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撮影スタジオに中共高官を入れ検閲させるハリウッド 言論団体が自由の危機に警告

言論の自由を掲げるNPO団体「ペン・アメリカ(PEN America)」はこのほど、米ハリウッド業界は巨大な中国市場での商業的成功のために、ますます中国共産党の検閲を受け入れるようになっていると指摘する。中国から具体的な要求がない場合でも、映画配給会社や製作者は中国側とのビジネスの取引の上で、自発的な「自己検閲」を行っている。


「ハリウッド製、北京検閲済み(Made in Hollywood, Censored by Beijing)」と題された報告によれば、ハリウッド業界の関係者は、映画作品に中国共産党の意見や決定がますます反映するようになってきていると語る。中国企業による映画の上映を条件にしたり、場合によっては、映画監督らは直接中国政府の検閲官を映画セットに招き入れたりして「検閲に引っかからないようなアドバイス」を聞くこともある。これらは表現の自由を侵害している、とペン・アメリカは指摘する。


「物議をかもすハリウッドの妥協は、中国当局からの強烈な圧力の結果だ。検閲の受け入れは静かで、通知もなく、議論もないことがある」という。


ハリウッドで中国関連の映画を手がけるプロデューサーの楊華沙(リサ・ヤン)氏は、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対し、物議を醸すような事態になるかどうかは、二国間での表現に関する「根本的な違いによる」と指摘する。


「米国では、さまざまな意見や立場があり、どんな立場や視点でも、声を大にして発言したり、議論したりする。そして当事者は支持者の数に応じて判断する」。しかし、こうしたプロセスが、ハリウッドと北京間の対立では起きていないという。


今、中国共産党側の圧力にハリウッドが妥協することが定着するようになった。中国政府や投資家を喜ばせることが、ハリウッドでビジネスを行う際の慣例になってしまったと報告書は指摘する。


ハーバード大学フェアバンク中国研究センターの客員研究員で、北京電影学院の元教授である郝建氏はVOAに対して、ペン・アメリカの報告内容に同意すると語った。


「長い間、統制と検閲を行った結果、多くのハリウッドスタジオは、中国の映画市場を意識するようになった。自分たちの表現に赤ペンを引き、中国の歴史や現実に関するいわゆるセンシティブなテーマや話題を意識的に避けるようになった。たとえば、1950年代後半、何千万もの人々を餓死させた大躍進の失敗、1989年の天安門民主化運動を弾圧し、人々を虐殺した天安門事件、文化大革命などはタブーとなっている」


ペン・アメリカの報告の主著者であるジェームズ・タガー氏によると、特にスタジオが多額投資する映画では、中国での成功が映画の商業的成功につながることが多くなっているという。タガー氏は、外国映画が中国市場に参入できるかどうかは、中国政府が受け入れるかどうかにかかっており、北京のルールを遵守しているかどうかで決まると指摘する。中国政府がセリフや役者、シナリオが気に入らなければ映画は放映されず、政府を喜ばせなければ、あるいは政府を怒らせても、映画は成功しないという。


「運良く」中国市場で承認されたとしても、理由もなく突然放映中止された例はある。 2013年に中国で『ジャンゴ繋がれざる者』が上映された際、国家ラジオ映画テレビ総局(SARFT)がすぐに中止するよう指示した。上映期間はわずか1日だけで、理由も説明されなかった。


中国の批判的な映画に出演したため、または作ったことのために北京の政府によってブラックリストに入れられた注目すべき映画の星はシャロン・ストーン、ハリソン・フォード、リチャード・キールなど。


郝建氏はVOAに対し、ハリウッドが中国政府の要求に応じれば、「成功しそうな適切な公開日」や「おすすめ映画会館へのアプローチ」など、多くの商業的成功への特典が得られるという。


北京は「ハリウッドに語らせる」



報告書の主執筆者であるジェームス・タガー氏は、「北京がハリウッドの映画やテレビの制作物を検閲するのは、自分たちの気に入らないものを切り捨てることではなく、ハリウッドの作品を『再構築』して、ハリウッド全体がより北京の意思を表現できるようにするためだ」と述べている。


報告書は、北京の目的は、政府にとって不都合な情報を中国国民の目に入ることを防ぐだけでなく、ハリウッドに中国共産党を代弁させ、党の政治的利益に値する物語を表現させることで、影響力の拡大を図っている、と分析している。


報告書によると、米国のハリウッドには伝統的に、米軍を賛美し愛国心を促進するため、政府の協力を受けてソフトパワーの促進が行われてきた。しかし、ハリウッド映画は政府や指導者に対する批判的な姿勢を隠していない。愛国ではないと揶揄されているが、「政府批判を恐れない」との姿勢を貫いてきた。


しかし、この姿勢は中国共産党によって覆された。報告書によると、「報告の作成に当たって取材した(ハリウッドの)人々のほとんどは、非公式で匿名で話すことを要求している」という。中国検閲問題について、関係者たちは北京やハリウッドなどからの否定的な反応を恐れている。「仕事を続けたいと思っている人には、公の場でこの話をさせるのは難しい」とある。


中国は映画の最大市場 ハリウッドの圧力は強まる
中国の映画市場は、まもなく世界最大になろうとしている。ペン・アメリカの報告によると、2018年の第1四半期には、中国映画の四半期興行収入が初めて米国を上回った。 2023年までに、中国の興行収入は155億ドルに達すると見込まれている。「ハリウッドの監督、プロデューサー、作家たちは、執筆、撮影、制作のために、ますます中国に目を向けるようになってきている」


いっぽう、ハリウッドと北京とのアンバランスな関係が続く中、ハリウッドが直面する圧力が強まることは容易に想像できると報告書には書かれている。


ハリウッドと中国共産党の政治問題が露呈したのは1997年だった。ハリウッドは、北京の繊細な政治神経に触れた3本の映画を公開している。マーティン・スコセッシ監督のディズニー映画で、ダライ・ラマ14世の半生を描く『クンドゥン』、ブラッド・ピット主演のマンダレイ・エンターテインメントによる、同じくダライ・ラマ氏と登山家の交流を描いた『セブン・イヤーズ・イン・チベット』は、中国共産党が軍事侵略によってチベット国を侵攻した内容が含まれる。リチャード・ギア主演のMGM『レッド・コーナー』は、中国共産党政権の強権を批判する内容がある。


(翻訳編集・佐渡道世)