ナポレオン没後200年 仏大統領演説 功罪に触れ「彼は我々の一部」

【パリ=三井美奈】フランスのマクロン大統領は5日、皇帝ナポレオン・ボナパルトの没後200年を記念して仏学士院で演説した。ナポレオンの功罪をめぐって国論が分かれる中、「彼は我々の一部である」と述べ、光と影の両面を直視すべきだと訴えた。
マクロン氏は、民法典の編纂、中央銀行や士官学校設立など、ナポレオンが現在に残した功績を列挙。続いて、フランス革命で廃止された奴隷制を1802年に復活させたことに触れ、人権思想への「裏切り」だったと評価した。
一方、「現在の考えに添わないからといって、過去を抹殺しようとする動きには屈しない」と述べ、歴史的人物を否定するような反人種差別運動をけん制した。コルシカ島生まれの少年が欧州の覇者となり、「たった一人で歴史を変えられることを示した」と評価した。演説後、廃兵院にあるナポレオンの墓に献花した。
ナポレオンをめぐっては「フランスの英雄」「軍事の天才」という見方に対し、「独裁者」「奴隷制を再開した悪人」という批判がある。民法典で家父長制を定めたことから、マクロン政権内でも「最悪の女性差別主義者の一人」(モレノ男女平等相)の指摘が出て、記念式典の是非が論争の的になっていた。2005年、ナポレオンのアウステルリッツ戦勝200年記念式が行われた際、当時のシラク大統領は出席を見送っている。
ナポレオンは1821年5月5日、流刑地の英領セント・ヘレナで51歳で死亡した。
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