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尖閣巡視船、一時航行できず 昭和55年建造…老朽化で故障か

産経新聞社 <独自>尖閣巡視船、一時航行できず 昭和55年建造…老朽化で故障か
 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海警備に当たっていた海上保安庁の尖閣専従巡視船が1月、任務中に故障し、一時、航行不能状態に陥っていたことが21日、海保関係者への取材で分かった。老朽化が原因とみられる。尖閣では中国海警局の船による領海侵入が相次ぎ、中国は2月、海警局の武器使用を認める海警法を施行するなど日本の有効支配を覆す動きを強めており、装備の刷新も含めた対策が急務といえそうだ。

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尖閣専従12隻で最も古く
 尖閣周辺の領海警備で、任務中の巡視船が航行できなくなる事態は極めて異例。故障が発生したのは那覇海上保安部所属のヘリコプター搭載型巡視船「うるま」で、老朽化が進んでいる。
 うるまは那覇海保に2隻、石垣海保に10隻配備された尖閣専従船計12隻の1隻。石垣海保の10隻(1千トン型)は平成26~28年に新造、那覇海保のもう1隻(ヘリコプター搭載型)は12年に建造された。だが、うるまは昭和55年の竣工(しゅんこう)で、12隻の中で最も古い。

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 海保が保有する約140隻の巡視船の中でも古参に挙げられ、長期の継続使用を可能にするため平成25、26年に改修工事を実施したものの、船齢は既に40年を超えている。
 うるまは1月下旬、尖閣諸島周辺で、船内の電力をまかなう発電機の一部が故障し、動作不良になった。発電機を動かしている燃料タンクを確認したところ、大量の海水が混入していることが判明。海水を含んだ燃料をエンジンに使用すれば機関停止につながる恐れもあり、一定時間、エンジンを停止させたままの状態を余儀なくされた。
 当時、うるまを含め複数の巡視船が中国公船の領海侵入に備えて警戒に当たっていた。うるまは風向きや潮流の状況次第で流されて浅瀬で座礁する恐れもあったという。その後、乗組員らが復旧作業を進め、自力航行が可能になり、別の巡視船と交代して現場を離れた。
 海保は尖閣周辺の領海警備で、中国公船1隻に対して巡視船1隻が対応するほか、周辺海域に巡視船を点在配置しているとみられる。海保関係者は「中国側を上回る勢力で対応しているが、巡視船それぞれに役割がある。1隻でも欠ける事態があってはならず、中国側につけ入る隙を与えることにつながってしまう」と危機感を募らせている。
巡視船の46%、耐用年数超え
 海上保安庁の巡視船艇は老朽化が進み、382隻のうち、36%の139隻が耐用年数を超えている。海保は尖閣諸島を含む大規模事案に対応するため大型巡視船の新造を進めてきたが、沿岸が活動の中心で、小型の巡視艇で老朽化が目立つ。また、耐用年数を数年後に超過する巡視船艇の中には、不審船・工作船対応など重要任務に就くものもあり、日本周辺海域を網羅的に見渡した計画的な更新が課題となっている。
 海保が所有する巡視船艇は令和3年3月末時点で、外洋で活動する比較的大型の「巡視船」が144隻、沿岸や港内で取り締まり、海難救助に当たる「巡視艇」が238隻ある。耐用年数はいずれも20~25年に設定し、大型巡視船では耐用年数経過後に大規模修繕で15年程度の延命を図ることもある。
 耐用年数を過ぎた139隻の内訳は巡視船29隻、巡視艇110隻。巡視艇の老朽化が特に顕著で、超過割合は46%に上る。海保は順次、新造して代替更新を進めているが、尖閣対応巡視船の増強などが優先されてきたため、追い付いていないのが現状だ。
 昭和に建造された船艇のうち、現役は巡視船14隻。大規模修繕を実施していない巡視船のうち、耐用年数超過の最長は、昭和58年に建造された留萌(るもい)海上保安部所属の中型巡視船「ちとせ」で、年度末に船齢は38年になり耐用年数を13年過ぎる。14隻のうち、1月に尖閣諸島周辺の領海警備中に故障したヘリコプター搭載型巡視船「うるま」など7隻は平成20年代以降、大規模修繕を実施した。
 ただ、7隻の中には大規模修繕による延命年数が迫る船もあり、釧路海保のヘリコプター搭載型巡視船「そうや」は令和7年に修繕から15年が経過する。そうやは船齢42年の現役最古参で、オホーツク海での海氷観測などに従事してきた。代替船を新造する場合、北極海を航行するには新たな環境保護要件を満たす必要があり、高コストになる。同規模船の新造には3年程度必要で、海保は活動海域などを見据えた判断に迫られることになる。
「取り返しつかない状況も」
 一方で、大型巡視船でも一部は大規模修繕が困難だ。平成13年に九州南西の奄美大島沖で北朝鮮の工作船が巡視船との銃撃戦の末、自爆した事件を契機に整備された「不審船対応ユニット」の一員である大型巡視船「あそ」「でわ」「はくさん」は令和6年から順に耐用年数の20年を迎える。3隻は同型で船体にアルミニウム合金が用いられるなど、構造上、大規模修繕での延命が不可能な見通しだ。
 「任務中に故障や不具合が発生すると、取り返しがつかない状況も考えられる。『整備したのに故障した』は言い訳にもならない」。現場の海上保安官からは不安の声も漏れる。
 耐用年数を過ぎた巡視船艇は故障が増え、エンジンの出力が落ちて速度が低下。さびなどの腐食で船体に穴が開いて修理が必要になるほか、交換部品が製造中止になっているケースもある。海保は対応が手薄にならないよう、古い船艇が1カ所に集中しないようにするなど配置を工夫し、老朽化に対応している。
せめて一番いい装備を!!!