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安倍総理の志は死なない!!

中国の圧力、台湾や香港で活発化 国連でも影響力 米議会超党派機関の報告書

 【ワシントン=黒瀬悦成】米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は1日、最新の中国情勢をめぐる分析と提言をまとめた年次報告を公表した。報告書は、中国による台湾周辺での軍事行動の活発化や6月の香港国家安全維持法(国安法)の制定に関し「中国の指導部が既存の約束事を破って、自国の評価が下がることなどを気にせずに政治的目的を追求する決意を固めていることを実証した」と指摘し、米国が台湾と経済を中心に関係を緊密化させ、中国に対抗する必要があると提言した。
 報告は、中国が今年に入って台湾への軍事的圧力を一層強化させていることに関し「米国が長年の台湾政策を変えることの是非や、中国の『台湾統一』が米国の安全保障上の利益に及ぼす影響について早急に議論する必要があることを浮き彫りにした」と指摘した。
 また、中国軍の艦船や航空機による台湾周辺での行動の活発化により、偶発的事故や誤判断を原因とする危機が発生する恐れが高まると警告した。
 台湾支援策の一環としては、米国の対台湾窓口機関「米国在台協会」(AIT)の事務所長(大使に相当)について、一般の大使職と同様に大統領が指名し、上院が承認するよう求めた。事務所長は現在、国務長官が選び、上院の承認を必要としない。
 香港での国安法の制定に関しては、政治的迫害を恐れて香港からの脱出を求める住民らに米国ビザ(査証)を発給するために各種制限を撤廃するよう米政権に求めた。
 報告書は一方、「中国は国際的な統治システムを、普遍的価値観や個人的権利と相いれない自国の原則に合致するよう改変、破壊している」と批判し、中国が経済力をテコに国連や他の国際機関で影響力を拡大させていると訴えた。
 中華思想に基づき世界秩序を変えていこうとする策動は習近平体制から始まったものではなく、今後も続いていくと指摘し「米国益や国際機関、世界の自由民主体制に対する長期的な課題となる」との見通しを明らかにした。
 中国が半導体、人工知能(AI)、クリーンエネルギーといった先端分野での世界的覇権を目指し、外国企業に技術移転の強要やサイバー攻撃による関連技術の窃取などを繰り返しているとも批判した。
 新型コロナウイルスをめぐっては、中国が医療機器を提供するなどの国際支援を通じて「責任感があり親切な国際的リーダー」であるかのように振る舞い、中国型の統治モデルが自由民主主義的な統治よりも優れていると見せつけようとしたが、あまり効果を上げなかったと指摘した。