れてきてもOK」といったチケットの買い方を発信しないと、こういった人流の一極集中が続くだろう。
さらに、入場ゲートの手荷物検査も「ペットボトルを先にカバンから出してください! そうしないと(検査の)システムが遅延してしまいます!」と、かなり頻繁にアナウンスがあった。検査内容は飛行機への搭乗と大差ないが、係員の方も来場者の方も不慣れで、とにかく通過に時間がかかっていた。
また、異常検知の際のシステムがスムーズに稼働せず、誤作動を起こす様子も見受けられた。ここは、係員の方が詰め寄る来場者に説明していた内容で、混乱ぶりを推察するしかない。
「この荷物検査は、AIで動いています。きょうが初日ということもあり、AIがまだちょっとアホです!」「次回来場の際は、AIがもうちょっと賢くなっているので、もう少しスムーズに入場できると思います!」
子連れに優しくない万博 それでも「行ってよかった」理由は?
入場でのこういった混乱は、事前に下調べのうえでバスを予約すれば、ある程度回避できる。また、今どき阪神タイガースなどのプロ野球、セレッソ大阪などのJリーグの試合・スポーツイベントはひととおりQRコードで入場でき、「完全キャッシュレス」のイベント会場(エスコンフィールドHOKKAIDOなど)も珍しくない。この状況で「ネットでチケット購入・全面キャッシュレスが来場者に優しくない!」と言っても始まらない。
ただ、万博会場内にも難点はある。各会場の動線を確認できる案内板が極端に少なく、トイレや子供と休める休憩所、授乳ができるスペースなどを探しづらいのだ。
水筒は持ち込めるものの、ミルクを溶かすお湯が出る場所が地図でも明記されておらず、インフォメーションで聞いても確認に相当の時間を要するなど、あまり情報が共有されていない様子。そのあたりのフードコートに「お湯をください、お湯を!」と詰め寄り、調理の手を止める方も……事情が事情だけに、親御さんにも、フードコートの方にも同情してしまう。
子育て中の親からすれば、「調乳が不要な液状缶ミルク(「らくらくミルク」など)くらい持ち込ませて! お湯をもらえる場所ももっと共有して!」と言いたくなる状況だ。まずは、「風邪をひかずに待てて、子供と遊べる万博会場」を、今からでも考えてほしいものだ。
ほかにも「フードコートの時間待ちが読めない店舗が多い」「大屋根リング以外で雨風をしのげる場所が少ない」など、指摘したくなる部分は多い。しかし、パビリオンで説明されている方はホスピタリティも高く、片言ながら親切にご案内いただくなど、十分に楽しめた部分もあった。閉幕まであと6カ月、期間中にどこまで「来場者に優しい万博」になれるか、見守っていきたい。
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