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安倍総理の志は死なない!!

中国強制労働「排除」岸田首相〝覚醒〟か 半導体輸出規制で習政権に打撃 林外相訪中の乏しい成果も「今後、日本企業の曖昧な態度は許されない」

岸田文雄政権が、対中強硬姿勢を高めている。国が発注する公共事業の受注企業や物品の納入企業に対し、人権侵害に加担しないような取り組みを求める方針を決定したうえ、軍事技術にも応用される先端半導体分野での輸出規制強化策を公表したのだ。広島で来月開催するG7(先進7カ国)首脳会議を見据えて、欧米諸国と歩調を合わせ、中国当局による新彊ウイグル自治区での人権弾圧や、中国の軍事的覇権拡大に対峙(たいじ)する構えだ。「親中派」である林芳正外相の中国訪問(1~2日)に成果が乏しく、評判が悪かったことも背景にあるのか。これまで、国や地方自治体は「脱炭素」を掲げて、太陽光パネルの設置を加速させてきたが、中国製が多いため、人権侵害との関係で影響を受けそうだ。

「G7で、ルールがなかったのは日本だけだった。『しっかりしたルールができた』と世界に発表し、国際的な人権擁護の推進を促していく」
岸田政権で、人権問題を担当する中谷元(げん)首相補佐官は3日、方針決定について、こう記者団に語った。G7は、「自由」「民主」「人権」「法の支配」という共通の価値観を持つ。
今後は、企業が取引先における「強制労働」などの人権侵害の有無を把握し改善する「人権デューデリジェンス(DD)」のガイドラインを順守することを入札参加の事実上の条件とする。
政府は昨年9月にDDのガイドラインを策定したが、実効性に欠けていた。欧米ではすでにDDの法整備が進んでおり、米国は昨年6月、新疆ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止する法律を施行した。
今回の対応強化は、広島でのG7首脳会議前に、議長国として人権問題を重視する姿勢を示す狙いもある。決定内容は、6月の経済財政運営の指針「骨太の方針」にも盛り込む見通しだ。
中国当局は3月、日本の製薬大手「アステラス製薬」の現地法人幹部の男性を、「中国の刑法や反スパイ法に違反した疑いがある」(中国外務省)として拘束した。
林外相は3月31日、日本人男性の早期解放を要求するため、中国訪問を発表した。経産省は同日、先端半導体分野の23品目について輸出規制の強化策を公表した。中国の「名指し」は避けたが、輸出管理を厳しくして軍拡を進める中国による半導体の軍事転用を防ぐ狙いだ。
中国事情に詳しい評論家の石平氏は「米国と中国の対立が不可避のなか、岸田政権は遅いが、『対中国』で本気になってきた。今後、日本企業は強制労働の問題でも、あいまいな態度は許されない。半導体分野の輸出は、中国の軍事力に直結する。日本の安全保障や、自由主義諸国の存亡にかかわる問題であり、徹底すべきだ。日本が欧米諸国と歩調を合わせることで対中包囲網で果たす役割は大きい。中国の習近平政権にも打撃だろう」と指摘する。
ちなみに、林氏は「親中派」として中国人脈を培ってきたはずだが、最大の使命である「日本人男性の早期解放」は果たせなかった。外相会談中も、沖縄・尖閣諸島周辺では、中国海警局船が日本領海に侵入し続けた。情けないことに、林氏が笑顔で李強首相と会談する写真まで報道された。
自民党の山田宏参院議員は2日、海警局船の領海侵入を受けて、自身のツイッターで、「訪中している林外相は直ちに席を蹴って帰国する姿勢ぐらいは示すべき。いざという時にも優等生的な対応では舐められるだけ」などと発信した。
■杉山氏「太陽光パネルどう調達するか」
こうしたなか、中国製が8、9割で、素材(多結晶シリコン)の半分はウイグルで生産されている太陽光パネルが注目されている。
東京都は昨年12月、新築住宅への太陽光パネル設置を義務付ける条例を可決、成立させた。川崎市でも今月、同様の条例改正案が成立した。
ところが、米国は強制労働などの人権弾圧への関与を理由に、中国製パネルの輸入を禁止した。米国通商代表部(USTR)は日本の経産省に、足並みをそろえるよう要請してきているという。
亡命ウイグル人による民族団体「世界ウイグル会議」も、中国製の太陽光パネルの使用を「ジェノサイドへの加担」として中止するよう呼びかけている。
東京都の小池百合子知事は「企業の責任ある人権尊重への継続的な取り組みを促進することが重要だ」(昨年9月の都議会)と語っている。企業に責任を丸投げするとは考えにくい。今後、どうなりそうか。
エネルギー政策に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹は「国の方針決定は評価でき、地方自治体にも波及していくと考えられる。東京都や川崎市は、環境や再生可能エネルギー政策を国に先んじて実施してきたが、人権問題を避けて通ることはできない。太陽光パネルの大半が中国産というなか、国の方針に従って、どれだけの(人権侵害と関係のない)パネルを調達できるかも注目される」と語っている。