Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

俺ならウクライナ危機はない、波紋広げるトランプ発言

ウクライナ内戦を口実にするロシアの思惑
 ロシア軍によるウクライナ侵攻の懸念が高まる中、ロシア・メディアによると、ウクライナ東部でウクライナ政府と親ロシア派武装勢力とが武力衝突を繰り広げている。
 ロシアのインタファクス通信によると、親ロ派武装勢力「ドネツク人民共和国」は、支配地にある村が2月18日早朝に砲撃を加えられたと主張。
 別の武装勢力「ルガンスク人民共和国」も、18日朝に複数の迫撃砲で攻撃を受けたと表明した。
 情勢切迫を受け、親ロ派武装勢力は同日、住民のロシアへの退避を発表した。ロシア南部ロストフ州に施設が用意されたという。
 一方、ウクライナ政府は、親ロ派が2月18日にロケット弾か迫撃砲で攻撃してきたと明らかにした。
 ロシア軍がいつ、ウクライナに侵攻するかばかリが注目されてきたが、内戦がここにきてクローズアップされてきた背景は何か。
 米メディアは、ロシア軍が親ロシア勢力を支援するために侵攻する口実を「宣伝」する意図があると報じている。
 ジョー・バイデン米大統領は2月18日、「ロシア軍が数日中にウクライナを攻撃し、首都キエフを標的にすると信じるに足る情報がある」と明言した。
 さらにバイデン氏は「(ロシアが侵攻を正当化する口実づくりの偽装工作としているという)筋書については米国とその同盟国は数週間前から警告を発してきた」とも述べた。
 バイデン氏はじめ北大西洋条約機構(NATO)首脳とウラジーミル・プーチン大統領との外交交渉が続く中で、双方による「インフォメーション・ツナミ」が起こっている。
 フェイク情報も含め、情報の洪水化だ。
 従来なら情報機関が入手した極秘軍事情報は表に出ないのだが、今回のウクライナ有事では、関係国は自国のメディアやSNSを使った情報合戦に終始している。
(https://www.thecipherbrief.com/column/cipher-brief-expert-view/fabrication-operations-in-war)
ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国
 若干時計の針を戻す。
 ウクライナの親欧米政権がNATOへの加盟申請した2014年からウクライナは「分裂国家」化した。
 東部ではウクライナ政府軍と親ロ派武装勢力(「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」)とが断続的に武力衝突を繰り広げている。
 その後、両者の間には曲がりなりにも一時停戦合意が成立していたが、2月17日以降、相手側が停戦合意を破って攻撃を仕掛けてきたと互いを非難し合っている。
 親ロ派武装勢力「ドネツク人民共和国」の幹部は18日、「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は近く侵攻計画の実行を指示する」と決めつけ、住民にロシアへの避難を呼び掛けた。
「70万人」を避難させる計画で、これにプーチン氏は住民1人当たり1万ルーブル(約1万5000円)を支給すると確約した。
 外交交渉が続く中でバイデン、プーチン両氏は何についてどんな話し合いをしているのか。
 2月2日、スペインの中道左派大手紙「エル・パイス」(発行部数24万部)が具体的な内容をすっぱ抜いた。おそらくロシアが流したものと見られている。
 同紙は2通の文書を入手、米ロの公式文書だ。それによるとロシアは、
①ウクライナのNATO加盟を拒否、あわせてウクライナに対するNATO諸国からのすべての支援を停止する。
②NATO多国籍軍の旧東欧諸国への兵力配備の即時中止を主張。
 これに対し米国は、
①ロシアが主張する2点を拒否。
②ウクライナを含むすべての国はその国民が決めた国家体制、加盟するブロックを自ら選択する権利を有する。
③ウクライナの外交決定に際してはいかなる外部勢力からの影響を受けない。
④ロシアとNATOとが取り交わした軍事演習に関する「ウィーン文書」(1万3000人以上の兵力による軍事演習の事前通告、監視団受け入れ、演習参加の武器・航空機などのトランスペアランシー=透明性など)を遵守する――などを主張。
(https://www.19fortyfive.com/2022/02/heres-what-joe-biden-is-offering-to-russia-to-end-the-ukraine-crisis/)
 2月18日現在、米ロは議論がかみ合わないまま、平行線をたどっている。
 アントニー・ブリンケン米国務長官とセルゲイ・ラブロフ外相が2月24日、再会談する。
 当然、ロシア・メディアが書き立てるウクライナ内戦が話の中心として取り上げられるのだろうが、前述の米ロ間の対立点が一気に解決するとは思えない。
 バイデン氏にとっては3月も厳しい日が続きそうだ。
共和党はウクライナ対応で真っ二つ
 そんな中、ウクライナへの介在で弾劾されかけたドナルド・トランプ前大統領が2月14日、こうツイートした。スポークスパーソンを通じてのツイートだった。
「私が大統領だったら、今ロシアやウクライナで起こっているような事態は絶対に起こらなかった。その可能性すら生じなかった」
 その理由はあげていない。
 プーチン氏と肝胆相照らす仲だから「やめろよ」と言えば応じるという自信からか、バイデン氏のような弱腰ではなかった自分ならロシアから足元を見られはしなかったという自信か。
 同氏はツイートした以外は一切発言していない。米メディアも追いかけようとはしていない。
(https://news.yahoo.com/trump-says-ukraine-russia-crisis-183406465.html)
(https://www.newsweek.com/trump-says-russia-ukraine-tensions-would-never-have-happened-under-his-presidency-1672311)
 無責任と言えばそれまでだが、実はこのトランプ氏のロシア寄りスタンスが今、共和党議員たちを戸惑わせている。
 トランプ氏は外交面では「アメリカ第一主義」を掲げ、民主主義の国際的な拡散には無関心。孤立主義路線を推し進めていた。
 対ロシア戦略でもNATOなど同盟国との関係強化には冷ややかだった。その一方でウクライナへの軍事支援には「条件付き」で応じようとしていた。
 再選を目指す共和党上下両院議員たちは、中間選挙が迫る中で共和党支持の草の根層の間に圧倒的な人気を誇るトランプ氏をないがしろにできない。
 その一方で共和党は伝統的に国際主義を掲げてきた政党だ。
 ロシアによるウクライナ侵攻をめぐっては心情的にもウクライナ支援を積極的に主張する者も少なくない。
 ウクライナ支援にはNATOとの連携・協力が不可欠だが、トランプ氏の対NATOスタンスとは相反する。
 バイデン氏に近いクリス・クーンズ上院議員(民主、デラウェア州選出)は議会共和党の動向についてこう指摘している。
「ウクライナ危機をめぐって共和党は真っ二つの状態にある。その元凶はトランプ氏が蒔いた種だ」
「ウクライナ危機が長引けば長引くほど、ウクライナ支援派と不支持派との主導権争い(the tug of war)が激しさを増すに違いない」
 それでいて、バイデン氏がウクライナ危機を解決すると信じている共和党支持者は6%。
 CNNのグロリア・ボーガ―首席政治アナリストはこう分析している。
「共和党内の主導権争いの勝者は誰か、一番固唾を吞んで見守っているのはプーチン氏だろう。そして世界が注視している」
(https://edition.cnn.com/2022/01/28/politics/gop-trump-russia-ukraine/index.html)