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安倍総理の志は死なない!!

米中冷戦は新次元に! 日本も参加する“反中国包囲網”にアジア諸国が集結しているワケ

 10月6日、日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国による外相会談が東京都内で開催された。中国を牽制し、4カ国の結束をアピールするための会合だ。
 これは「米中対立」が、単なる「二国間対立」ではなく、すでに新たな次元に入ったことを示している。こう解説するのは、戦略家で米戦略国際問題研究所上級顧問のエドワード・ルトワック氏だ。
「米国と中国の対立」は、すでに過去の話
〈「地政学上の最大の問題は、『米中対立』だ」と、今日、多くの専門家、ジャーナリスト、メディアが論じているが、こうした見方自体が、実は間違っている〉
〈「米国と中国の対立」は、すでに過去の話だ。現在進行しているのは、「(米国主導の)海洋同盟と中国との戦い」なのである〉
© 文春オンライン 45年ぶりに死者が出た中国インド国境紛争
 それを示すのは、先の4カ国外相会談だけではない。
〈最近の国際ニュースを見れば、すぐに理解できるだろう。「米中の戦い」というより「海洋同盟の諸国と中国の戦い」に関連する事件が続々と発生しているからだ〉
豪州が「反中国包囲網」をリードし始めた
〈たとえば外交面でいえば、中国との戦いの最前線をリードしているのは、豪州だ〉
〈事のきっかけは、新型コロナウイルスの発生源と中国の初期対応に関して、国際的な独立調査委員会の設立を豪州が提案したことだ。これに中国が強く反発し、豪州産の大麦に80.5%もの関税を上乗せし、留学や旅行も含めて、豪州行きを避けるよう国民に呼びかけた〉
〈豪州にとって中国は輸出の約3分の1を占める最大の貿易相手国だ。そこで北京政府は、「経済的にどれほど依存しているのか分からないのか!」と“圧力”をかけた。だが、キャンベラのエリートたちは、屈しなかった。その結果、WHOで中国外しを狙ったり、インドを国連安保理の常任理事国にするためのロビー活動を始めるなど、豪州は、「反中国包囲網」をリードし始めたのである〉
〈このところ緊張が高まっている中国とインドの国境紛争も同様だ〉
事態は「中国vs中国の周辺国」という構図に
「米国主導の海洋同盟」の主要メンバーは、先に外相会談も行った日米豪印の4カ国だが、それだけに留まらない。南シナ海の諸国も「海洋同盟」のメンバーだ。
〈4月上旬には、中国海警局の船舶が、南シナ海の西沙諸島付近で、ベトナムの漁船に体当たりをして沈没させる事件が起きている。南沙諸島でも、中国とフィリピンとの対立が本格化し始めている。
 4月中旬、北京政府は、突然、この2つの諸島を新たな行政区に編入し、西沙諸島に「海南省三沙市」の「西沙区」を、南沙諸島に「南沙区」を設置すると一方的に発表した。ボートで渡る“島”ではなく“町”として扱う、というわけだ。
 これに対してベトナムは、一歩も引いていない。これを支援しているのは、米国とインドで、日本も、ベトナムに艦を寄港させている。ちなみに、ベトナムの潜水艦は、ロシア製である〉
 その上で、ルトワック氏はこう指摘する。
〈つまり事態は、もはや「中国vs米国」ではなく、「中国vs中国の周辺国」という構図になっているのだ。そこに豪州、インド、日本といった「海洋同盟」の国々も加わり、これを米国が支えているのだが、米国は後方から支援しているにすぎない〉
〈見落としてならないのは、中国自身の強硬姿勢が、こうした結果(=海洋同盟の結束)を招いていることである〉
 その他、中国のコロナ対応、香港問題、中国とインドの「文化=経済」比較論、米大統領選の見通しなどを論じたルトワック氏の「 新冷戦『米海洋同盟vs中国』勝者の条件 」の全文は、「文藝春秋」2020年10月号および「文藝春秋digital」に掲載されている。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年10月号)