Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

非難囂々、「外国人船員は死んだら水葬」の中国漁船

(PanAsiaNews:大塚 智彦)
 中国の漁船で乗組員として働いていたインドネシア人船員が、操業中の海上で3人も死亡し、その遺体が海中に投棄されていたことが明らかになった。遺体を海に投げ出す動画が流出したことで、現在、重大な人権問題となりだしている。
 この動画は同漁船が4月27日に帰港した韓国・釜山で韓国のテレビ局が入手し、5月6日にテレビで放映されたことで公になった。そのため、亡くなった船員の母国インドネシアだけでなく、韓国でも中国漁船が引き起こした大きな問題として注目を集めている。
まるで現代の『蟹工船』
 現在この動画はYouTubeなどで、モザイクがかかった状態ではあるが誰もが視聴できる状態にある。「Chinese fishing boat」「Indonesia」などと検索すれば、すぐたどり着けるだろう。
 釜山の韓国海上警察は、この中国漁船の船長などに対する事情聴取を進めており今後刑事事件に発展する可能性もある。
 同漁船に乗り組んでいた残りのインドネシア人船員3人が明らかにしたところによると、彼らは1日18時間も働かされるのが常態化しており、30時間ぶっ続けで労働を強制されたこともあると訴えているという。さらに操業中は、インドネシア人船員は食事の際以外は座ることも許されなかったという。
 彼らと中国人船員とは扱いに差があったようだ。
 中国人船員は陸上から持ち込んだボトル入りの真水を飲むことができたが、インドネシア人は海水ろ過した水を飲むことを強要されていたという。もっとも最近の3カ月間はそのろ過機も故障しており、海水を飲まざるをえない環境にあったそうだ。
 船員Aは、海水を飲むと「めまいがして喉から変な粘膜が出るようになった」と健康被害が深刻になったうえ、食事も粗末で6時間ごとにわずか10分から15分という短時間の食事時間しか与えられなかったと訴えている。その状況は、小林多喜二の小説『蟹工船』で描かれた、労働法も人権も無視の、タラバ蟹漁船での非人間的実態を彷彿とさせるものだ。こうした過酷な労働環境が原因で、インドネシア人乗組員の中から体調を崩す者が相次いだという。
 この問題を重く見たインドネシア政府外務省は、ルトノ外相が7日に在インドネシア中国大使を呼び出して事実関係の説明と真相解明を求める厳しい姿勢を示した。中国側の出方次第では、今後、2国間の外交問題に発展する可能性もある。
 インターネット上にアップされた動画には中国漁船の甲板に横たわるインドネシア人の遺体が入ったオレンジ色の遺体袋に1人の中国人船員がアルコールを注ぎ、線香を手向けた後に簡単に手を合わせる様子が映されている。その後、遺体は袋ごと甲板にいた複数の船員によって舷側から海中に投げ込まれている。
 インドネシアではすでに多くの国民がこの映像を動画サイトで視聴しており、中国漁船そして中国人乗組員のインドネシア人船員に対する過酷で非人間的な扱いに対し、反感が高まっている。


中国語書類に捺印強要で水葬「合意」
 韓国メディアなどの取材に匿名を条件に応じたインドネシア人船員Aによると、公開された映像で「水葬」されたのは航海中の3月30日に死亡したインドネシア人船員アリ氏(24)。さらに2019年12月には、アルファタ氏(19)、セプリ氏(24)の2人も同じように死亡し、その遺体もやはり海中に投棄されたという。死因は船上でのことで明確ではないが、感染症によると見られている。
 4月27日に釜山漁港に戻ったこの中国漁船からは、別のインドネシア人船員1人がそのまま韓国の病院に急搬送されているが、その日のうちに病院で死亡した。死因は肺炎だという。
 船員Aは韓国・文化放送の取材に対し「中国人との間では航海中に死亡した場合、遺体は最寄りの港で陸上に移され、本国に送還手続きをとることになっていた」と証言し、「海中に遺体を投棄するとは思いもしなかった」と打ち明けている。
 映像を入手した文化放送の取材によると、インドネシア人船員は全員が中国語しか書かれていない書類に拇印を押すことを強制されていたという。その書類には「航海中に死亡した場合は水葬とすることに合意する」との旨が中国語で書かれており、中国人船長らはそれに基づいて遺体の海中投棄という「水葬」を実施していたのだと主張しているという。
 またインドネシアのコンパス紙の報道によると、インドネシア人と中国人船員との間では航海中に船員が死亡した場合は「陸地で荼毘に付して遺骨を本国に送還し、相続人に対して1000米ドルを支払う旨の契約があった」としているが、事実関係は明らかになっていない。
 この中国漁船は2019年2月14日に釜山港を出港して長期航海に出発、2020年4月27日に釜山港に戻ってきた。入港前に韓国のインドネシア在外公館に対して「病気のインドネシア人がいる」との連絡があり、それが入港当日に病院で病死したインドネシア人のことだったという。
 報道によれば中国船員らは「アリ氏の場合は死亡を家族に連絡し、水葬の許可も得ていた」と韓国捜査当局に話しているというが、インドネシア側はその事実を確認していないという。
 死亡して遺体が海中の投棄された3人のインドネシア人の宗教は明らかになっていないが、もしインドネシアの人口の88%を占めるイスラム教徒だった場合は問題が大きくなる可能性がある。
 まずアルコールを遺体に注ぐことはアルコール類を禁忌とするイスラム教の教えに反することになる。さらにイスラム教の聖典「コーラン」の記述で「墓地に埋めて望みの時に甦らせる」とあるように土葬が大原則となっていることから「本人の同意のない水葬」に対してイスラム教組織から今後抗議の声がでることも予想される事態となっている。
長期航海は違法操業の秘匿が目的か
 この中国漁船はマグロ漁業を目的としているが、インドネシア人船員の証言によると主にサメを捕獲して高級食材である「フカヒレ」を無許可で大量に密猟採取していたという。その数は平均すると1日に20匹以上で、捕獲してはヒレを切断して船内に密かに保存していたと証言している。
 こうしたことから韓国捜査当局や人権団体はこの中国漁船が違法なフカヒレ漁業を隠匿するために長期航海と過酷な労働条件の下での強制労働を行っていた可能性もあるとみて捜査を続けている。
 さらにインドネシア人船員は1カ月約1000円という低賃金で重労働に従事させられていると証言しており、この労働条件が国際的な基準を満たしているのかも含めて現在釜山でインドネシア人船員と中国人船長、船員に対する事情聴取と取り調べが続いている。
 在インドネシアの中国大使は地元メディアに対して「中国政府は当該漁船を所有する会社に対して法律順守と契約履行を確実にさせるよう指導する」と回答している。


中国にマスクや防護服を送った政治家は猛反してほしい!!