反撃能力、対中抑止力を強化=日米の共同戦略、早急に―番匠幸一郎元陸自西部方面総監インタビュー

陸上自衛隊で西部方面総監を務めた拓殖大客員教授の番匠幸一郎氏は26日までに、時事通信のインタビューに応じた。反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記した安全保障関連3文書について、中国への抑止力が高まると評価。今後、日米両国の新たな共同戦略目標が早急に必要になると主張した。主なやりとりは次の通り。
―政府による反撃能力保有や防衛費増額の取り組みをどう評価するか。
中国の軍事的拡張、北朝鮮の核ミサイル開発などの脅威にどう備えるべきかの戦略体系が3文書で整った。
―防衛費増額で中国などと軍拡競争を招くとの批判もある。
軍拡をしているのは向こうだ。それに対し、日本の国民を守るために必要な備えをする。
―反撃能力保有で抑止力は高まるか。
中国などは長射程ミサイルを持っており、日本がミサイル防衛だけで守りを固めても限界がある。自衛隊が反撃能力を持つことは、抑止力の観点から非常に大きい。
―反撃能力を行使するケースについて、政府は「手の内を明かす」として詳しく説明しない。
作戦運用に関することは、相手に知られると弱点になる。反撃能力は、武力攻撃事態と認定し、国会の承認を受けて行使する。自衛隊が勝手に動くことはない。
―反撃能力保有で自衛隊と米軍の関係はどう変わるか。
大前提にあるのは日米で共有するビジョンや戦略目標だ。これに基づき、共同の計画、訓練、あるいは研究開発という流れになる。自衛隊と米軍のアセット(装備品など)について、どう情報共有し、運用を調整するか。日米で新たな戦略を擦り合わせなければならない。
―ミサイルの発射形態が多様化し、反撃は困難との指摘もある。
フェイクも含むあらゆる情報が入り乱れる。それらをどう判断、行動するか、自衛隊と米軍で情報収集、分析する体制が必要だ。
―台湾有事をどう考えるか。
有事を起こさせないように、南西諸島の防衛体制を強化するべきだ。
―沖縄の基地負担軽減に逆行しないか。
抑止力の強化と地元負担の軽減は両立させなければならない。地元の理解が必要だ。現場の自衛隊は地元に溶け込む努力をしている。
―自衛隊の運用強化に向け、常設の統合司令部創設が3文書に明記された。
早期に創設するべきだ。統合幕僚長は政治の補佐に専念し、部隊運用を専任で考える統合司令部と司令官が必要だ。
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