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安倍総理の志は死なない!!

続・台湾有事の衝撃 着上陸だけが台湾侵攻の「シナリオ」ではない 中国の新型作戦 野蛮で陰惨「米国内戦モデル」回避、前代未聞の〝知能戦争〟

劉教授の著書『中国「軍事強国」への夢』(文春新書)。峯村健司氏が監訳した
劉教授の著書『中国「軍事強国」への夢』(文春新書)。峯村健司氏が監訳した
© zakzak 提供
月刊「文藝春秋」最新4月号の大特集「日本地図から『新しい戦前』を考える」で、中国国防大学の劉明福教授(中国国防大学・上級大佐)が「知能戦・文明戦・死者ゼロで台湾統一をやる」と題して「中国の視点」を、こう語っている。


《二一世紀の中国統一のための台湾戦争は、「米国内戦モデル」を回避しなければなりません。つまり野蛮で陰惨な戦争ではなく、人類史のなかで前代未聞の「知能戦」「文明戦」そして「死者ゼロ」の戦い方でなければならないのです》《この戦争は、「中国の特色ある新型戦争」と言え、世界戦争史上の奇跡を起こすもので、二一世紀における知能戦争の新境地を切り開くものになるでしょう》


著者の劉教授は「習近平のブレーン」として知られる「タカ派」の論客である。前著『中国の夢』はベストセラーとなり、習近平政権のスローガンともなった。その続編『中国「軍事強国」への夢』(文春新書)でも、台湾有事に関して、こう述べている。
《古今東西、世界の戦史における上陸作戦は、多くの代償を伴うものだ。この伝統的な「上陸作戦モデル」は、自他共に損失が甚大だ。台湾問題を解決するための「中国統一戦争」は、このモデルに別れを告げる新型作戦となる》


この新書を監訳した、キヤノングローバル戦略研究所主任研究員 峯村健司氏の最新刊『台湾有事と日本の危機 習近平の「新型統一戦争」シナリオ』(PHP新書)にも注目したい。


峯村氏は「巷で語られているシナリオをみると、根拠や証拠が薄いと感じざるを得ない」と指摘し、こう述べる。


《中でも違和感を覚えるのが、自衛隊内や一部の有識者が描く、中国軍が台湾侵攻と同時に尖閣諸島(沖縄県石垣市)を攻撃するというシナリオだ。そもそもこの前提条件のみに基づいた議論は間違っていると言わざるを得ない》


そのうえで、《「臨検」と軍事演習で台湾の物流を遮断》(原文は太字強調)といったシナリオを描く。


先の劉教授の指摘とも重なる。なるほど、「巷で語られているシナリオ」は、改めて見直されるべきかもしれない。


いよいよ、「台湾有事と日本の危機」が迫ってきた。 (評論家・軍事ジャーナリスト・潮匡人)