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安倍総理の志は死なない!!

沖縄が危ない!】尖閣攻防は「自由vs独裁」の闘い! 日本の敗北は民主主義社会の挫折

 沖縄県・尖閣諸島の問題は、世界では「離島の岩礁をめぐる日中の争奪戦」と思われているようだ。過去に私が会った米国のジャーナリストは「何であんな無人島のために…」と不思議そうな顔をした。


 台湾や香港問題と比べ、国際社会では尖閣問題への関心がなかなか広がらない。背景には、尖閣問題がいわゆる“領土問題”だという誤解がある。私は「そうではなく、尖閣はまさに世界史の問題だ」と訴えたい。


 2013年、私は漁船に同乗して尖閣海域に行った。待ち構えていた中国船は漁船に猛然と接近し、体当たりを仕掛けるしぐさを見せたが、海上保安庁の巡視船が間に割って入り、辛うじてガードした。


 中国船の振る舞いから感じたのは、「力こそ正義」という傲慢さ、漁師の安全など一顧だにしない人命軽視、自分の主張を通すことしか考えない国際法の無知であり、まさに中国という国家の体質そのものの具現化だった。


 一方、漁船を守ろうと懸命にかじを切る巡視船は、独裁国家に翻弄される民主主義国家日本の姿だった。


 中国が日本の尖閣国有化を口実に、尖閣周辺への船舶派遣を本格化させて来年で10年になる。残念ながら、時間が中国の味方であることは、この間の経過を見れば明らかだ。


 地元の石垣市議会は3月、保守系市議が中心になり、尖閣諸島の上空視察を求める決議を可決した。すでに民間ヘリをチャーターしており、国に飛行許可を要望している。


 ただ、尖閣上空には13年、中国が不当に防空識別圏を設定している。チャーター機の飛行は、中国空軍にスクランブル(緊急発進)の口実を与える恐れがある。国が飛行許可を出すかは見通せない。


 現在では、尖閣に向かう漁船に記者が同乗することは認められておらず、もはや一般の日本人は、海からも空からも尖閣に近づけない。


 日本が何もしなければ、中国が日本の実効支配を打破しつつあるという既成事実だけが積み重なる。日本は早急に国際社会への根回しを進め、改めて実効支配の強化を図らなくてはならない。


 尖閣海域での光景を思い出すたび、一つ痛感する。尖閣問題とは、民主主義国家日本の領土が、独裁国家中国に力ずくで奪われようとしている史上初の「事件」だということだ。尖閣海域での攻防は「自由vs独裁」の闘いであり、日本の敗北は民主主義社会の挫折なのである。これこそ国際社会に訴えるべきことだ。


 中国が掲げる「中華民族の偉大な復興」は全世界の悪夢である。すべての日本国民が香港人であり、台湾人であり、石垣市民であり、要するに当事者であるという意識を持ってほしい。


 ■仲新城誠(なかしんじょう・まこと) 1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。現在、同社編集主幹。同県のメディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に『「軍神」を忘れた沖縄』(閣文社)、『翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走』(産経新聞出版)、『偏向の沖縄で「第三の新聞」を発行する』(同)など。