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安倍総理の志は死なない!!

日韓関係 「被害者は日本だ」と産経 読日は文氏の演説を評価

 韓国の文在寅大統領が日本統治時代に起きた「三・一運動」を記念する式典の演説で、日韓を「重要な隣国」とし、「いつでも日本政府と対話する準備ができている」と発言した。だが、関係修復の具体策は示さなかった。この呼びかけを肯定的に受け止めるか、懐疑的にみるのか、各紙の見解は分かれた。
 読売と日経は、前向きな姿勢と評価し、文氏の今後の行動に期待を表明した。「日韓関係の改善は双方の国益にかない、地域の安定にも資する。韓国の文在寅大統領が、こうした現実的な認識を示したことは評価できる。具体的な行動で、両国間の信頼回復につなげてもらいたい」(読売)「1月の記者会見に続いて融和的なメッセージを送ったのは評価できる」「次期大統領選まで残り1年となった。韓国歴代大統領は5年の任期末が近づくと反日に転じる事例がめだつ。文氏には逆に、最後に日韓関係を立て直した大統領としてバトンをつないでほしい」(日経)
 両紙はとりわけ、「韓国の成長は日本の発展を支え、日本の成長は韓国の発展を支えた」との発言に注目した。読売は「1965年の日韓国交正常化後の互恵関係に目を向けたのは、これまでの文政権に見られなかった姿勢だといえよう」と説いた。日経は加えて、米国を含む3カ国協力の重要性を訴えたことに触れ、「これまでには見られなかった表現」と歓迎した。
 これに対し産経は、「対日融和姿勢を示したとみなすのは早計だ。演説には関係改善に向けて韓国側がどのように行動するかという解決策の提示がなかった。行動を伴わなければ期待することは難しい」とし、「両国関係改善の希望を口にしながら、韓国側がこじらせた問題を解決する具体策をなんら提示しないのは文氏の常套(じょうとう)手段である。狡猾(こうかつ)と言っていい」と断じた。
 朝日は「微妙に前向きな変化がうかがえる」とするにとどめ、「その言葉を行動で示してほしい。文氏は直近の歴史問題への対応策を具体化し、速やかに日本との協議を始めるべきだ。文氏は新年の記者会見でも、関係改善に意欲を示した。相次いで出た日本側に賠償を命じた判決に対し、解決策を提示することが期待された。それから約1カ月半が過ぎたが、残念ながら、現在まで目に見える進展はない」と苦言を呈した。
 ともに懐疑的な産経と朝日だが、両紙の立場は、日韓関係がこじれた原因をどこに求めるかで大きく異なる。産経は「はっきりさせておきたいのは、両国関係を国交正常化以来最悪の状況にしたのは、ひとえに韓国側に責任があるという点だ」とし、文大統領が慰安婦問題をめぐる2015年の日韓両政府の合意をほごにしたことや、いわゆる徴用工訴訟での補償要求が1965年の国交正常化の際の日韓請求権協定に反していることなどを挙げた。「韓国側は史実をねじまげて、慰安婦が性奴隷で、徴用工は過酷な強制労働だったという虚偽の宣伝で日本を攻撃している」と論じ、文大統領は日本との歴史問題について「被害者中心主義に立つ」と強調したが、「被害者は日本の方である」と指摘した。
 一方、朝日は「歴史問題では日本政府にも改めるべき点がある」とし、先ごろ、国連人権理事会で、韓国政府が日本を名指しせずに「普遍的な人権問題」として慰安婦問題に言及したのに対し、日本政府が2015年の合意に照らし、受け入れられないと反発したことを批判した。「歴史の事実を回避するような態度は、慰安婦問題での日本政府としての考え方を表明した、1993年のいわゆる『河野談話』にも逆行する。それは韓国側の冷静な判断を促すのに役立たないばかりか、国際社会からも支持を得られないだろう」と難じた。
 北朝鮮情勢への対応など、日韓が協力すべき分野はある。韓国政府は直ちに、関係修復のための行動を起こしてもらいたい。(内畠嗣雅)
                   ◇
 ■文在寅大統領の演説をめぐる主な社説
【産経】
 ・具体策なき言葉は無用だ(4日付)
【朝日】
 ・融和へ果断な行動を(3日付)
【読売】
 ・日韓の信頼回復につながるか(2日付)
【日経】
 ・文政権時代に日韓で果実を(4日付)
【東京】
 ・日韓対話再開の契機に(3日付)