Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

中国の「ボイコット外交」 自国IT企業が返り血

 各国の企業や政府は長らく、中国がボイコット運動などを駆使して、中国市場への参入を外交上の武器にしているとして批判してきた。だが、中国企業はここにきて、自身が批判の矢面に立っていることを経験しているようだ。
 中国が海外で敵対的な姿勢を強めるのに伴い、相手国の消費者や規制当局は、中国企業への圧力を強めるか、中国ブランドの排除に動いており、特に世界で事業を展開する中国のハイテク企業がその標的となっている。
 反中ムードは特にインドで顕著だ。ヒマラヤ山脈の係争地で発生した中印両軍の衝突を受け、インド国内では中国製品の不買運動が広がっており、すでにユーザーによる中国製ソフトウエアの大量削除も起きている。
 インド当局者は17日、国有通信会社が今後、「4G(第4世代)」モバイル通信網の整備で華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などの中国企業から機器を購入することを禁じると発表した。インド当局はすでに民間通信会社に対しても、5G通信網の整備で中国企業と提携しないよう水面下で警告している。つい昨年の12月まで、ファーウェイもZTEも、5G試験運用への参加を歓迎されていた。
 中国企業は英国でも逆風を受けている。英国内で香港の自治形骸化に対する反発が強まっていることを受け、米国はボリス・ジョンソン英首相に対して、5G網からファーウェイを排除するよう圧力を強めている。
 米国内では元々、中国ハイテク企業への疑念がくすぶっていたが、足元でも警戒は高まる一方だ。当局者や議員、規制当局はそろって、人気動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」への追及姿勢を強めている。北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下のTikTokは、米国内でのダウンロード回数が1億8100万回に上る(調査会社センサータワー調べ)。
 中国指導部はかねて、巨大な消費力に物言わせる「ボイコット外交」を展開し、対立する相手国をねじ伏せようとしているとの批判を浴びている。ここ10年に、韓国のスーパーマーケット、ノルウェー産サーモン、カナダ産キャノーラ(菜種)、フィリピン産バナナ、豪州産ビーフ、米プロバスケットボール協会(NBA)などが、その餌食(えじき)となってきた。
 しかし、世界各国で着実に存在感を高めてきた中国企業がここにきて、相手国の報復の標的になりつつある。
 オックスフォード大学中国研究所のラナ・ミッター所長は「政府や企業の間では、最終的に自分たちがさらなる圧力にさらされるのであれば、中国企業との関係を深めることが適切なのか、問い直す動きが広がっている」と話す。
 中国外務省は、この記事に関するコメントの要請に応じていない。
 インドでは、5月28日頃から中国製品の不買運動が加速した。国境沿いで中印のにらみ合いが続いていたことを受け、有力な教育関係者であるソナン・ワングチャク氏が消費者にボイコットを呼びかける9分間の動画をユーチューブに投稿したことがきっかけだ。この動画の視聴回数は400万回超に上った。
 ワングチャク氏はインタビューで、「軍事面でのみ対抗すれば、中国の思うつぼだ」と話す。動画ではまず、携帯電話から中国製アプリを削除するよう呼びかけ、最終的には電子製品や携帯も段階的に中国製品以外に買い替えるよう求めている。
 インドのあるソフトウエア開発業者は5月、グーグルのモバイル端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のデバイスから中国製アプリを削除する「リムーブ・チャイナ・アプリ」をリリースした。同アプリは、グーグルが規定違反を理由にアプリストアでの取り扱いを禁じるまで、500万回近くダウンロードされた。
 センサータワーによると、インド国内の「グーグル・プレイ・ストア」のTikTokダウンロード回数は、5月初旬の時点では第4位だったが、6月8日には14位に順位を落とした。親会社バイトダンスのコンテンツアプリ「ヘロー(Helo)」も10位から17位に下がった。バイトダンスはコメントの要請に応じていない。
 中印の緊張が高まる中、20日にはニューデリー南東にある広東欧珀移動通信(オッポ)のスマホ工場周辺で、保守派の政治組織などによる抗議活動が発生。地元警察によると、デモ隊は中国国旗や習近平国家主席のポスターを燃やすなどした。工場への被害はなかったという。オッポの広報担当者はコメントの要請に応じていない。
 中国のスマホメーカーにとって、インドは重要市場だ。コンサルタント会社カウンターポイント・リサーチによると、インドの1-3月期(第1四半期)スマホ市場で、中国メーカーのシェアは81%と過去最高に上った。カウンターポイントのアナリスト、タラン・パサク氏は、インドに進出する中国スマホブランドはいずれも、宣伝で現地生産を強調している。
 だが、中印衝突を巡る反発で、ファーウェイやZTEが5G整備網から正式に締め出されることもあり得そうだ。調査会社ガートナーによると、インドの先端通信インフラ投資(5G含む)は今年、23億ドル(約2500億円)に達する見通し。
 ファーウェイはコメントを控えた。ZTEはコメントの要請に応じていない。
 英国は1月、5G網構築でファーウェイの参加を許可する方針を示していた。だが治安当局は、それから半年もたたないうちに、ファーウェイ製品の使用を減らすよう通信会社に求めるか、全面禁止とする方向へと傾きつつある。関係筋が明らかにした。
 5Gの安全保障問題に関して調査している政府小委員会を率いるトバイアス・エルウッド議員は16日、新型コロナウイルスや香港問題への中国当局の対応を踏まえると、中国およびファーウェイとの取引の仕方を見直すべきとの考えを示した。
 「中国ハイテク企業たたき」が、中国共産党の態度を変えさせるほどの痛みをもたらすかは不透明だ。世界のサプライチェーン(供給網)で中国が支配的な地位を占めていることで、ボイコットは難しく、かつ代償も大きいとアナリストは指摘している。
 だが、海外進出の野望を抱く中国企業にとって、反中感情は長期的な影響をもたらす可能性がある。米シンクタンク、ジャーマン・マーシャル財団のシニアフェロー、アンドリュー・スモール氏はこう指摘する。「中国の攻撃的な外交、インドの場合は軍事というスタンスは、これらの国のデジタル通信網に長期的な影響を与える公算が大きい」


バカチャイナ!!

「尖閣問題」台湾で正論!─「反日」国民党を批判し「日台共闘」訴える大手紙社説

ブログ「台湾は日本の生命線」より。ブログでは関連写真も↓
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3523.html


 2020/06/20/Sat


 ■今台湾で起こっている騒動とは


沖縄県石垣市は6月9日、尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を市議会定例会に提出。22日に採決が行われる。これについては「与党多数のため可決される公算が大きく、領有権を主張する中国や台湾が反発する可能性もある」(東京新聞)とも報じられているが、実際にはこの程度のことで「反発」する声は、中国では一部メディアどまりであまり出ていない。ただ台湾の方で国民党などが大騒ぎをしている。


 台湾で尖閣諸島を管轄するとされるのが宜蘭県頭城鎮だが、宜蘭県議会は国民党の煽動により、石垣市議会に対抗して尖閣諸島の住所を「釣魚台」から「頭城釣魚台」に改める議案を可決。国民党所属の女県知事は蔡英文総統に一緒に島に上陸し、住所標識を立てようと呼びかけた。反日愛国の踏み絵を迫るようにだ。


 蔡総統はこれを受け、「釣魚台は中華民国の領土であるとの政府の立場は一貫している」と表明する一方で、反日行動の誘いには「ありがとう」とだけ言って体よく断ったが、どうもこうした国民党の騒ぎに怖気づきがちなのが民進党政権だ。外交部は中山義孝石垣市長二度にわたり電話を入れ、「地方の事務ではあるが、おそらく日台友好関係に影響が出るので自制してほしい」と泣きつく始末(そうした言動こそが逆に日本側を怒らせ、友好関係を損ないかねないのだが)。


それに対し中山市長は「中国公船が頻繁に尖閣海域へ進出し、日本の漁船を去年は30回、今年もすでに10回にわたり追尾し、住民の強烈な反撥を招いている。そこでこの提案を行うことで反撃とした」と答えている。要するに台湾ではなく中国への対抗だ、と強調したのだ。同市長はまた、宜蘭県議会の上記可決に関し、ツイッターで「お互いの内政のことですので私は抗議はしません」と書き、文末に日本と台湾(中華民国)の国旗の絵文字を並べ、台湾に敵意がないことをアピールしている。


だが一方の国民党では、江啓主臣主席が同党中央常務委員会の決定に基づき、22日に石垣市議会が字名の変更を可決すれば、漁船を率いて尖閣海域へ向かうと息巻いている。


 以上の国民党の過剰な反日パフォーマンスについては、日本のマスメディアは目下殆ど報道していないようだ。だがもしこれが広く伝われば、日本国内では台湾への不必要な不信感が広がり、日台の離間を望む中国を喜ばすことになろう。そうしたことが懸念される中、台湾の最大手紙、自由時報は6月19日、「台日はアジア太平洋における民主共同体」と題する社説を掲げた。


これを読むと、国民党の尖閣諸島領有の主張や日本への対抗姿勢は中国を利しても台湾の安全は脅かされるだけといった認識が、台湾ではすでに持たれていることが理解できるはずだ。日台は今後中国の脅威の前で如何に連携して行くべきかを考える上でも参考になりそうな内容である。


■尖閣諸島を日本領と認める大手紙社説


そこでその社説を以下に抄訳したい。


───1972年に米国は琉球群島の主権を日本へ引き渡し、それに併せて釣魚台列嶼(尖閣諸島)の行政管轄権も日本へ移している。だから日本は、その管理責任を果たそうとしているのだが、国共両党は抗日戦争だけでは飽き足らず、なおも抗戦を続けたいらしい。


───(国民党は)釣魚台の問題を中華民族主義のために安く利用し、毎回国内だけの乱闘を繰り広げている。


───「釣魚台」は国共両党の合言葉だが、その目的は島の領有だけにとどまらない。所謂「保釣」(尖閣諸島防衛)運動などは台湾を中国と共に仇日に向かわせるためのものであり、更には「台湾は中国に帰属する」という話にまで持って行かせようとするものだ。


───漁師には漁師の考えがあるが、政客には政客の考えが別にあるのだ。政府はこの矛盾点を如何に突くかを考えるべきだ。


ここまでを読むと、社説は明確には言わないけれども、尖閣諸島の日本への帰属を認めているのがわかるだろう。そしてそれを認めた上で、国民党と中共は尖閣の領有権を主張し、中華民族主義の高揚を試み、更に中共に至っては、台湾併合にも道筋を付けようと狙っているとし、民進党政権はそうした点を警戒し、漁業権益の問題とは切り離して考えるべきだと訴えているのである。


■尖閣問題で歩調を合せようとの主張


───今回の「登野城尖閣」問題で、北京はいまだ緊張を高めていないが、国民党は嬉々としてあれこれ騒ぎ立てている。おそらく高雄市長のリコールが成立するなどで党勢が低迷しているため、いつもながらに「保釣」で騒いで政治問題を作り出し、士気を高めるとともに民進党政権に圧力を掛ける気だ。


───しかし社会のこれに対する関心は低く、また中山市長の「中国への反撃」という説明に国民の多くは納得している。従って国民党は好い加減に止めるべきだろう。「江主席が出港して島周辺海域へ行って主権の在り処を示す」などと言っていると、恥をかくことになる。


───台湾と日本は、アジア太平洋地域においては民主共同体であり、釣魚台問題では同じ側に立って争いを控え、更に大きな戦略に影響を及ぼさないようにしなければならない。釣魚台を巡っては、台日はもちろん協力して中国に反撃するべきだ。特に台湾には、中国には釣魚台に手を出させず、台湾にも手を出させないようにする戦略目標がある。


───ブルー陣営(国民党など)は中国の釣魚台への野心には抵抗しないできた。もし本当に台湾の立場で「保釣」をするというなら、日本への対抗で用いる力は中国への対抗に差し向けるべきではないか。しかし実際には「中国と連携して日本を制す」との動機があるようだ。


───中山市長は我が国に行った説明の中で、住所の改称は中国へのは反撃であるとし、また両国の国旗を並べて表示した。これは実に明確なシグナルである。台日の共同利益は釣魚台を巡る対立より重要なのだ。この点に関しては、国民は冷静に考えた上で動かなければならない。


 台湾における尖閣問題の本質が、よくわかる書き方である。


■理性の通じる台灣との連携強化を


繰り返すが自由時報は台湾最大手の日刊紙であり、そのメディアがここまで書いていることに着目したい。例えばそれと中国や韓国と比較してみよう。他国の領土をも自国領だとするヒステリックな主張に社会が支配され、反論は許されないというあれらの国のような状況に陥ることなく、思想の自由が保障され、理性が通用するのが台湾社会なのだ。それを実証するのがこの社説だと言えるだろう。


ただ残念なのは、それでありながら民進党政権が、「釣魚台は中華民国の領土である」との国民党独裁時代の案出されたデマ宣伝をいまだ放棄できずにいることだ。かつての中華民族主義教育の影響から抜け出せずにいるのか、国民党から親日、媚日とのレッテルを張られるのを恐れているかのようである。


だがそれはともかく日本側は、台湾が他の周辺国よりはるかに理性の通じる国であることを忘れてはならない。実際に、尖閣諸島を日本領とする認識は、自由時報だけに限らず一般国民の間でも広がりを見せているところだ。


これほどの友がすぐ隣に存在することは日本にとり幸運と言えよう。そこで日本は台湾に対し、あの国の中華民族主義勢力などに気兼ねすることもなく、心を込めて堂々と尖閣諸島の真実を心を込めて伝えて行けばどうだろう。きっと多くの人々に受け入れられ、日台の中国への対抗力はより強靭なものとなるはずだ。


そして「台湾は中国の領土ではなく台湾人の国である」との真実に支持を表明できるほどにまでなれば、「日台民主共同体」は更に一層強固なものとなって行くに違いない。


 日本でも中華民族主義に迎合する世力が蔓延っているので、特にこのことは強調したい。


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メルマガ版「台湾は日本の生命線!」


 発行 永山英樹(台湾研究フォーラム)


 運動拡大のため転載自由 


ご意見等: mamoretaiwan@gmail.com 
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 台湾は台湾!Chinese Taipeiではない!
2020東京五輪(奧運)「台湾正名」推進協議会に参加を! 


 協議会HP http://2020taiwan-seimei.tokyo/index.html
署名(連署)用紙 http://www.ganbare-nippon.net/PDF/2020taiwanshomei
連署漢語説明 http://2020taiwan-seimei.tokyo/petition_tw.html

左翼が目指すのは法治の破壊

米国ミネアポリス近郊で黒人男性ジョージ・フロイド氏が警官に殺されたことを発端に、米国では激しい抗議活動が行われており、それは世界にも飛び火している。もちろん、抗議はあって当然だが、警察の予算削減や解体を求めるなど、その主張はエスカレートしている。また、一部の抗議活動は暴徒化しており、それを左翼政治家やマスコミが容認する危険な状況にある。
この米国の混乱を見たとき、私は2009年から2012年まで続いた日本の民主党政権を思い出さずにはいられない。そこで、今回は日本の民主党政権を振り返ることから始めて、今の米国の暴動を論じたいと思う。
2011年の東日本大震災と原発事故の混乱のなか、私は当時小学生だった息子から次のような質問を受けたのを鮮明に覚えている。
「首相の言うことには全て従わないといけないの?」
あなたが小学生の子どもから、こう聞かれたらどう答えるか。その後、大学の技術倫理の講義などで、この質問を学生に何度かしたことがある。残念ながら、私が期待する答えをする学生は多くなかった。「従わないといけない」と答える学生も少なくなく、「だったら首相に死ねと言われたら死ぬのか」と聞くと、「はい」と答える学生もいて驚いた。
私は息子に対して次のように即答した。「日本は法治国家だから、総理大臣が命令できることは法律で決まっている。だから、法律に基づいた命令には従わなければならない。けれども、そうでない命令には全く従う必要はない。首相は自衛隊の最高指揮官なので、ヘリから原発に水を落とすような無意味で無謀な作戦でも、自衛官は命令に従う。でも、浜岡原発を止めるのは経産大臣の権限なので、首相の命令でも従わなくてよい。」
もちろん、この回答は中学の公民で習う知識の域を出たものではない。ところが、民主党政権には、この法治の原則を理解していないと思われる政治家が少なくなかった。上述の通り、菅直人首相(当時)が、越権行為で浜岡原発を止めるように命じようとしたことはそれを象徴する。2012年には田中真紀子文部科学大臣(当時)が、突然3大学の新設を認可しないと言い出して大問題になった。学校教育法九十五条には「大学の設置の認可を行う場合(中略)には、文部科学大臣は、審議会等で政令で定めるものに諮問しなければならない」とある。3大学について、諮問機関である大学設置・学校法人審議会は認可を出していたので、文科大臣がそれを覆すのは明らかに法を無視した越権行為であった。
息子とのやりとりで、私はこう話を続けた。「日本は法治国家だが、世界には法治国家ではない国もある。たとえば、中国や北朝鮮のような独裁国家の場合、独裁者の気に入らないことをすれば、法律に関係なく処罰されるだろう。実は、昔はほとんどの国がそうで、王様の気に入らないことをすれば、処罰されることもあった。」これを聞いた息子は、次のように質問してきた。
「昔は王様が治めていた国々が、どうやって法治国家になったの?」
この質問をされたときは少し焦った。親の威厳が試されているようで、頭の中にある知識をフル回転させた。世界史を学んだことのある人なら、真っ先に思い浮かぶのはマグナ・カルタとフランス革命であろう。
イギリスは、議会が王と話し合うことで、王の権限を徐々に弱めてきた。そうして、徐々に今の法治国家の形に近づいてきたわけである。こうして法治国家になった国では、話し合いによる合意文書や裁判における判例の積み重ねそのものが法になる。いわゆる慣習法(コモン・ロー)である。一方、フランスは革命で王を殺してその権限を奪い取った。この場合、話し合いの積み重ねがないため、誰かが一から法律を作らなければならない。フランスのナポレオン法典に代表される成文法がそれである。
日本の場合は、江戸城無血開城など、話し合いで近代国家になった側面があるが、欧米からの遅れを取り戻して一気に近代国家になるために、ヨーロッパ大陸の法律を借りてきた事情から、成文法の国になっている。私は以上のことを、小学生にも分かるようにかみ砕いて説明したことを覚えている。
成文法に慣れている日本人にとって、慣習法というシステムは奇異に見えるかもしれない。しかし、ローレンス・レッシグの著書『CODE』を読むと、慣習法の考え方の優れた点がよく分かる。同著において彼は、インターネットの普及で生じる新たな社会問題に対して法的に対処する方法を、慣習法の考え方に基づいて導き出している。
日本でインターネットが普及し始めた頃、新たなテクノロジーで生じる問題に対処するため、早く立法で対応しなければならないという主張がしばしばなされた。これは、まさに成文法的な発想である。しかし、慣習法に基づくレッシグの考え方は全く異なる。人類の歴史において全く新しいと思われる問題も、過去を遡れば構造の類似した問題を探すことができる。そこで、人間がどのような解決を図ってきたかを見ることで、新規の問題についても解決の道筋が見えてくる。レッシグは著作権、プライバシーなどインターネットで新たに生じている問題と似た対立構造を持つ過去の事例を探し出し、その事例でどのような決着を見たかを踏まえて、あるべき解決の方法を導出している。
こうした慣習法の考え方は、過去の人間がこれまで行ってきた数多の実験や観察の上に新たな知見を積み重ねていく自然科学の手法と類似性が高い。また、岡本薫氏は著書『世間さまが許さない!―「日本的モラリズム」対「自由と民主主義」』で、日本は文化的に成文法より慣習法の方が向いているのではないかと述べている。
話を米国の暴動の話に戻そう。今の米国の暴動とそれを支持する人たちを見て私が強く感じるのは、法治の著しい軽視である。これは左翼に見られる典型的な態度である。不法移民に対して寛容なことも、彼らの法の軽視を象徴する。それを目立たなくするため、歯向かう人に「移民反対の外国人差別主義者」とのレッテルを貼る。しかし、実際には不法移民に厳しい政策を望む米国人の多くは、合法の移民には反対していないのである。
今回の暴動においても、法の軽視が被害を招いている例がある。日本ではほとんど報道されていないので、デービッド・ドーンの名を知る人は稀有だろう。彼は元警官の黒人で、今回の暴動に乗じて商品を盗んだ暴徒を止めようとして殺された。その後捕まった犯人は、2014年にも強盗をして懲役7年の判決を受けたのに、保護観察になっていた人物であることが分かった。刑が法律どおり執行されていれば、この殺人事件は起きなかったのである。こうした減刑の背景に左翼による政治的圧力がある。新型コロナウイルス流行を理由に、米国の左翼が受刑者の釈放を求めたことは記憶に新しい。彼らは一貫して法を犯す者に甘い。
左翼が警察を極端に嫌うのも、それが法の執行機関だからであると考えると説明がつく。法治を尊重する者は、法に違反した警察官に対して、法に基づく処罰を求める。法治を尊重しない者は、警察を解体して革命を起こそうとする。シアトルでは警察が立ち入りできない自治区CHAZ(Capitol Hill Autonomous Zone)が作られたが、その内部ではあらゆる犯罪が野放しになっている。民主党のシアトル市長とワシントン州知事は見て見ぬふりを続けており、警察や州兵を動かす気配はない。
しばしば、暴徒たちは左翼ではなくアナーキスト(無政府主義者)ではないかとの指摘を受ける。しかし、自治区で彼らがやっていることは、武装による警備、みかじめ料の徴収、IDによる入境管理である。これらはアナーキストのやることではない。彼らは既存の法律を無視するので一見アナーキストに見えるのかもしれないが、結局は自分が支配者になりたいだけなのである。
なお、シアトルの自治区CHAZは、その後CHOP(Capitol Hill Organized Protest)に名称を変えたが、この言葉には斬首(ギロチン)の意味がある。実際、シアトルの自治区で暴徒の次のようなやりとりが動画として記録されている。
リーダー「フランス革命に賛同しなかった人がどうなったか知っているか?」
仲間たち「首を斬られた(Chopped)」
リーダー「もっと大きな声で」
仲間たち「首を斬られた (Chopped)」
リーダー「これが俺たちのメッセージだ。真面目な話だ。冗談ではない」
世の中には、左翼が犯罪者に見せる情に騙される人がいる。しかし、彼らは自分に従わない者、さらには政治的に利用価値のない者には決して情を見せない。彼らが犯罪者に甘いのは、治安が乱れると革命を起こしやすくなるからである。敵に対しては暴力の行使を全く躊躇しない。左翼が目指すのは暴力による法治の破壊であることを我々は見誤ってはいけない。その先にあるのは、独裁による恐怖政治である。
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執筆者:掛谷英紀
筑波大学システム情報系准教授。1993年東京大学理学部生物化学科卒業。1998年東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了。博士(工学)。通信総合研究所(現・情報通信研究機構)研究員を経て、現職。専門はメディア工学。特定非営利活動法人言論責任保証協会代表理事。著書に『学問とは何か』(大学教育出版)、『学者のウソ』(ソフトバンク新書)、『「先見力」の授業』(かんき出版)など。