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ネコと憂国

【台湾有情】ワクチン購入を秘密にする理由

 「第1陣のワクチン、11万7千回分が到着しました」。3月3日正午ごろ、台湾の各テレビ局が一斉に速報したニュースだ。
 早めの水際対策などで新型コロナウイルスの封じ込めに成功した台湾だが、ワクチンがなかなか手に入れられないことが大きな悩みのタネだった。
 自国製ワクチンを台湾に売り付けたい中国側は、台湾が欧米製ワクチンを購入することを、政治力を使って妨害しようとし、成立寸前の商談が破談にされたことがそれまでに何度もあった。
 到着したワクチンは台湾当局が事前に「購入の交渉中」と発表していた独バイオ企業ビオンテックのものではなく、英製薬大手アストラゼネカ製だった。しかも、3日早朝、韓国の空港から出発した大韓航空機に載せられ、台湾北部の桃園空港に到着するという、メディアが全く予想しなかったルートが使われた。
 新型コロナ対策のトップに立つ陳時中・衛生福利部長(厚生労働相に相当)は同日午後の記者会見で「私も到着する約1時間前に知った」と語り、飛行機が飛び立つまで限られた担当者の間で秘密裏に作業が行われたことを明らかにした。
 内部事情に詳しい台湾の医療関係者は「情報が洩れれば中国が必ず阻止するから最後まで安心できなかった」と、ほっとした表情で説明した。(矢板明夫)