2025年は「自民党衰退」の大転換点になる…年金という「国家ぐるみのネズミ講」が永田町をひっくり返す日

岸田政権が、児童手当を拡充させる一方で扶養控除を廃止させる可能性を示唆している。自民党の政治家が、財源論議で必ず「現役世代同士や将来世代同士でパイの奪い合いをさせる」という結論に至ってしまうのは、彼らが正真正銘の高齢者政党であるためだ。
2025年という「大転換点」
「高齢者に不利な政策を出すことができず、出せたとしてもその負担は最小化される」という自民党の風土は別にいまにはじまったことではないし、これまでそれが政局において大きな問題点になっていたわけではなかった。しかし2020年代後半からはそうではなくなるだろう。かれらの栄光を終わらせかねない、最大のアキレス腱になってしまう可能性はきわめて高い。
加速度的に深刻化する少子化と、「2025年問題」に象徴される高齢化がだれの目にもあきらかになり、将来の社会保障費の増大やマンパワーの枯渇の問題が、いよいよ無視できないスケールで顕在化している。
〈1人の女性が生涯で出産する子どもの数を示す「合計特殊出生率」は去年1年間で「1.26」となり、過去最低となったことが分かりました。去年1年間に生まれた子どもの数も過去最少になっています。
厚労省によりますと、2022年の合計特殊出生率は前の年から0.05ポイント下がって「1.26」でした。7年連続の減少で、これまでで最も低かった2005年と並び、過去最低となりました。
また、去年1年間に生まれた子どもの数は前の年から4万人余り減って77万747人でした〉
(TBS NEWS DIG「【速報】2022年の合計特殊出生率は「1.26」2005年に並ぶ過去最低に 出生数は過去最少77万747人 人口減少進む」2023年6月2日より引用)
高齢者が将来世代にしわ寄せする形で社会経済的にも福祉的にも優遇される状況を、批判的(風刺的)に述べた古市憲寿氏や成田悠輔氏が炎上した理由がもはや分からなくなるくらいに、いま世の中の潮目は変わりつつある。自民党としてはこれまでどおりの「福祉の充実」をアピールしているのに、そのたびに現役世代からの怒りの声が殺到するようになっている。その怒りの熱量は日増しに高まっている。
自民党はいまさらこの方針を変えることはできない。だからこそ、他の政党には付け入るチャンスが出てくることになるだろう。
自民と立憲は「同じ保守」に見えている
残念ながら、最大野党の立憲民主党は自民党にも負けず劣らずの高齢者政党で、かれらが若者世代向けの政党にモデルチェンジを図る可能性は低い。社民党や共産党はそれ以上に論外だ。現実的なところだと、現時点で「将来世代のための政党(労働者向け政党)」としての旗色を鮮明にする可能性があるのは日本維新の会と国民民主党になるだろう。実際、そうした期待感の高まりは世論調査でも浮かび上がってきており、維新が衆院選の投票先として大きくポテンシャルを伸ばしている。
中高年層のリベラル派がアクティブなインターネット論壇では「維新は自民の補完勢力」といった批判的(揶揄的)論調が定説のように語られているが、実際にはそれは世の中の意見を正確に反映しているわけではない。立憲民主党(と日本共産党)こそ「高齢者福祉の充実」の点では自民党と一致団結している(そして、大して重要でないところで反対したり必死に揚げ足取りをしているだけの)補完勢力のように思われているのだ。
いま20代や30代の、世の中では若手~中堅として位置付けられている現役世代の人びとにとっては、日本維新の会こそがむしろ「高齢者を守り、票を得る」という自民党の既得権益に食い込む「対抗勢力」と見なされつつあるのが実情に近い。
「保険」とは名ばかりの破綻したシステム
社会保険は曲がりなりにも「保険」という名を冠している。
にもかかわらず、高齢や既往歴などのハイリスクな要因を持つ人ほどその保険料が安くなり、しかも加入者の割合としてはそういう人が今後どんどん増えていくという、通常の保険商品では絶対にありえない、どうあがいても破綻は避けられない制度設計がなされている。
通常の「保険」であるなら、その保険料はローリスクな人ほど安くなる。ハイリスクな人ほど低コストで高リターンを受け取るような常軌を逸したシステムは、掛け金を支払ってくれる人の絶対数が多ければ騙し騙しやっていけるかもしれないが、ハイリスクな顧客の絶対数がそれより増えてしまえば維持不可能になる。それでも強引に維持しようとすれば、破綻するのがわかっているのに新規会員を集めてカネを巻き上げる「ねずみ講」になる。こと社会保険においては国が強制的な徴収によってそれをバックアップする「国家公認のねずみ講」と化しつつある。
社会保険を、世の中に流通する他の保険と同じように「健康な人やローリスクな人ほど支払う保険料を安くするべきでは?」と自民党内で2016年に提案したのは小泉進次郎議員だったことを忘れてはならないだろう。
小泉議員はインターネットではその言動が批判や嘲笑の的となる「ネタ」のような扱いを受けているが、この件については、彼の提言はきわめて常識的であったといえる。というか、社会保険の受益者と負担者の人口バランスから言って遅かれ早かれそうしなければならない(早ければ早いほどよい)のは明らかなのだが、小泉議員が提唱した2016年当時は自民党内部からも世間からも激しいバッシングを受けた。
かりに小泉議員が2020年代後半にこれと同じ政策を世の中に向かって提起したなら、世間からのその反応はまったく違ったものになるだろう。自民党内でも、現役世代のために「社会保障費」の問題にメスを入れられるとしたら、SNSインテリからのウケは大変によくないだろうが、小泉進次郎をおいてほかにはいないと言わざるを得ないだろう。
自民党の「栄光」の終わり
いずれにしても、年間100兆円を超す高齢者向けの社会保障費という大問題が、このままなあなあで済まされ、世間に忘れ去られることはない。社会保険や厚生年金がゴッソリ持っていかれている毎月の給与明細を見れば、誰もが嫌でもこの話題を思い出さずにはいられないからだ。
すでに破綻していることが明白なシステムをそれでも強引に成り立たせようとするため、毎年のようにこの「ねずみ講」の掛け金は増え続けている。世間の値上げラッシュも相まって、いよいよ看過できない水準にまで達してきている。
いまでこそ他の政党を寄せ付けない圧倒不変のポジションを得ているかのように見える自民党だが、高齢者票に依存した政党であるために「高齢者福祉問題」で大ナタを振るえないというこのアキレス腱のせいで、2020年代後半からは大きな衰退期に入る可能性がある。かれらが戦後から現代まで続いてきたその栄光を失うとしたら、まさにこの問題によってだ。
若者は投票に行こう!!
投票率50%なんて舐められて当然だ!!
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