岸田首相のバラマキ経済対策・消費税増税が、むしろ景気を「後退」させそうだ 本当に効果があるのか?

経済対策を打ち出したが
岸田内閣は10月28日、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定した。財政支出39兆円、事業規模71.6兆円の大規模なものだ。これには「今後の備え」として、「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」を増額し、新設の「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費(仮称)」を計上した4.7兆円が含まれる。
このうち国費は35.6兆円で、令和4年度第2次補正予算は一般会計29.1兆円、特別会計0.5兆円の計29.6兆円となる。この補正予算は当初、「20兆円超」と報じられた。それが「20兆円台後半」となり、ついにはほぼ30兆円近くまで膨らんでしまった。
もっとも2020年からのコロナ禍に加え、近年の急激な円安でさらに拡大したデフレギャップをカバーしなくてはならないという意味で、経済対策は少なくとも20兆円以上必要だ。しかし果たしてその恩恵は我々に十分に届くのか。
経済再生に向けた具体的施策は、「物価高騰・賃上げへの取組」、「円安を活かした地域の『稼ぐ力』」、「新しい資本主義の加速」、「防災・減災、国土強靭化への推進、外交・安全少々環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保」の4つの柱で構成される。このうち最も注目されるのは「物価高騰・賃上げへの取組」だ。
電気料金2割を国が負担
「GDPを4.6%上昇させ、電気料金を2割下げ、ガソリン代を抑制し、来年にかけて消費者物価を1.2%以上引き下げる」
10月28日に行われた会見の冒頭で、岸田文雄首相は胸をはった。
物価高騰の象徴が欧米で高騰し、10%ものインフレの主因となっている電気料金だ。岸田首相は電気、ガソリン、灯油、ガスなどに集中的な激変緩和措置をとるとともに、2023年度から引き上げが予定されている電気料金の2割分を政府が負担し、1リットル当たり30円のガソリン補助金も継続することを表明した。これら総額6兆円の支援により、来年9月までの家計の負担は4万5000円減少するというのが“売り”だ。
しかしガソリンや電気料金の値下げについていち早く提唱してきた国民民主党の玉木雄一郎代表は、「これは両親と子供2人の標準家庭を前提としての計算。単身家族や2人家族には恩恵が薄くなる」とやや顔を曇らせた。
というのも国民民主党が強調しているのは「燃料費調整額」と「再エネ発電賦課金」を「ゼロにすること」だ。「燃料費調整額」とは為替や原油価格の変動などによる燃料費の変動を電気価格に反映させるもので、もし円高に転じたり原油価格が安くなれば数字は下がる。
また「再エネ発電賦課金」とは再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって電力会社が買い取りに要した費用の一部を電気料金に転嫁したものだ。再エネ発電賦課金には太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスによる発電を国家が推奨する目的があり、大量の電力を消費し国が定める要件に該当する事業者は免除されるなど、厳密にいえば電気料金とはいえない。いずれも政策的判断で利用者に転嫁されているのだ。
こうした政策的判断による項目についての対策を電気料金請求書に反映し、「目に見える形でゼロにする」というのが国民民主党の考えで、玉木代表らは10月20日に岸田首相に申し入れていた。
岸田首相も会見で「野党の意見も取り入れた」と述べ、「小売電気事業者等を通じ、毎月の請求書に直接反映するような形で、前例のない、思い切った負担緩和策を講ずる」と自慢の“聞く力”をアピールした。しかし肝心なことが抜けてしまったのだ。
ただの「バラマキ」ではないか
10月21日に岸田首相に18兆円規模の「物価高騰等にかかる総合経済対策」を申し入れた日本維新の会の音喜多駿政調会長も、自身のブログで今回の政府の総合経済対策を「総花的なバラマキ」と称した。音喜多氏が問題とするのは、「途上国の気候変動のような、国内に1円のおカネも落ちなければ緊急でもない項目がてんこ盛り」である点で、「経済成長に資する構造改革や規制緩和に関するものはほぼ見られない」と酷評した。
また立憲民主党の長妻昭政調会長も10月28日に出した談話で、「昨年度の補正予算も規模ありきで策定されたために、当初予算と合わせて20兆円以上も年度内に執行することができなかった」と政府の能力に疑問を投げ、膨らみに膨らんだ政府の総合経済対策を批判。閣議決定で支出できる予備費が増大すれば国会軽視につながりかねないことを危険視している。
それでも大型の総合経済対策は効果があるのか。国民民主党の玉木代表は、26日に行われた政府税調で消費税アップの議論が出たことについて疑問を呈している。
「せっかく景気を上げようとしているのに、増税の話が政府から出てしまうと、その気運は一気にしぼむ。政府はいったい何を考えているのかわからない」
国民への“ウケ”のみに奔走した見掛け倒しの経済対策に、この国の将来の暗さを見た。
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