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安倍総理の志は死なない!!

「厚労省年金局の大いなる誤算」目玉の基礎年金の底上げ策は頓挫、改革の必要性を周知するための情報がかえって国民の年金不安を高める逆効果

ネコウヨ

5年に1度行われる大型の年金制度改革で厚生労働省の誤算が生じている。基礎年金の底上げ策という制度改革の目玉案が年金改革法案から削除されたうえ、同案の必要性を周知するために流した情報がかえって年金不安を招く結果になってしまったからだ。

誤算の根源は2023年4月公表の「日本の将来推計人口」。コロナ禍以降の出生率低下により少子高齢化が加速する推計が出ると厚労省は予想していた。これは年金財政を直撃するため、年金給付拡充の手だてを迫られた厚労省は基礎年金の底上げ策を準備した。

ところが実際の将来推計人口の結果は予想と違った。出生率見通しは低下したものの、入国外国人増加の効果がそれを上回り、人口減少の度合いはむしろわずかに改善するという試算が示されたのだ。

この将来推計人口を基に行われた24年の年金財政検証結果では、年金給付水準は前回検証時より若干改善される見通しになった。さらに厚労省は、若い世代ほど専業主婦世帯から共働き世帯へ移行している状況を反映した給付見通しも初めて公表。通説とは逆に若年世帯の年金給付は現在の高齢世帯より増加することも示した。



検証結果が改革の逆風に


皮肉なことにこうした「明るい年金像」は大型の制度改革を行う際にはかえって障害になる。年金制度改革では必ず利害関係者の一部に不利益が生じるため政治的調整が難しい。過去には年金制度改革が争点になって与党が選挙で敗北したこともある。そのため、「見通しが悪くないなら制度改革はなるべく穏当に済ませたい」という空気が政治的に醸成される。

実際、健康寿命の延伸や年金給付の充実化に対応する基礎年金拠出期間の45年への延長(現状は40年)は長年必要性が議論されてきたにもかかわらず、早々に法案から外された。国民の一部での反対論や、延長に伴う国庫負担増への財源手当ての問題があったからだ。

しかし、厚労省は基礎年金の底上げ策については制度改革の目玉と位置づけ、諦めない姿勢を打ち出した。この制度改革は、人口動態の変化に対応した自動的な年金給付調整(マクロ経済スライド)について、現在の基礎年金(国民年金)と厚生年金所得比例部分での別々の適用を一体化させるもの。その結果、所得比例部分の給付調整期間が延びる一方、調整期間が短縮される基礎年金の給付水準は底上げされるという効果がある。

厚労省の試算では保険料負担はそのままで基礎年金の給付水準は月額1万〜1.6万円程度(インフレを考慮した実質額)の増加と示されていた。

問題は「サラリーマンの厚生年金から自営業者の国民年金への資金流用だ」との一部世論の反発や、40年度時点で年0.5兆〜1.4兆円と試算された国庫負担増の財源確保にどう対応するかだった。



年金破綻論が増大


厚労省は基礎年金の将来の目減りについて国民の危機感を醸成する戦略を採った。財政検証における悲観シナリオ(過去30年投影ケース)の基礎年金給付見通しが所得代替率で3割減となることを強調。あえて「暗い年金像」だけを切り取って国民に示したのだ。

ところがこの情報が広がると、ネット上では「若年世代は年金をもらえない」といった年金破綻論が増大。これまで積み上げてきた年金制度改革の成果を否定する機運すら生まれてしまった。

それでも当初の目的が達成できたなら傷はまだ浅かっただろう。しかし4月、与党が基礎年金の底上げ策を年金改革法案から外すことを正式決定し、国民の年金不安だけが残る最悪の結果となった。