林外相〝G20欠席〟国会慣例で…「日本にとって損失」の声、国際的地位低下の懸念 島田教授「国際社会は『有事』だ。責任は極めて重い」

林芳正外相が、3月1~2日にインドで開かれるG20(20カ国・地域)外相会合への出席を見送る方針を固めたと、産経新聞など各紙が報じた。2023年度予算の国会審議と日程が重なり、国会を優先するという。だが、国際社会はロシアのウクライナ侵略など「有事」の局面だ。5月には、岸田文雄首相の地元・広島で開催されるG7(先進7カ国)首脳会議も控えている。日本の国際的地位低下が懸念される。
「日本はG7だけを重視していると誤ったメッセージを送ることになる。わが国との2国間関係にもマイナスだ」
インド政府関係者は、林氏の欠席情報を受け、こう驚愕(きょうがく)しているという。世界屈指の「親日国」を失望させた外交損失は大きい。
G20外相会合では、ウクライナ侵略や、中国が覇権主義的活動を強める東・南シナ海の情勢、食料・エネルギー安全保障など、安全保障に関わる重要議題を討議する。
林氏も出席して、「法の支配に基づく国際秩序維持」を重視するG7の立場を訴え、理解を求める意向だった。個別会談も想定していた。
ところが、与野党は新年度予算案を2月28日の衆院本会議で可決したうえで、3月1、2両日の参院予算委員会で基本的質疑を行う段取りをしている。基本的質疑は、首相と全閣僚の出席が慣例のため、「林氏の欠席はあり得ない」(自民党幹部)との見解だ。
結果的に、参院での円滑な予算案審議を考慮し、林氏はG20会合出席を断念した。代わりに外務副大臣を派遣する方向という。
G20外相会合に合わせ、3日には日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」の外相会合も開催される。林氏は出席できないか検討を続けている。
今回の外交損失をどうみるのか。
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「国際社会は『有事』だ。G7議長国の意思を示すべき重要局面に欠席するのは、極めて重い。先進国の首脳は議会に縛られず積極外交を仕掛けるのに対し、日本は首相や外相を国会に縛りつけている。先例重視ではなく、情勢に応じて対応すべきだ。クアッドは、安倍晋三政権が残した最重要の外交的枠組みで、ロシアや中国、北朝鮮の危険な兆候を考えれば、外相が参加するのは必須だ」と語っている。
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