Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

計算もできないときたw

ネコウヨ

鉄道の減便「需要読み違え」招いた行政の誤算
通勤の抑制には一般企業の協力が不可欠だ
土屋 武之 : 鉄道ジャーナリスト
2021年05月12日
新型コロナウイルス感染症流行に伴う東京都や大阪府などの緊急事態宣言を受けて、JR東日本、JR西日本や大手私鉄などが、ゴールデンウィーク中の一部列車の減便を4月下旬に相次いで発表した。関西の各社が、主に深夜時間帯や土曜・休日の列車を減便対象としたのに対し、関東の各社は連休中の平日に当たる4月30日と5月6、7日の、朝夕ラッシュ時間帯の列車を減便対象としたことが異なっていた。
減便で「密」な状況に
ただし関東においても、JR東日本とその他の各社では様相がやや異なっていた。
当初の発表では、大手私鉄の大半が数本の運休、一部区間運休にとどめたのに対し、JR東日本は山手線、京浜東北・根岸線、中央線快速、中央・総武線各駅停車、青梅線、常磐線、京葉線と主要な通勤路線において、朝通勤時間帯には「概ね8割程度の運転」としていた。つまり、約2割もの列車を削減する計画であった。また、山手線、京浜東北・根岸線、中央・総武線各駅停車では、夕方の通勤時間帯の削減も予定していた。
見込みでは、自治体の外出自粛要請、リモートワークの推進などによって、連休中の平日の通勤客数は、通常より大きく減るはずであった。しかしふたを開けてみると、祝日と土曜日に挟まれた4月30日は乗り切れたものの、5連休明けの5月6日には予想以上の通勤客があり、各線で混乱も見られた。運転された列車には、より「密」な状況が発生。感染症対策としては非常によくない状況となってしまったのだ。
そのためJR東日本は翌5月7日の減便を取りやめ、通常通りの平日ダイヤで運転すると、5月6日午後になって発表した。
はっきり言えば、社会の動向を読み間違えたこの減便は、失敗であった。首都圏各社とも、これは国、関係自治体の要請を踏まえたうえでの施策としている。つまりは自主的な対応ではない。
連休前後とは言え、平日には日常に近い数の通勤客があるはずと考えた大手各社は、最低限の減便で済ませた感がある。しかしJR東日本は最大の鉄道会社だけに、おつきあいにとどまらない、他社へ「範を垂れる」減便を行政から求められたのではあるまいか。そう邪推したくもなる。
なお、東京都のお膝元の都営地下鉄が他社と同じ4月27日付で発表した計画では、大江戸線のみが減便対象であった。利用客が多く、他社と相互直通運転を行っている浅草線、三田線、新宿線については変更なしとしている。
減便だけでは移動抑制できない
今回は、ゴールデンウィーク中の平日は有給休暇を取得する者が増えるなど、通勤客が減る特殊な条件ゆえ大丈夫と考え、減便が要請され、それが受け入れられたのだろう。ただJR東日本の減便規模は、少し大きすぎた。


東急田園都市線は減便をしなかった(筆者撮影)
まず、ラッシュ時の通勤通学客の絶対数を減らす、または前後の時間帯に分散させる。そして、ピークを崩して低くする努力こそ先である。それは鉄道会社だけでできることではない。
通勤通学目的地である一般企業や学校が始業時刻を大幅にずらすなど、協力する体制が不可欠だ。必要な外出であり、都市部では鉄道以外に頼れる確実な交通機関がないから列車に乗るのであって、「列車を減らせば、外出が抑制される」という構図はありえない。
やはり大都市圏の鉄道は、朝夕の通勤通学輸送のためにある。いかにオフピーク通勤やリモートワークが進み、ラッシュ時の輸送量が減ろうと、需要のピークが存在する以上、それに適合させた車両や線路設備、ひいては列車本数は、いかなる場合でも確保しておかねばならない。それが装置産業である鉄道の宿命だ。うかつに減らせるものではない。
ダムに例えるならば、水がダムの高さを越えるまでは災害ではない。しかし、越えてしまった瞬間、それは災害になる。ラッシュのピークに輸送力不足をきたすと、ホームに人があふれて危険な状態が生じ、列車の運行に支障をきたす可能性も高くなって、さらなる悪循環に陥る。だからこそ、鉄道に流れ込む利用客数が減っていないのに、ダムの高さを低めるがごとく、輸送力をカットをしてはいけないのだ。
「密」を減らす目的ならば、減便ではなく、むしろピークの前後に増発を行い、通勤客を誘導するほうが効果的と考えられる。行政が要請するなら、こちらではないかと思う。ただし、これは車両や乗務員が確保できなければ難しい。
留置場所の問題があるが、車両については検査期限切れで廃車予定のものを、検査・補修費用を自治体などが補助して延命させ、確保することもできよう。リモートワークがいっそう普及し、通勤通学客の絶対数が減少するまでの暫定措置だ。
鉄道に求められる難しい舵取り
問題は「人」のほうかと思われる。都営地下鉄大江戸線では、乗務員に新型コロナウイルス感染者が発生したために、運転士が不足して一時、減便を余儀なくされた。鉄道会社が怖れている事態がこれだ。


京急線は一部区間で運転取りやめ。都営地下鉄は大江戸線以外の路線で通常運行だった(筆者撮影)
それゆえに予備要員を確保しておけるよう、事前の減便を行っている例もある。その中で増員を伴う施策は難しいとは考えられるが、思い切った日中の列車の減便などでまかなえないだろうか。長い目で見れば、少子高齢化と労働人口の減少もにらんで、ワンマン運転化、自動運転化を促進させる手段はあるか。
いずれにせよ、少子高齢化に加えて、ネガティブな要素として新型コロナウイルス感染症流行が加わり、鉄道会社には社会のインフラとしての、難しい経営の舵取りがさらに求められる。すぐ解決できる課題ではないと思われるが、社会動向を見誤らないような行政サイドの判断も不可欠であろう。