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安倍総理の志は死なない!!

自民国防部会長「台湾有事もっと早い」 石垣駐屯地開設巡り

陸上自衛隊の石垣駐屯地(沖縄県石垣市)が開設され、2日に記念式典が同駐屯地で開かれた。南西諸島での自衛隊拠点の「空白」は埋まるが、防衛上の課題はなお山積している。沖縄選出議員でもある自民党の国場幸之助国防部会長が3月29日、式典を前に産経新聞の単独インタビューに応じ、南西諸島防衛の課題と展望を語った。

産経新聞のインタビューに応じる自民党の国場幸之助国防部会長=3月29日午後、国会内(矢島康弘撮影)© 産経新聞

--石垣駐屯地開設の意義は
「奄美大島から与那国島にわたる距離は本州に匹敵する大きなエリア。自衛隊の部隊を与那国、宮古、奄美に続いて石垣へ配備できたことは力の空白を埋める意味で大きな意義があった。しっかり訓練し、場合によっては米軍とも連携すること、また国民保護、弾薬や弾薬庫の整備、有事の際の台湾からの避難民受け入れなど課題は山積している。あくまでスタート地点に立ったという認識だ。(駐屯地の)完成形まで目指すには時間があまりないとも認識している」
--長射程ミサイルの配備について、どう考えるか
「防衛力強化と地元の合意形成という相矛盾するものの均衡をいかに図るかというのはすごく難しい。沖縄の人間にしか分からない面はある。(敵射程圏外の遠方から迎撃できる)スタンドオフミサイルを、(中国と)地理的に近い石垣でいきなり必要なのかという議論もある。抑止力の点で全く置かないのもナンセンスだが、どう展開するのかまだ分からないのが正直なところだ」
--国民保護について訴えたいことは
「昨年改定された『安保3文書』の与党協議で、当初案には国民保護が柱の中に入ってなかった。これは書いていないと沖縄では防衛力整備も訓練も日米連携も前に進まないと繰り返し訴えた。沖縄では思想信条と関係なく、『軍隊は住民を守らない』と証言する人がいる。いかなる時代もちゃんと住民を守ることを、自治体ではなく国家の責務として書くべきだ」
「沖縄県庁で(今年)3月17日に行われた国民保護図上訓練は大きな一歩だった。十数年前、県議時代に国民保護条例の賛成討論をしたが、当時はものすごい批判や抗議があった。それだけ沖縄ではタブーなテーマだったが、時代も変わったなと感じた。先の大戦では避難先での生活不安で疎開目標人数を達成できなかった。生活の保障や避難先自治体との認識共有が必要だ」
--米軍との連携を進める上での課題は
「昔から米軍を見ている沖縄本島と異なり、先島諸島の住民には、自衛隊ですら時間をかけて丁寧に説明してきたのに『何で米軍が来るんだ?』と疑問に思う人がいる。広大な海に囲まれた島を守る島嶼(とうしょ)防衛はとても難しい。日米が連携しないと南西諸島の抑止力は高まらないし、維持できないことに理解を求めることが大事だ」
--2027年までに台湾有事が起きる恐れがあるといわれている
「有事の形態はどのようであれ、もっとスピード感が早いのではないか。今年3月に台湾を訪問し、日台の外交、国防担当議員らで意見交換したが、昨年8月4日、中国が日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイルを撃ったことを既に戦争の一形態だと認識していた。中国による(世論誘導などの)認知戦が日々行われる中、有事に際して米国も日本も助けに来ないという『疑米論』や『疑日論』が展開され、台湾世論が揺れているという実態がある。来年には台湾総統選もあり、かなり緊迫した情勢だと感じた」
--日本としてやるべきことは
「まず安保3文書の早期実現だ。これを具体的にしていくことは台湾海峡のみならず、国際社会の安全保障に対する日本の責任を果たすことに直結する。中国の認知戦に対し、台湾は同じ中国語の世界で相当ハイレベルな対策をしている。これを共有していくことには意義があり、枠組みをいかに作るかだ。また人道的観点から、海難救助など沿岸警備隊の連携には誰も反対できない。できるところからやるべき姿を目指していくことだ」
「一方で台湾での邦人保護はデリケートな問題だ。台湾ではフィリピン人労働者が避難し始めたという偽情報が流れたことがあるという。『台湾が危ない』という世論戦に悪用されるリスクもあるので慎重に進めないといけない。ベトナム戦争では東南アジアから船で避難民が沖縄まで来た。台湾は約110キロしか離れていない。避難民を見捨てるわけにいかないが、これも台湾側にはデリケートな問題だ」(聞き手 市岡豊大)