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日本で就職かなわず、中国の「千人計画」に参加…若手研究者らの現状

読売新聞 (写真:読売新聞)
 政府は4月から、大学院生を含む若手研究者への支援を強化する。博士号を取得しても不安定な有期雇用など厳しい環境に置かれるケースが多く、民間企業や海外への人材流出が相次いでいるためだ。日本での就職がかなわず、「軍民融合」政策を進める中国の人材招致プロジェクト「千人計画」に参加した研究者もいる。若手研究者らの現状を取材した。(藤原聖大、小池和樹)
■■誇り持てず
 「常に将来への不安を抱えていた。あのような生活で、研究を続けようと思えるわけがない」。民間企業で再生医療の研究に携わる男性(30)は、東日本の国立大学でポスドク(博士研究員)として働いていた時期をそう振り返る。
 男性は28歳で薬学の博士号を取得し、大学で研究者となったが、1年契約で月給30万円。学生の指導や実験用動物の世話などに追われ、自分の研究に専念できないばかりか、毎日12時間以上の勤務が続いた。休みは月2~3日で、正月も連休を取れなかった。
 民間企業で生き生きと働き、趣味なども楽しむ元同僚らに会うと、自らの境遇が悲しくなった。「職に誇りが持てず、ポスドクであることを周囲に隠していた」と打ち明ける。
 一度は契約を更新したが、2年目の途中の昨年秋、大学をやめて民間企業に就職した。「研究者としては道半ばで心残りはあるが、今は毎日が充実している。生活の質は、天と地ほど変わった」と笑顔を見せた。
■■貯金も無理
 国内では1990年代の「大学院重点化」政策で博士課程への進学者が増え、2000年代にポスドクが急増。ピーク時の08年度には1万7945人に上ったが、処遇するポストが足りず、安定した職に就けない人が相次いだ。
 東京都内の国立大学で任期3年のポスドクとして神経科学を研究する男性(28)の手取りは月約25万円。奨学金300万円の返済もあり、半年後に結婚を控えているが、貯金もできない状態だという。「情けない話だが、彼女にお金を稼いでもらわないと研究者としてやっていけないかもしれない」と明かした。