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NY知事、高齢者施設めぐり批判=コロナ対応手腕評価から一転

 【ニューヨーク時事】米東部ニューヨーク州のクオモ知事(民主党)が、高齢者施設の新型コロナウイルスの死者数を過少報告していた問題で批判にさらされている。昨年春に州が感染の中心地となった際、拡大を抑制して手腕を評価されていた。米メディアによると、連邦検察や連邦捜査局(FBI)はクオモ氏の施設をめぐるコロナ対応の捜査に乗り出した。


 発端となったのは、ジェームズ州司法長官が1月28日に公表した報告書だ。報告書は州保健局が公表した高齢者施設の死者数について、州が5割程度少なく集計している可能性を指摘。施設から病院に搬送され、死亡した患者の多くが州公表の高齢者施設の死者に含まれていなかった。


 州公表の高齢者施設の死者数は1月下旬に約8500人だったが、州はその後、1万5000人以上に修正。ニューヨーク・ポスト紙によると、クオモ氏側近のデローザ秘書官は民主党の州議会議員との電話会談で、トランプ前大統領が政敵のクオモ氏を攻撃する材料にしたり、司法省に捜査を指示したりすることを懸念し「凍結した」と説明し、昨年夏に死者数を照会した議員に実際の数字を隠したことを認めた。


 同紙の報道後には、民主党のキム州議会議員が知事から、この問題の鎮火に協力しなければ「破滅させる」と電話で脅迫を受けたことも明らかになった。民主党の州議からは高齢者施設の対応をめぐる調査を求める声が強まっているほか、コロナ対応のため拡大された知事の権限の剥奪を求める動きも出ている。


 一方、州は昨年3月25日の文書で、病床確保のため感染者の入居を拒まないよう施設に要請。これが施設で感染が広がる要因になったのではないかと批判されてきた。


 クオモ氏は19日の記者会見で「十分な情報を早く公表しなかったことが(付け入る)隙を生んだ」と指摘。「今日の有害な政治的環境」では「陰謀論や政治、うわさが隙を埋める」と責任を転嫁した。昨年3月の文書については、連邦政府の指針に従ったと主張した。