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安倍総理の志は死なない!!

突破する日本 「冷厳な事実」先取りしていた安倍元首相の政策 日本が初めて新たな戦略的構想の考案をリード

© zakzak 提供 安倍元首相が「日本のために」と執念を燃やした安全保障関連法は2015年9月19日未明、参院本会議で可決、成立した
安倍晋三元首相が第1次政権で「自由で開かれたインド太平洋」構想の原型を発表したとき、「当時は、世界の多くの識者は彼が挑発的で危険だと考えていた」(元米NSCアジア上級部長、マイケル・グリーン氏、朝日新聞7月10日付)。世界にまだ中国への警戒心がなかったからだ。
「中国が日本やアジアの他の国々への軍事的、経済的な圧力を増すなかで、安倍氏は(自由で開かれた)インド太平洋の構想を発案した。これは(米)バイデン政権が完全に取り入れているものだ。日本が新たな戦略的構想の考案をリードしたのは初めてのことだった」(米外交問題評議会上級研究員、シーラ・スミス氏、朝日新聞7月10日付)。
日本国内でも、安倍氏の政策は一部の人たちに危険視された。防衛情報などの漏洩(ろうえい)を防ぐ「特定秘密保持法」制定の際には、暗黒社会が到来すると野党や大半のメディアは反対した。
保持するが行使できないとされてきた集団的自衛権について有識者会議などでの検討の末、限定的な行使は可能と政府の憲法解釈を変更した。そして、新しい憲法解釈に基づいて安全保障関連法を制定した際には、野党や市民団体は「戦争法」と呼び、戦時体制になると煽った。
「テロ等準備罪」を新設した際にも、警察国家になると国民の不安を搔き立てた。これらは日米同盟を緊密化し、抑止力を高める措置だった。逆に、外国から戦争を仕掛けられないようするものだった。野党やメディアが主張したような事態は何一つ起こっていない。
今年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。前ウクライナ大使の倉井高志氏は「今回の軍事侵攻は、誰もが心の底では理解しながら口に出して言うには躊躇(ちゅうちょ)を感じる、いくつかの冷厳な事実を改めて認識させることとなった」(『世界と日本を目覚めさせたウクライナの「覚悟」』PHP)と述べている。
第1は「結局のところ『力には力で対処するしかない』ということ」。
第2は「軍事大国に対抗するためには自ら軍事大国になるか、あるいは軍事大国を含む集団的防衛体制の中に組み込まれるしかない」ということ。
第3は「国連安保理常任理事国が何らかの形で関与する紛争に対して、安保理の紛争解決システムは機能しない」ということだ。
NATO(北大西洋条約機構)諸国は、防衛費をGDP(国内総生産)比2%に上げた。スウェーデンとフィンランドはNATO加盟を申請した。日本でも国民意識が大きく変わった。
安倍氏の政策は、中国や北朝鮮の脅威を踏まえて「冷厳な事実」を先取りしたものだったのだ。 (麗澤大学教授・八木秀次)
■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。山本七平賞選考委員など。安倍・菅内閣で首相諮問機関・教育再生実行会議の有識者委員を務めた。法務省・法制審議会民法(相続関係)部会委員、フジテレビジョン番組審議委員も歴任。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)など多数。
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